女王さまになったけど、魔族だし。弱小国だし。敵だらけだし。

桐坂数也

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女王さま、戦場へ赴く。

帝都の中心でアイを叫んだ女王さま。

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 帝国の首都、イオニア。
 すでにザクレス卿はそこに居て、帝国相手に丁々発止の交渉を繰り広げている。

「こたびの我がバンクロディ王国への侵略行為は到底見過ごせない。一歩間違えれば両国の安寧をおびやかす重大な事態になるところであった。貴国の見解をうかがいたい」
「むやみに騒ぎ立てて徒に事態をあおり立て、武力をもって処断しようとする姿勢は感心しない。貴国には充分な自重を求めるものである」

 議論はだいたいこんな感じ。お互いに負けを認めるわけにはいかないから、交渉は難航している。

 だいたい戦争って、始めるより終わらせる方が難しいのよね。
 国の支配者は自分勝手に好き放題戦争しているみたいに言う人がいるけど、そんなばかなことはない。戦争なんてただでできるわけじゃないのだ。莫大な戦費がかかる。人も武器も大量に必要だし、大量に失われる。勝ったところで占領地の支配体制の構築だの被災地の復興だの面倒ごとが山ほどある。戦死者や傷痍者の面倒もみなくちゃならない。手間ばかりだ。
 もちろん負ければ自分の命も含めて全てを失う。それがいやだから、いやいや軍備を整えて威嚇するわけだ。「おれの国に手を出すんじゃないぞ」と。

 そんな苦労も知らず好き勝手言っている連中には、ぜひ代わってくれと言いたい。切に言いたい。「戦争せざるを得ないこっちの身にもなってみろ」と。

 ともあれ。

 今回我が国は一方的に攻め込まれただけだ。当方に何の落ち度もない。
 ゆえに戦死者の補償も含めて賠償を請求するのは当然だ。
 だが一方の帝国は、理由のほどはわからないけれど一方的に攻め込んできた挙げ句撃退され、何も得るところがなかった。かっこ悪いにもほどがある。このうえさらに相手に向かって「こっちが悪かった。ごめんなさい」なんて口が裂けても言えない。国のメンツが許さない。
 そんなもんそっちの都合でしょうが、と言いたいところだけど、あたしも国の支配者として同情するところがなくもない。

 なくもないんだけど。

「謝って! 戦死した兵士たちに謝ってよ!」

 交渉の場に遅れて到着したあたしが開口一番にぶつけた要求は、難易度最高のものだった。


 ◇


 だって、どうしても許せなかったんだもの。

 国のためを思って武器を取らず、それでも攻めかかる敵から同胞を守って死んでいった人たちが可哀想でならなかったんだもの。

 その名も知られぬ勇士たちが、何事もなかったかのように忘れられていくのが我慢ならなかったんだもの。

「あなたたちがどんな魂胆で攻め込んできたのか、あたしは知らない。だけど死んでいった者たちの思いは知らないとは言わせない。彼らはちゃんと協定を順守して、武器を取ることなく死んでいったわ。あなたたちも国を守る者なら、その思いがわからないはずないでしょう? 彼らを無視することは許さない。ましてあざ笑う奴がいたら、あたしは地の果てまで追いかけて八つ裂きにしてやるわ。国と義に殉じた彼らの存在を忘れることは絶対に許さない!」

 あたしは帝国宰相に向けて、思いのたけをぶちまけた。涙を流しながら、論理の欠片もなく、ただただむき出しの感情をぶつけた。

 腕を組んでむっつりとだまり込んでいた宰相は、やがて無言のまま席を立ってしまった。

 居心地悪い空気が流れる中、子供みたいに泣きじゃくっているあたしに、横から手巾が差し出された。

「ザクレス……卿……」
「またも、やらかしてくださいましたな」

 言葉とはうらはらに、ザクレス卿は怒ってはいなかった。

「……ごめんなさい」

 勇躍、敵国の首都まで乗り込んできて、せっかくの交渉をぶち壊してちゃ世話ないわ。ほんと、何しに来たんだか。

「でも陛下らしいですよ。それでこそ兵も民も陛下に従うというものです」

 ザクレス卿の言葉は、あたしの頭をくしゃくしゃとなでてくれたような気がした。


 ◇


 翌日の交渉では、ザクレス卿が先頭を切って攻め込んだ。

「今回の紛争に対し、貴国の謝罪と賠償を要求する」

 うわあ、禁じ手だ。そのカード切っちゃっていいの?

