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ピアスと指輪
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「これはフェリシアの魔力を使い、妖精王が作った指輪だ」
俺は書斎に居た親御殿へ、持って来た魔道具を見せた。
「王族が操られると国が傾くのでな…完全では無いが、魅了対策だ」
「妖精王……」
「俺とフェリシアは繋がっているから…少し無理をさせたみたいだが…」
「あぁ…突然倒れたのでな…だが、恐らくそうだろうとは思っていた」
「本来、4つしか出来なかったのだが…何とか5つにして貰った」
「王家に4つと、あと1つは…?」
「…ジルベールだ」
「そうか…フェリシアの為だな?」
「あぁ。だが数を増やした所為で、少々効力が薄れるらしい」
「それでも、完全に魅了に掛かるよりはいい…」
「精神操作防止のピアスもあるからな…」
「では、今から王宮へ行くとしよう」
「あと、これはフェリシア用だ…魔力を1万位まで抑えられる」
「分かった…これも妖精王様に?」
「こういうのを集めるのが好きなんだよ。アイツは」
「何にせよ、助かる。 ありがとう」
「ああ」
◇
次の日、私はやっと目覚めたけど…出来れば前以って教えて欲しいわね。
起きてからお兄様に言われた事は…
「疾風がシアから離れる時は外出禁止だよ」
また疾風が私の魔力を使う事が有るかも知れないからだって…
10万もの魔力を使い切るなんて事がほいほい遭ったら困るわよ。
(私の魔力で作った指輪かぁ…)
「でもゲイル。 魔力は枯渇したけど、ありがとうね」
「可愛い契約者の為だ。仕方ない」
最近のゲイルってば、かなり殿下達に毒されて来てる気がするわ…
「でも妖精王かぁ…会ってみたかったな…」
「親御殿かジルベールの許可が貰えたら連れてってやるよ」
「あ~…無理だわ…」
許可なんてくれる筈ないものね…
そう言えば今日、お兄様は王宮へ行ってるんだっけ?
昨日お父様が、ゲイルから預かった魔道具を持って行ったらしいから…
その魔道具を着けさせる為に、攻略対象者を全員集めるって言ってたわ。
隣国の第2王子だけはどうしようもないけど…
他所の王族に魔道具を着けさせる訳にはいかないものねぇ…
◇
―――王宮にて―――
「其方達に集まって貰ったのは、この魔道具を着けて貰う為だ」
宰相が1人1人にピアスを渡して行く。
「片方は精神操作防止、もう片方は思考低下防止魔法が付与されている」
「陛下。 発言を宜しいでしょうか」
カストリア公爵子息が発言の許可を求めて来た。
「申してみよ」
「は! 何故我々だけがこの魔道具を着けるのでしょうか…?」
「其方等は学園でも、他の生徒より王子の傍に居る事が多い…」
「確かに…万が一我等が操られれば、王子に危険が及ぶと言う事ですね」
「そうだ。 来年は第2王子も入学する事になるので、危険を避けたい」
「了解しました…謹んで拝命致します」
全員がピアスを着けたら退室の許可が下りた…
◇
「お兄様。 お帰りなさい」
「ただいま」
「あら、お兄様…ピアスね。 素敵だわ」
「ありがとう。 陛下からこれを着ける様に言われたんだ」
「ジルベール、お帰り。執務室まで来て貰っていいか?」
「分かりました、父上」
◇
「これを着けなさい…」
「この指輪は…?」
「…カストリア家の次期当主が着ける指輪だ」
(騙してすまないな、ジルベール…お前とフェリシアの為だから…)
「そうですか…分かりました」
ジルベールが指輪を着けた途端、仄かに光って…指輪が見えなくなった。
「! これは、魔道具だったのですね…どういった効果なのですか?」
「それは家を継ぐ時に伝えよう…」
「分かりました…」
◇
お兄様が執務室に呼ばれたので、私とゲイルは自室へ戻った。
「学園に行く準備が整っていくわね」
「そうだな。出来る限りの手は打ったが…」
「あとはもう…入学してからかしら…」
「お前がもう少し詳しく覚えていれば良かったんだがな…」
「仕方ないわよ…前世の記憶ったって、あやふやな部分が多いんだもの」
お茶の用意をしながらゲイルと話しているのだけど…
(せめてヒロインの設定くらい覚えていれば良かったのよねぇ…)
「確かアリエルって言ってたよな?」
「ええ。あの時の映像では、第2王子がそう言ってたわ……でも…」
「親御殿がそれを聞いて…貴族名鑑で探したけど居なかった、と…」
「そうなのよ…見つかれば入学前に何とか出来たかもしれないのだけど」
「…………」
「? どうしたの?」
「…もしや…いや……そんな都合良くは……しかし…」
ゲイルが何か考え込んじゃったわ…
こうなると話しかけても聞こえないのよねぇ。
…………うん。 放っとこう。
ゲイルは結局、私が寝る時まで考え事をしていた様だった…
その夜、いつもと違う感じの夢をみた。
夢なのか現実なのか…会った事も無い超絶美青年が出て来たわ。
でも、覚えてるのはそれだけ…
何か重要な事を話したような気がするのだけど…思い出せないな…
というか、本当に美青年だったのかしら…?
