逃げてもいいですか?…ダメ?…なら契約を…

ねこママ

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話をしなくてはね…

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馬車が屋敷に着いて、俺はフェリシアを部屋へ連れて来た。


「今からジルベールを探しに行く」

「私も行くわっ」

「ダメだ。 お前はここに居ろ」

「どうしてっ…」

「お前が一緒だと捜索範囲がせばまる」

「っ!!」

悔しいだろうが、こればかりは仕方ない…

「…何かあればすぐ念話を送るから。 大人しく留守番しててくれ」

「…………わかったわ…お兄様を、お願いね……?」

「ああ。 行って来る」


かなり不服そうなフェリシアを部屋に残し、俺は動きやすそうな神獣姿になり認識疎外の魔法を使い、姿を見えなくして屋敷をあとにした。

『シルフ!』

ややあって、シルフがやって来た。

『なぁに?』

『ジルベールの居る所は分かるか?』

『ちょっと待ってね………………見つけた』

『何処だ?』

『ん~~。 大きい建物の中よ。 人間が沢山いるみたい』

『学園か?』

『違うみたいね。 でも、似てるわ』

―――学園に似てる…?

『王立魔法学院か……』

『誰かと一緒みたいね。 若い男よ、学園でよく一緒に居る人間』

『隣国の王子と居るのかも知れんな…丁度良い』

『用事はそれだけ?』

『いや。 今、屋敷にはフェリシアと使用人しか居ない。 父親か母親が帰って来るまでフェリシアを頼みたい』

『わかったわ。 外に出さない様にすればいいのね?』

『そうだ。 それと、この国の王子2人が魅了に掛かっている可能性が高い。万が一王族関連で誰かが来たら知らせろ』

『了~解』

俺はフェリシアをシルフに託し、王立魔法学院へ向かった。




―――ジルベールside―――


僕とアルフォードは、魔法学院を見学するために学園へ休学届を出し、ここ数日で色々見て回っている。


「ミランダル第2王子殿下、カストリア卿、此方こちらへどうぞ」

隣国の王族であるアルフォードが一緒に居る所為せいか、魔法学院の理事長が直接案内してくれる事になったが、どうにも堅苦しいな…

まだ学院生徒ではないから仕方ないと言えばそうなんだが…

「お2人共、見学されてどうでしたかな?」

「ジルベールはどうだ? 来年には此処へ来るのだろう?」

「ああ。 そのつもりだ。 理事長、能力別に分けて授業をするのはいつからですか?」

「学院に入ってから、三ヶ月後ですな」

「では、かなり早い段階で選別するのですね」

「そうです。 そして、毎回三ヶ月毎にテストをして組み替えます」

「ほぉ…」

アルフォードの眼が喜色きしょくを含みだす。

「その都度、能力に合った授業を受けられる訳だな」

「そうですね。 身の丈に合わない授業を受けても無駄になりますから」

「成程、理にかなっているな」

ここ数日は学院内を案内して貰っていたんだけど、どうやらアルフォードも興味があるみたいだな。
もしかすると、隣国へ帰らずに留学を続けるつもりなのかもしれない。


(あれから日数も経って落ち着いただろう…話をしなくてはね…)


アルフォードの屋敷に泊まり込んだ日の翌日、彼は夜中にうなされていた。
なかなか眠れなくて風にあたろうと部屋を出たら、向かい側の彼の部屋からうめき声が聞こえてきて…

《ううっ……俺の中から出て行けっ!》

慌てて部屋へ入ったら、寝台の上で頭を抱えてうずくまっていた。


(起こした時には何も覚えてなかった様だったけど…)


そんな事を考えていた時、アルフォードの眼が急にけわしくなった。
彼が見ている方向へ顔を向けると、そこに居たのは…


「やあ、ジルベール」


―――ゲイルが笑顔でこちらへ歩いて来ていた。



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