「戦死した兵士への賠償と、皇帝の名において謝罪の声明を発してほしい」

 うげ。
 あたしはもちろんのこと、こちら側の人員みな息を呑んだ。

 いや。いやいや。国務卿。
 それは禁じ手どころの騒ぎではないのでは?

 ものすごい威圧感に向かいを見ると。
 帝国宰相が悪鬼のような形相でこちらを睨んでいた。

「つけあがるなよ、魔族風情が……」

 帝国宰相バイロン公爵は、年の頃は五十か六十、ザクレス卿よりずっと年上だ。
 その役職にふさわしい、豊かな白髪のいかついおじさまである。その声は重々しくて迫力があった。さすが、超がつくほど重たい帝国を背負って立つだけはあるわ。

「きさまらなど、我が国がその気になれば丸ごと叩き潰すことも可能なのだぞ。なんなら、やってみるか?」

 あたしが震えあがった恫喝にも、ザクレス卿は動じなかった。

「お互いのためにならない脅し合いはやめましょう。確かに貴国と我が国との間には長い歴史があり、不幸な過去もありました」

 ザクレス卿の語り口はあくまで穏やかで、あたしはその声にくるまれて心の底から安心した。この人が一緒にいてよかった。こんなに頼りになる人がそばにいてくれるなんて。

「ですが過去に囚われていては未来の発展はない。貴国とはともに発展し、栄誉ある未来を見たいと願っています。なればこそ、我が方は次のことを要求として提案したい」

 戦死した兵士への補償。
 今回のことに対する帝国側の声明。
 休戦協定の廃止と講和条約の締結。

 ザクレス卿の出した要求は、こんな感じだった。
 あたしはちょっと驚いた。

「第一に、我が国への賠償となれば貴国には承諾しがたいでしょう。ですので、戦死した者への見舞金、ということで結構です。
 第二に、『声明』です。内容は後ほど精査したい。
 第三に、これを機にぜひとも恒久的な友好関係を構築したい。貴国は尊敬に値する一流の国であり、われわれは常にあなた方を見習ってきました。今後もそうありたいと思いますし、ともに未来へ発展して行きたいと思います」

 ザクレス卿は言葉を切った。
 相手側に、声にならないざわめきが広がっている。

 講和条約の締結。
 思い切った提案だわ。

 戦争が済んだら講和の締結、なんだけど、今まであたしたちはそれを言い出せなかった。
 なぜなら、講和条約とは「ここまでの過去のいざこざは全部なし! ノーカン! これ以上蒸し返して四の五の言うのなし!」という意味合いが含まれる。
 現状をすべて承認し、今後もう文句を言わないということだ。その中には今占有している領土の状態をも承認するという意味がある。

 つまり、あたしたちは先の戦争で失った領土に関して、今後いっさい文句をつけられないということになる。

 あたしたちは広大な国土を失った。そこに住んでいた人たちは故郷を失い、難民となって今の領内に移り住んだ。
 でもあたしたちはそれを諦めたわけじゃない。少なくとも対外的には、それはあたしたちの正当な領土であるという主張を続けている。

 だからあたしたちは、講和条約締結は必要だと思っていても言い出せなかったのだ。それを認めてしまえば、あたしたちは父祖伝来の土地を永久に失うことが確定してしまうから。

 それでもザクレス卿は、そのカードを切った。

 帝国側がざわつくのも当然だ。

 我が国のこの決断は、実は帝国にとってはたいした得でも、痛手でもない。現状追認に過ぎないから。
 でもあたしたちにとっては、断腸の思い。身を切る決断だ。

 その決断を突き付けて。
 ザクレス卿はまっすぐ、宰相を見据えていた。
 こちらがこれだけの思いをしているのに、なあなあで済ますつもりですか、と。

 宰相は再び腕を組んだ。


 ◇


「勝手なまねをして申し訳ありません、陛下」

 ザクレス卿があたしに向けて、深々と頭を下げる。

「陛下に無断で国益を損なう行いをなしたこと、万死に値します」
「いやいやいやいや、そんなことないから。死ななくていいから」

 直角九十度の礼で頭のてっぺんと角しか見えないザクレス卿に、あたしは必死で手を振った。

 確かに批判はまぬがれないだろう。
 これでバンクロディ王国は領土を諦めたと宣言してしまうわけだからね。

 でもその批判を受けるべきはあたし。女王ミルドレッドだ。
 これであたしは、広大な領土失陥を確定させた「失地王」として語り継がれるだろう。
 ザクレス卿もそれがわかっているから、あたしに顔向けできないと思ってるんだろう。

 でも。

「よく言ってくれました。あなたの判断、あたしも賛成します。でも事後じゃなく、事前に言っといてよね」

 あたしはわざといたずらっぽく笑ってみせた。
 うん。後世の評判なんて、どうでもいい。
 今生きている人たちが幸せに生きられるなら、それでいい。

 故郷を失った人たちには本当に申し訳なく思う。その人たちになんと言われても、あたしは甘んじて受けるしかない。

 だけど、今いる人たち、国民すべてをあたしは守らなくちゃならない。だから。

「あたしも女王の名において、声明を出すわ。今回は平和のために目をつぶったけど、ウチの国に手を出したらひどいわよって。ただじゃすまさないからねって」
「陛下……」

 条約とは別に、あたしも意志表明をする決意をした。

 あたしたちバンクロディ国民は平和を愛する民である。だがそれは戦わないことを意味しない。
 理不尽な暴力には全力で抵抗する。誇りをかけて戦い抜く覚悟がある。ゆえなく侵略する者はただではおかないからそのつもりで来なさい――。

 そう宣言するつもりだ。
 もうあたしたちは縮こまって一方的に殴られているようなことはない。なめてかかったらひどい目にあうからね。

「陛下……少し見ない間に、ずいぶん野蛮になられましたな」
「だっ、誰が野蛮よ!」

 呆れたようなザクレス卿の言葉にあたしは噛みついた。ちょっとそれ、ひどいんじゃない?

「はは、でも頼もしい王におなりで。ずいぶんと成長なされましたな」
「なによその『いいおじさん』モードは?」

 おしめを換えてやっていたあの子がこんなに立派になってまあ……みたいな、そういう述懐ステージはやめてよね、ほんと。子供じゃないんだから。

「あたしはこの国が、この国のみんながなめられたまんまでいるのが我慢ならないだけよ。みんなすごいんだから、もっと自信を持ちなさい」
「はい」
「しゃんと背筋を伸ばして、顔を上げて、絡んでくる奴がいたら睨み返しなさい。あなたたちなら絶対負けないんだから」
「はい、かしこまってございます。なんなら標語にして国中に表札を立てましょうか?」
「そんな恥ずかしい真似しなくていい!」

 まったくこのおっさんは……。いやそんなこと言えるほどあたし、未悠みゆも若くないけどさー。

 でも女王の言葉はそれくらい重いのよね。うかつなこと言わないようにしないと。


 ◇


 交渉はおおむねザクレス卿の提案の通りに進んでいった。帝国側の声明内容が難航しているけど、よほどのことがない限りはこちらも妥協するつもりでいる。

 補償金については早々に妥結した。この成果は国に持って帰れそうだ。

 交渉がひと区切りして、あたしは皇帝との会見の機会を持った。
 だってせっかく女王みずから出張ってきてるんだしさあ。

 レマン帝国皇帝アウグレリウス。これも大帝国にふさわしい、ごっつい人だった。やっぱり、なめられたらいかんとか言って、わざわざこんな外見を作るのかしら、っていうくらいごっつい人だった。

 対する小娘のあたしは、いいのよこれで。
 でも舐めてかかることは許さない。その気概を小さな胸に秘めて、会見に臨む。

 お互いに儀礼的な会話のやりとりが大半を占める中、皇帝は常に探るような視線を向けていた。あたしを値踏みしているようだった。今まで眼中にもなかった小国の女王。そんな小娘がいきなり眼前に躍り出てきて、さてどんな風に見えているのかしらね?

「ともに栄誉ある未来のために」

 レマン帝国皇帝とバンクロディ王国女王はなごやかに握手して会見を終えた。
 いやあ、冷や汗かいたあ。そんな素振りは見せなかったけど、緊張したわ。

「それじゃ、帰るとしますか」

 ともかくも大仕事を終えて、心軽やかなあたしだった。

 けど、どうやら想像以上にあたしは評価されていたらしい。
 こいつをのさばらせておくと後々面倒なことになる、と危機感をつのらせるくらいには。

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