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第四章 元冒険者、真の実力を見せつける
37:史上最強モンスター、出現
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一方、ディエゴのパーティはというと、数ヵ月前までとは見た目から違っていた。
中級冒険者になったため、身につけている衣服はワンランクダウン。さらにクリスタルを追い出し、上級冒険者なのに上級ダンジョンが攻略できなくなったパーティは、評判がだだ下がり。
クロエが抜けてから、ずっとディエゴとイアンとジェシカの三人で討伐している。
そのせいでダンジョン攻略の効率も悪く、上級冒険者の『ウマウマ』時代を知る三人にとって、この状況は屈辱的だった。
「明日は七時半に、冒険者みんな集合だって?」
討伐から帰ってきて部屋に戻ると、テーブルの上に紙が置いてあったのだ。
『ウォーフレム冒険者ギルドに所属する冒険者一同に、重要な知らせがある。明日の午前七時三十分に、全員庭に集合してほしい』
その置き手紙は管理人からのようである。
「さっきどこからか、かなり強いモンスターが現れたと聞こえてきたような」
イアンの言葉にジェシカがバッと飛びつく。
「マジで? うちらで倒せば報酬がザックザク――」
「俺らにやらせてもらえるわけないだろ」
バッサリ切り捨てるイアン。だが、ディエゴは乗り気である。
「いや、そこはこっそり忍びこめばいい。こっそり忍びこんで、こっそりモンスターを倒す」
「その手があったわね!」
「マジで言ってんのかよ……」
イアン以外の二人は、どうやら自分が中級冒険者であることを忘れているらしい。
密かに野心を抱えながら、三人は寝床に着いた。
次の日の午前七時三十分。
騎士団とは違い、列は作らずバラバラに冒険者たちが集まっていた。パーティごとには固まっているように見える。
「全員集まったか? あと一パーティ?」
管理人が後ろを向くと、ギルドの建物から初級冒険者たちが走って向かってきた。先日冒険者になったばかりだという。
「よし、集まったな。ソロの冒険者のことはいちいち待ってられないから知らん」
知らないと言われたソロ冒険者・クロエは、一応庭に来ている。
「今日ここに集まってもらったのは、昨日上級ダンジョンに、史上最強のモンスターが現れたからだ。五十年前からモンスターの記録は残されているが、どのモンスターよりも強い」
イアンが耳にしていたとおりだった。
今までで一番強かったモンスターは、二十五年前にクリスタルの父たちが倒した、キング・カイタンというモンスター。巨大なイカのようなモンスターだ。
「さらに、中級・初級のダンジョンの奥にいるモンスターも、上級並の強さになっていたらしい」
自分たちには関係ないと高を括っていた初級と中級の冒険者たちに、どよめきが起こる。
「えっ、どういうこと?」
「その最強のモンスターのせいで強くなっちゃったとか?」
「えぇ……リスクがデカすぎる」
より強いモンスターを倒せば換金額が大きくなる。が、初級や中級の冒険者が上級並のモンスターに挑むには、死に行く覚悟で行かなければならない。
「今日から基本、初級・中級冒険者はダンジョン立ち入り禁止だ。実際、昨日ダンジョンの奥に進んだ初級冒険者が、大ケガをして帰ってきたからな」
ざわめきが止まらない冒険者たちに、管理人は手を叩いて大声で「死にたくないなら話を聞け」と叫ぶ。
「今日からは初級と中級ダンジョンに、上級冒険者たちを向かわせることにする。上級冒険者の中でも強い人には、ダンジョンからモンスターがあふれて来ないように、モンスターを間引いてもらう」
今の現役の冒険者で、二十五年前を知る者はほとんどいない。だいたい四十歳を超えると、体力面で冒険者を引退する人が多いからだ。
