27 / 44
ジルベールの失念…
しおりを挟む
『―――銀髪の女―――』
アルフォードの発した言葉が脳内で繰り返される…
「ちょっと待て…」
(只でさえ銀髪は珍しい……シア以外でこの学園に居たか?)
どれだけ記憶を漁っても居ない…当然だ。
学園どころか、国単位で探しても居るかどうか…
「アルフォード…銀髪なのは、僕の妹だけだ…」
「…ああ、知っている」
「だから此処へ来たのか…だが、犯人は見ていないと言ってたな?」
「そうだ。 アリエル嬢が教室に辿り着く前に、銀髪の女が出て行くのを見ただけらしい」
「ミランダル殿。 彼女は私と弟の婚約者です。 インジャスタ男爵令嬢に憶測で噂をされても困ります。 貴殿からではなく、令嬢から直接話を伺いたいと思いますが」
「俺もそうするべきだと思う…が、恐らく、本人では無い可能性が強いだろう。カストリア公爵令嬢の事はジルベールからよく聞いている…」
「それは…どういう事でしょう?」
「ゲイル・スタンリード…カストリア公爵令嬢の傍には、常に彼が付いている筈だろう?」
アルフォードは、ヴェルド殿下と話をしながらも…最後の問い掛けは僕に視線を向けて来た。
(確かに、ゲイルの事を話した記憶は在る……だが…)
「ジルベール…俺はこれでも隣国、ミランダルの王族だ。 スタンリード伯爵家の事も知っている…ゲイル・スタンリード、彼は神…「アルフォードっ!!」」
僕は慌てて彼の言葉を遮った。
ヴェルド殿下が驚いた様子で此方を見る。
「ゲイルの話は彼の個人的な事柄だ! 勝手に話していい事ではない!」
失念していた…!
疾風に爵位を譲ったのは隣国の公爵…王族がその話を知らない訳が無い!
社交界に姿を見せないスタンリード伯爵の事を王族が秘匿していたんだ。
「ミランダル殿。 ゲイルは幼少の頃より訳ありでカストリア公爵家に預けられたと聞く。詳しい理由までは知らないが…幼い頃はともかく、今はフェリシアの護衛をしてくれている」
「それは聞いている。 だからおかしいのだ…銀髪の女だけが教室から出て来たのが」
言われてみれば確かに…
シアの傍に誰も居ない時にゲイルが離れる事は無い。
「アリエル嬢は、その銀髪の女を知らない人だと言っていた。彼女とお前の妹は面識がないと思っていいだろう」
「男爵位で、貴族になって間もない…知らなくても当然だろうな―――」
「フェリシアに成りすました者が居ると…?」
(っ!? ぐ……息がっ)
「―――殿下っ。 魔力を抑えて下さいっ…!」
「!!……すまん…」
その時、応接室に設置されている呼び出しの音が鳴った。
ビィィィッ!!
「クィンザ殿下です。 ヴェルド殿下の魔力を感知したんでしょう…」
「ミランダル殿、後日改めてインジャスタ男爵令嬢に話を聞きます」
「分かった。伝えておく」
「アルフォード、この教科書は此方で預かっておくよ?」
「ああ。 宜しく頼む」
アルフォードの発した言葉が脳内で繰り返される…
「ちょっと待て…」
(只でさえ銀髪は珍しい……シア以外でこの学園に居たか?)
どれだけ記憶を漁っても居ない…当然だ。
学園どころか、国単位で探しても居るかどうか…
「アルフォード…銀髪なのは、僕の妹だけだ…」
「…ああ、知っている」
「だから此処へ来たのか…だが、犯人は見ていないと言ってたな?」
「そうだ。 アリエル嬢が教室に辿り着く前に、銀髪の女が出て行くのを見ただけらしい」
「ミランダル殿。 彼女は私と弟の婚約者です。 インジャスタ男爵令嬢に憶測で噂をされても困ります。 貴殿からではなく、令嬢から直接話を伺いたいと思いますが」
「俺もそうするべきだと思う…が、恐らく、本人では無い可能性が強いだろう。カストリア公爵令嬢の事はジルベールからよく聞いている…」
「それは…どういう事でしょう?」
「ゲイル・スタンリード…カストリア公爵令嬢の傍には、常に彼が付いている筈だろう?」
アルフォードは、ヴェルド殿下と話をしながらも…最後の問い掛けは僕に視線を向けて来た。
(確かに、ゲイルの事を話した記憶は在る……だが…)
「ジルベール…俺はこれでも隣国、ミランダルの王族だ。 スタンリード伯爵家の事も知っている…ゲイル・スタンリード、彼は神…「アルフォードっ!!」」
僕は慌てて彼の言葉を遮った。
ヴェルド殿下が驚いた様子で此方を見る。
「ゲイルの話は彼の個人的な事柄だ! 勝手に話していい事ではない!」
失念していた…!
疾風に爵位を譲ったのは隣国の公爵…王族がその話を知らない訳が無い!
社交界に姿を見せないスタンリード伯爵の事を王族が秘匿していたんだ。
「ミランダル殿。 ゲイルは幼少の頃より訳ありでカストリア公爵家に預けられたと聞く。詳しい理由までは知らないが…幼い頃はともかく、今はフェリシアの護衛をしてくれている」
「それは聞いている。 だからおかしいのだ…銀髪の女だけが教室から出て来たのが」
言われてみれば確かに…
シアの傍に誰も居ない時にゲイルが離れる事は無い。
「アリエル嬢は、その銀髪の女を知らない人だと言っていた。彼女とお前の妹は面識がないと思っていいだろう」
「男爵位で、貴族になって間もない…知らなくても当然だろうな―――」
「フェリシアに成りすました者が居ると…?」
(っ!? ぐ……息がっ)
「―――殿下っ。 魔力を抑えて下さいっ…!」
「!!……すまん…」
その時、応接室に設置されている呼び出しの音が鳴った。
ビィィィッ!!
「クィンザ殿下です。 ヴェルド殿下の魔力を感知したんでしょう…」
「ミランダル殿、後日改めてインジャスタ男爵令嬢に話を聞きます」
「分かった。伝えておく」
「アルフォード、この教科書は此方で預かっておくよ?」
「ああ。 宜しく頼む」
4
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
そちらがその気なら、こちらもそれなりに。
直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。
それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。
真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。
※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。
リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。
※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。
…ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº…
☻2021.04.23 183,747pt/24h☻
★HOTランキング2位
★人気ランキング7位
たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*)
ありがとうございます!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。
乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。
唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。
だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。
プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。
「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」
唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。
──はずだった。
目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。
逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる