31 / 59
第二章 水の鍵の乙女
戦い終えて喜びも悔しさも。
しおりを挟む
魔法使いに傷を治してもらい――完全には治らなかった。そうそう便利な魔法はないらしい――そして雨乞いの宴の最中に眠りこけてしまったぼくは、二日二晩眠り続けていたらしい。
その間ぼくの唇を奪取せんものと、サキとクルルが暗闘を繰り広げていたとかいないとか、は魔法使いのディベリアに後から聞いた。乙女ゲーかよ。
薄暗がりの中で目を覚ましたぼくは、寝床に伏したまま右手を目の前にかざした。手当てはされているが、まだ痛い。
(今回もなんとか助かったなあ……)
思い返すだけでも、強敵ばかりだった。普通に生活していたら絶対に会うことはなかったような連中だ。正面切って戦ったら、まるで勝負にならず一刀のもとに沈められてしまう、そんな相手ばかりだった。
そうならなかったのは姫たちがぼくを守ってくれたから。
そして今回も助けられっぱなしだった。よく助かったな。
ふと思う。あの強敵たちと、もし普通に会っていたらどうだったのだろう?
みんな一芸に秀でたすごい奴らで、人間的にもいい奴らで、尊敬できる友人や先輩になっていたのかもしれない。
でも敵として出会ってしまった。
彼らとはまだ戦い続けなければならないのだろうか。
「あ、遼太さん。気がつきました?」
サキが部屋に入ってきた。
元の自分の服に着替えている。黒のワンピースだ。でもソックスと靴はない。戦いの最中に焼き捨ててしまったからだ。
「よかったです。よっぽど疲れていたんですね」
照れ隠しにぼくは笑った。笑い返すサキの唇の色は、黒だった。
「リョウタあ。会えなくてさみしかったよお」
クルルが飛び込んできた。左手はサキが占領しているから、上から覆いかぶさるように抱きついてきた。
「いてて……」
「あ、ごめん」
クルルはそう言いながらも、離れようとしない。
「クルル。遼太さんは怪我しているのだから、ひどいことしないで」
「だってリョウタの手はサキが取っちゃってるじゃない。だからこっち。リョウタだって胸があった方が気持ちいいよね?」
「なっ!?」
「こらこら。なんて会話をしている?」
仲がいいんだか悪いんだか。
しぶしぶ脇によけたクルルの金の眼も水色の髪の色も、ぼくには薄い影にしか見えなかった。
ぼくは色覚を失っていた。
今、目に映る世界はモノクロ。濃淡しかわからない。
不便ではある。サキの可愛い赤い唇やクルルの魅力的な金の猫目が、その通りに見えないのはさみしい。
けれど、それを言えば、サキは悲しむし、クルルは自分を責めるだろう。だから、このままでいい。命を取られたわけでなし、それを考えれば拾いものだ。
+ + + + +
「さて、火傷は治療したし、次は右目だ」
「無用だ!」
フラムの言葉を、ラガンが言下に拒絶した。
「あんな小僧と小娘に後れを取るなど、屈辱以外のなにものでもない。我が身の不徳だ。戒めのためにも傷は治さぬ」
「まあその心がけは尊重するよ。だが片目が見えないと距離感がつかめないぞ? 意地を張って主命をまっとうできないのは、それこそ不徳じゃないか?」
フラムの正論に、ラガンは歯ぎしりせんばかりだったが、そのラガンにフラムは突然頭を下げた。
「すまなかったね。今回はわたしのミスだ。なまじ剣に魔法を付与してしまったばかりに、仕留め損なったと聞いた。余計なことをした」
「……いや。あの付与魔法がなかったら、赤の姫に焼き尽くされていた。感謝している」
フラムは元の人を食った笑顔に戻った。
「心配しなくとも、右目は完全には治せない。傷は残ってしまうよ。
それにこう見えて、わたしも魔力がもう空っぽなんだ。治療には時間がかかるよ」
「……」
ラガンは無言で、僚友の魔術師を見やった。赤の姫と青の姫、ふたりの鍵の乙女の底なしの魔力に全力で対抗していたのだ。へらへらしているのは精一杯の意地かもしれない。
だが、いくら強敵を相手に善戦したと言っても、惨敗したのは事実だ。生還できたのは彼らだけだった。キリエは今回の責を問われて呼び出されている。隊も任務から外されることだろう。
「是非もないが……無念だ」
ラガンの感想はもっともだ。
「今のところは、おとなしくしているしかないな」
だが、このままでは終わらない。その思いは同じだった。
それを言葉にすることはせず、フラムは元の人を食った笑顔を浮かべた。
「では、少し養生するとしようか。戦略を練り直す時間も必要だ」
+ + + + +
「ユナフル! 聞いた? キリエさまが収監されちゃったって」
「ん」
「元老院の査問にかけられるんだって」
「ん」
「はん! あんなジジイどもに現場のなにがわかるのよ? あたしたちの苦労なんか……って、ユナフル、聞いてる?」
「ん」
メルフルは両手をあげて肩をすくめた。
「もうあんたってば、いつもそうなんだから。悔しくないの?」
「ん」
「どっちなのよ?」