ただ一人、初級冒険者で細々と冒険者を続けている男がいるが。
「まず、初級と中級のダンジョンの奥にいる強いモンスターを倒すこと。それができれば初級と中級の冒険者は元のダンジョンに入ってよいことにする」
これから、かつてない脅威が冒険者たちを襲うこととなる……。
「な、なんだこいつ……!」
こっそり中級ダンジョンに入ったディエゴたちは、案の定痛い目に遭っていた。
昨日のようにダンジョンの奥まで進むと、見たことのないモンスターが待ち構えていたのだ。
「そもそも近寄れない!」
そのモンスターは植物のような形をしているものの、色はどす黒く、花のようなところから液体を撒き散らし、茎のようなところについているトゲを飛ばしてくる。
「ダメだ、撤退だ!」
三人とも長剣使いなので、誰も遠距離攻撃ができない。完全に三人が苦手とする敵の強化版が現れてしまったのだ。
その時、背後から矢が空を切っていき、ジェシカの方に向かっていたトゲが撃ち落される。
「お、お前たちは?」
ディエゴが振り向いた先には、上級冒険者たちの姿。そのうちの一人が矢を放ったあとの姿勢をしている。
「あぁ。ディエゴのパーティ……って、お前ら、降格したのにどうしてここにいるんだ」
「そうだった。この三人、今は中級だもんね」
鼻で笑われ、苦虫を噛み潰したような顔をした三人は、「う、うるせぇ!」とダンジョンの外に逃げ帰っていった。
しかし、このような目に遭っているのは、上級ダンジョンで間引きをする上級冒険者も同じである。
「何か、いつもよりモンスター強くない?」
「外殻が硬くなっているな。刃が刺さりにくい」
大事を取って他のパーティに入れてもらったクロエ。予想通り、昨日までは一人で狩っていた場所が、複数人必須のダンジョンになってしまった(※クロエの主観。他の人は通常時でも複数人必須)。
「しかも、時々初めて見るモンスターも出てくるよね。やっぱり奥にいる最強モンスターが原因?」
「一理ある。討伐が終わったら、二十五年前のキング・カイタンの資料を見てくるか。参考になるかもしれない」
「そうね。私も見てみる」
クロエは腰の矢筒から矢をまとめて数本取り出し、立て続けに矢を放っていった。
中級冒険者になったため、身につけている衣服はワンランクダウン。さらにクリスタルを追い出し、上級冒険者なのに上級ダンジョンが攻略できなくなったパーティは、評判がだだ下がり。
クロエが抜けてから、ずっとディエゴとイアンとジェシカの三人で討伐している。
そのせいでダンジョン攻略の効率も悪く、上級冒険者の『ウマウマ』時代を知る三人にとって、この状況は屈辱的だった。
「明日は七時半に、冒険者みんな集合だって?」
討伐から帰ってきて部屋に戻ると、テーブルの上に紙が置いてあったのだ。
『ウォーフレム冒険者ギルドに所属する冒険者一同に、重要な知らせがある。明日の午前七時三十分に、全員庭に集合してほしい』
その置き手紙は管理人からのようである。
「さっきどこからか、かなり強いモンスターが現れたと聞こえてきたような」
イアンの言葉にジェシカがバッと飛びつく。
「マジで? うちらで倒せば報酬がザックザク――」
「俺らにやらせてもらえるわけないだろ」
バッサリ切り捨てるイアン。だが、ディエゴは乗り気である。
「いや、そこはこっそり忍びこめばいい。こっそり忍びこんで、こっそりモンスターを倒す」
「その手があったわね!」
「マジで言ってんのかよ……」
イアン以外の二人は、どうやら自分が中級冒険者であることを忘れているらしい。
密かに野心を抱えながら、三人は寝床に着いた。
次の日の午前七時三十分。
騎士団とは違い、列は作らずバラバラに冒険者たちが集まっていた。パーティごとには固まっているように見える。
「全員集まったか? あと一パーティ?」
管理人が後ろを向くと、ギルドの建物から初級冒険者たちが走って向かってきた。先日冒険者になったばかりだという。
