逃げてもいいですか?…ダメ?…なら契約を…

ねこママ

文字の大きさ
33 / 44

しおりを挟む
キャンセルされたお茶会から数日…
シルグランド様の婚約者であるミリアンナ様が声を掛けて来ました。

「フェリシア様、おはようございます」

「おはようございます、ミリアンナ様」

「あの…今日サロンでクリスティアナ様と個室の予約をしていますの。 フェリシア様もいらっしゃいませんか? お話ししたい事があって…この後、スザンナ様にもお声を掛けるのですけど如何いかがでしょう?」

「まあっ! 嬉しいわっ。 ゲイルも一緒でいいのかしら?」

「ええ。 ゲイル様なら構いませんわ」

「俺だけか? 他に男が居ないなら席を外すが…」

「いいえ。ゲイル様にも是非同席して欲しいのですわ」

「? ならいいが…」

何となく、ミリアンナ様の顔色が悪いのは気のせいかしら…?
話したい事があると言っていたわね…

「ミリアンナ様、何かありましたの?」

「……皆様が揃ってからお話し致しますわ…」


そして授業が終わり、予約していると言うサロンへ急いだ。


ノックして個室サロンへ入ると、既に皆来ていて私達が最後だった。


「お待たせしました」

「これで全員揃いましたわね」

ミリアンナ様がお茶を淹れて私とゲイルの前に置き、自分の席に座り直してゆっくりと話し始めた。

「フェリシア様、ここ数日ある噂が流れているのをご存じです?」

「噂…?」

「ええ」

「聞いた事無いけど…どんな噂が?」

「それが…殿下方がとある令嬢にご執心だとか…」

「まあ! そんな噂が!?」

(先日まではそんな素振りは無かったのに…いつの間に…)

「わたくしも聞きましたわ…」

「スザンヌ様も?」

「ええ。 お相手はアリエル・インジャスタ男爵令嬢ですわ」



          ◇



私とゲイルは今、馬車で屋敷へ帰っている最中です。
ゲイルがおもむろに顔を上げて言いました。

「そういえば、この間の茶会のキャンセル後…王子達に会っていないな」

「ええ、そうね。 考えてみれば変だったのよね…一般開放区域に案内されたのも、数日経つのに何の音沙汰もない事も…」

今までの彼等なら、例え忙しくても言伝や謝罪くらいはして来る筈…

「でも、王族の2人に何かあったというのは大変な事だけど…」

「アルフォード・ミランダル…か?」

「ええ…」

「確かに、あの2人までがおかしいという事は、彼の状態も良いとは言えないだろうな…」

「それに…」

(ここ数日、お兄様が帰って来て無い事も関係あるかも知れない…)

「ジルベールと…早急に連絡を取る必要があるな…恐らく彼と行動を共にしている可能性が高い」

「お兄様は大丈夫かしら…?」

「わからん…俺の影響がどこまで及んでいるか……まだ正気を保っていると思いたいがな」

「とにかく。 他国の王族に何かあっては大事おおごとだわ。彼を最優先で動きましょう!」

「わかった」



しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。

乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。 唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。 だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。 プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。 「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」 唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。 ──はずだった。 目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。 逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね

星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』 悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。 地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……? * この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。 * 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。

パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。 将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。 平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。 根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。 その突然の失踪に、大騒ぎ。

処理中です...