ユナフルはとても無口だ。たいていいつも一緒にいるから、しゃべるのはメルフルの役割になる。ことに他人に対しては、ユナフルはメルフルに任せっきりで、ひと言も口をきかない時さえある。男たちと飲んだとき、せっかく二対二だったというのにユナフルは食べながら話を聞いているだけだった。熱心に話しかけてくる向かいの男に対してひと言も発せず、食べるのとうなずくだけで宴席をしのぎきった。あげくに相手が気遣って筆談を申し出たほどの剛の者(?)だ。
「まあ、すぐに戻るよ」
ユナフルはそれだけ答えて、淡々と自分の任務に精を出している。それは上司であるフラムから言い渡された任務だった。異世界になるべく多くの人間を転移させる技。その理論の実践と安定化。それは闇属性のユナフルと光属性のメルフルという組み合わせにはうってつけだった。
双子だから顔はそっくりだが、印象が全然違うのは、その身にまとうローブの違いであったかも知れない。ユナフルは黒、メルフルは白。ともに序列二位の銀の刺繍でふち取られている。
ちなみに序列最上位である金のふち取りは、ふたりの上司であるフラムを含めて三人しか、この国では許されていない。
「フラムさまも気前がいいよねえ。この研究を公開しちゃうって言うんだから。天才の考えることはわかんないわ」
ぐちるメルフルに、
「わたしはわかるよ」
机上の大きな紙に定規を当てて線を引き、書き込みしながら、ユナフルが答える。
「それって自分も天才だって言いたいわけ?」
腰に手を当ててユナフルを睨みつけるメルフルを見やり、
「ふっ」
わずかに口もとを動かすユナフル。
「あっ! 笑った! あたしのことバカだと思ってる!」
「思ってないよ。ユニークだなって思うだけ」
「それってやっぱりバカにしてる!?」
ヒートアップするメルフルにかまわず、ユナフルは脇の分厚い本をめくり始める。この国の魔法大全に収められているこの巻の半分はユナフルが、残り半分はメルフルが書いたものだ。書いた時は二十歳前、そのもととなる理論を作り出したのは十八の時だ。
「バカじゃこんなの書けないでしょ」
ぐっと言葉に詰まるメルフルが書いた章を書き写しながら、ユナフルが言った。
書く手を休めず、
「今回のは実験。ほかの隊が試してくれるんだから、感謝したいくらい」
ユナフルの言葉に、やっとメルフルも納得したようだ。
「キリエさまの出番はまたすぐに来るよ」
「その時がこの転移魔法を目いっぱい使える時、ってことね?」
野心的なメルフルの笑みに、ユナフルも顔を上げてうなずく。
同じ笑顔は、双子ならではだった。
その間ぼくの唇を奪取せんものと、サキとクルルが暗闘を繰り広げていたとかいないとか、は魔法使いのディベリアに後から聞いた。乙女ゲーかよ。
薄暗がりの中で目を覚ましたぼくは、寝床に伏したまま右手を目の前にかざした。手当てはされているが、まだ痛い。
(今回もなんとか助かったなあ……)
思い返すだけでも、強敵ばかりだった。普通に生活していたら絶対に会うことはなかったような連中だ。正面切って戦ったら、まるで勝負にならず一刀のもとに沈められてしまう、そんな相手ばかりだった。
そうならなかったのは姫たちがぼくを守ってくれたから。
そして今回も助けられっぱなしだった。よく助かったな。
ふと思う。あの強敵たちと、もし普通に会っていたらどうだったのだろう?
みんな一芸に秀でたすごい奴らで、人間的にもいい奴らで、尊敬できる友人や先輩になっていたのかもしれない。
でも敵として出会ってしまった。
彼らとはまだ戦い続けなければならないのだろうか。
「あ、遼太さん。気がつきました?」
サキが部屋に入ってきた。
元の自分の服に着替えている。黒のワンピースだ。でもソックスと靴はない。戦いの最中に焼き捨ててしまったからだ。
「よかったです。よっぽど疲れていたんですね」
照れ隠しにぼくは笑った。笑い返すサキの唇の色は、黒だった。
「リョウタあ。会えなくてさみしかったよお」
クルルが飛び込んできた。左手はサキが占領しているから、上から覆いかぶさるように抱きついてきた。
「いてて……」
「あ、ごめん」
クルルはそう言いながらも、離れようとしない。
「クルル。遼太さんは怪我しているのだから、ひどいことしないで」
「だってリョウタの手はサキが取っちゃってるじゃない。だからこっち。リョウタだって胸があった方が気持ちいいよね?」
「なっ!?」
「こらこら。なんて会話をしている?」
仲がいいんだか悪いんだか。
しぶしぶ脇によけたクルルの金の眼も水色の髪の色も、ぼくには薄い影にしか見えなかった。
ぼくは色覚を失っていた。
今、目に映る世界はモノクロ。濃淡しかわからない。
不便ではある。サキの可愛い赤い唇やクルルの魅力的な金の猫目が、その通りに見えないのはさみしい。
けれど、それを言えば、サキは悲しむし、クルルは自分を責めるだろう。だから、このままでいい。命を取られたわけでなし、それを考えれば拾いものだ。