起きてから、時間が経つほどに顔も思い出せなくなって…
(まぁ、ありがちな夢よね…)
俺は書斎に居た親御殿へ、持って来た魔道具を見せた。
「王族が操られると国が傾くのでな…完全では無いが、魅了対策だ」
「妖精王……」
「俺とフェリシアは繋がっているから…少し無理をさせたみたいだが…」
「あぁ…突然倒れたのでな…だが、恐らくそうだろうとは思っていた」
「本来、4つしか出来なかったのだが…何とか5つにして貰った」
「王家に4つと、あと1つは…?」
「…ジルベールだ」
「そうか…フェリシアの為だな?」
「あぁ。だが数を増やした所為で、少々効力が薄れるらしい」
「それでも、完全に魅了に掛かるよりはいい…」
「精神操作防止のピアスもあるからな…」
「では、今から王宮へ行くとしよう」
「あと、これはフェリシア用だ…魔力を1万位まで抑えられる」
「分かった…これも妖精王様に?」
「こういうのを集めるのが好きなんだよ。アイツは」
「何にせよ、助かる。 ありがとう」
「ああ」
◇
次の日、私はやっと目覚めたけど…出来れば前以って教えて欲しいわね。
起きてからお兄様に言われた事は…
「疾風がシアから離れる時は外出禁止だよ」
また疾風が私の魔力を使う事が有るかも知れないからだって…
10万もの魔力を使い切るなんて事がほいほい遭ったら困るわよ。
(私の魔力で作った指輪かぁ…)
「でもゲイル。 魔力は枯渇したけど、ありがとうね」
「可愛い契約者の為だ。仕方ない」
最近のゲイルってば、かなり殿下達に毒されて来てる気がするわ…
「でも妖精王かぁ…会ってみたかったな…」
「親御殿かジルベールの許可が貰えたら連れてってやるよ」
「あ~…無理だわ…」
許可なんてくれる筈ないものね…
そう言えば今日、お兄様は王宮へ行ってるんだっけ?
昨日お父様が、ゲイルから預かった魔道具を持って行ったらしいから…
その魔道具を着けさせる為に、攻略対象者を全員集めるって言ってたわ。
隣国の第2王子だけはどうしようもないけど…
他所の王族に魔道具を着けさせる訳にはいかないものねぇ…
◇
―――王宮にて―――
「其方達に集まって貰ったのは、この魔道具を着けて貰う為だ」
宰相が1人1人にピアスを渡して行く。
「片方は精神操作防止、もう片方は思考低下防止魔法が付与されている」
「陛下。 発言を宜しいでしょうか」
カストリア公爵子息が発言の許可を求めて来た。
「申してみよ」
「は! 何故我々だけがこの魔道具を着けるのでしょうか…?」
「其方等は学園でも、他の生徒より王子の傍に居る事が多い…」
「確かに…万が一我等が操られれば、王子に危険が及ぶと言う事ですね」
「そうだ。 来年は第2王子も入学する事になるので、危険を避けたい」
「了解しました…謹んで拝命致します」
全員がピアスを着けたら退室の許可が下りた…
◇
「お兄様。 お帰りなさい」
「ただいま」
「あら、お兄様…ピアスね。 素敵だわ」
「ありがとう。 陛下からこれを着ける様に言われたんだ」
「ジルベール、お帰り。執務室まで来て貰っていいか?」
「分かりました、父上」
◇
「これを着けなさい…」
「この指輪は…?」
「…カストリア家の次期当主が着ける指輪だ」
(騙してすまないな、ジルベール…お前とフェリシアの為だから…)
「そうですか…分かりました」
ジルベールが指輪を着けた途端、仄かに光って…指輪が見えなくなった。
「! これは、魔道具だったのですね…どういった効果なのですか?」
「それは家を継ぐ時に伝えよう…」
「分かりました…」
◇
お兄様が執務室に呼ばれたので、私とゲイルは自室へ戻った。
「学園に行く準備が整っていくわね」
「そうだな。出来る限りの手は打ったが…」
「あとはもう…入学してからかしら…」
「お前がもう少し詳しく覚えていれば良かったんだがな…」
「仕方ないわよ…前世の記憶ったって、あやふやな部分が多いんだもの」
お茶の用意をしながらゲイルと話しているのだけど…
(せめてヒロインの設定くらい覚えていれば良かったのよねぇ…)
「確かアリエルって言ってたよな?」
「ええ。あの時の映像では、第2王子がそう言ってたわ……でも…」
「親御殿がそれを聞いて…貴族名鑑で探したけど居なかった、と…」
「そうなのよ…見つかれば入学前に何とか出来たかもしれないのだけど」
「…………」
「? どうしたの?」
「…もしや…いや……そんな都合良くは……しかし…」
ゲイルが何か考え込んじゃったわ…
こうなると話しかけても聞こえないのよねぇ。
…………うん。 放っとこう。
ゲイルは結局、私が寝る時まで考え事をしていた様だった…
その夜、いつもと違う感じの夢をみた。
夢なのか現実なのか…会った事も無い超絶美青年が出て来たわ。
でも、覚えてるのはそれだけ…
何か重要な事を話したような気がするのだけど…思い出せないな…
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