「よし、集まったな。ソロの冒険者のことはいちいち待ってられないから知らん」
知らないと言われたソロ冒険者・クロエは、一応庭に来ている。
「今日ここに集まってもらったのは、昨日上級ダンジョンに、史上最強のモンスターが現れたからだ。五十年前からモンスターの記録は残されているが、どのモンスターよりも強い」
イアンが耳にしていたとおりだった。
今までで一番強かったモンスターは、二十五年前にクリスタルの父たちが倒した、キング・カイタンというモンスター。巨大なイカのようなモンスターだ。
「さらに、中級・初級のダンジョンの奥にいるモンスターも、上級並の強さになっていたらしい」
自分たちには関係ないと高を括っていた初級と中級の冒険者たちに、どよめきが起こる。
「えっ、どういうこと?」
「その最強のモンスターのせいで強くなっちゃったとか?」
「えぇ……リスクがデカすぎる」
より強いモンスターを倒せば換金額が大きくなる。が、初級や中級の冒険者が上級並のモンスターに挑むには、死に行く覚悟で行かなければならない。
「今日から基本、初級・中級冒険者はダンジョン立ち入り禁止だ。実際、昨日ダンジョンの奥に進んだ初級冒険者が、大ケガをして帰ってきたからな」
ざわめきが止まらない冒険者たちに、管理人は手を叩いて大声で「死にたくないなら話を聞け」と叫ぶ。
「今日からは初級と中級ダンジョンに、上級冒険者たちを向かわせることにする。上級冒険者の中でも強い人には、ダンジョンからモンスターがあふれて来ないように、モンスターを間引いてもらう」
今の現役の冒険者で、二十五年前を知る者はほとんどいない。だいたい四十歳を超えると、体力面で冒険者を引退する人が多いからだ。
ただ一人、初級冒険者で細々と冒険者を続けている男がいるが。
「まず、初級と中級のダンジョンの奥にいる強いモンスターを倒すこと。それができれば初級と中級の冒険者は元のダンジョンに入ってよいことにする」
これから、かつてない脅威が冒険者たちを襲うこととなる……。
「な、なんだこいつ……!」
こっそり中級ダンジョンに入ったディエゴたちは、案の定痛い目に遭っていた。
昨日のようにダンジョンの奥まで進むと、見たことのないモンスターが待ち構えていたのだ。
「そもそも近寄れない!」
そのモンスターは植物のような形をしているものの、色はどす黒く、花のようなところから液体を撒き散らし、茎のようなところについているトゲを飛ばしてくる。
「ダメだ、撤退だ!」
三人とも長剣使いなので、誰も遠距離攻撃ができない。完全に三人が苦手とする敵の強化版が現れてしまったのだ。
その時、背後から矢が空を切っていき、ジェシカの方に向かっていたトゲが撃ち落される。
「お、お前たちは?」
ディエゴが振り向いた先には、上級冒険者たちの姿。そのうちの一人が矢を放ったあとの姿勢をしている。
「あぁ。ディエゴのパーティ……って、お前ら、降格したのにどうしてここにいるんだ」
「そうだった。この三人、今は中級だもんね」
鼻で笑われ、苦虫を噛み潰したような顔をした三人は、「う、うるせぇ!」とダンジョンの外に逃げ帰っていった。
しかし、このような目に遭っているのは、上級ダンジョンで間引きをする上級冒険者も同じである。
「何か、いつもよりモンスター強くない?」
「外殻が硬くなっているな。刃が刺さりにくい」
大事を取って他のパーティに入れてもらったクロエ。予想通り、昨日までは一人で狩っていた場所が、複数人必須のダンジョンになってしまった(※クロエの主観。他の人は通常時でも複数人必須)。
「しかも、時々初めて見るモンスターも出てくるよね。やっぱり奥にいる最強モンスターが原因?」
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