+ + + + +
「さて、火傷は治療したし、次は右目だ」
「無用だ!」
フラムの言葉を、ラガンが言下に拒絶した。
「あんな小僧と小娘に後れを取るなど、屈辱以外のなにものでもない。我が身の不徳だ。戒めのためにも傷は治さぬ」
「まあその心がけは尊重するよ。だが片目が見えないと距離感がつかめないぞ? 意地を張って主命をまっとうできないのは、それこそ不徳じゃないか?」
フラムの正論に、ラガンは歯ぎしりせんばかりだったが、そのラガンにフラムは突然頭を下げた。
「すまなかったね。今回はわたしのミスだ。なまじ剣に魔法を付与してしまったばかりに、仕留め損なったと聞いた。余計なことをした」
「……いや。あの付与魔法がなかったら、赤の姫に焼き尽くされていた。感謝している」
フラムは元の人を食った笑顔に戻った。
「心配しなくとも、右目は完全には治せない。傷は残ってしまうよ。
それにこう見えて、わたしも魔力がもう空っぽなんだ。治療には時間がかかるよ」
「……」
ラガンは無言で、僚友の魔術師を見やった。赤の姫と青の姫、ふたりの鍵の乙女の底なしの魔力に全力で対抗していたのだ。へらへらしているのは精一杯の意地かもしれない。
だが、いくら強敵を相手に善戦したと言っても、惨敗したのは事実だ。生還できたのは彼らだけだった。キリエは今回の責を問われて呼び出されている。隊も任務から外されることだろう。
「是非もないが……無念だ」
ラガンの感想はもっともだ。
「今のところは、おとなしくしているしかないな」
だが、このままでは終わらない。その思いは同じだった。
それを言葉にすることはせず、フラムは元の人を食った笑顔を浮かべた。
「では、少し養生するとしようか。戦略を練り直す時間も必要だ」
+ + + + +
「ユナフル! 聞いた? キリエさまが収監されちゃったって」
「ん」
「元老院の査問にかけられるんだって」
「ん」
「はん! あんなジジイどもに現場のなにがわかるのよ? あたしたちの苦労なんか……って、ユナフル、聞いてる?」
「ん」
メルフルは両手をあげて肩をすくめた。
「もうあんたってば、いつもそうなんだから。悔しくないの?」
「ん」
「どっちなのよ?」
ユナフルはとても無口だ。たいていいつも一緒にいるから、しゃべるのはメルフルの役割になる。ことに他人に対しては、ユナフルはメルフルに任せっきりで、ひと言も口をきかない時さえある。男たちと飲んだとき、せっかく二対二だったというのにユナフルは食べながら話を聞いているだけだった。熱心に話しかけてくる向かいの男に対してひと言も発せず、食べるのとうなずくだけで宴席をしのぎきった。あげくに相手が気遣って筆談を申し出たほどの剛の者(?)だ。
「まあ、すぐに戻るよ」
ユナフルはそれだけ答えて、淡々と自分の任務に精を出している。それは上司であるフラムから言い渡された任務だった。異世界になるべく多くの人間を転移させる技。その理論の実践と安定化。それは闇属性のユナフルと光属性のメルフルという組み合わせにはうってつけだった。
双子だから顔はそっくりだが、印象が全然違うのは、その身にまとうローブの違いであったかも知れない。ユナフルは黒、メルフルは白。ともに序列二位の銀の刺繍でふち取られている。
ちなみに序列最上位である金のふち取りは、ふたりの上司であるフラムを含めて三人しか、この国では許されていない。
「フラムさまも気前がいいよねえ。この研究を公開しちゃうって言うんだから。天才の考えることはわかんないわ」
ぐちるメルフルに、
「わたしはわかるよ」
机上の大きな紙に定規を当てて線を引き、書き込みしながら、ユナフルが答える。
「それって自分も天才だって言いたいわけ?」
腰に手を当ててユナフルを睨みつけるメルフルを見やり、
「ふっ」
わずかに口もとを動かすユナフル。
「あっ! 笑った! あたしのことバカだと思ってる!」
「思ってないよ。ユニークだなって思うだけ」
「それってやっぱりバカにしてる!?」
ヒートアップするメルフルにかまわず、ユナフルは脇の分厚い本をめくり始める。この国の魔法大全に収められているこの巻の半分はユナフルが、残り半分はメルフルが書いたものだ。書いた時は二十歳前、そのもととなる理論を作り出したのは十八の時だ。
「バカじゃこんなの書けないでしょ」
ぐっと言葉に詰まるメルフルが書いた章を書き写しながら、ユナフルが言った。
書く手を休めず、
「今回のは実験。ほかの隊が試してくれるんだから、感謝したいくらい」
ユナフルの言葉に、やっとメルフルも納得したようだ。
「キリエさまの出番はまたすぐに来るよ」
「その時がこの転移魔法を目いっぱい使える時、ってことね?」
野心的なメルフルの笑みに、ユナフルも顔を上げてうなずく。
同じ笑顔は、双子ならではだった。
0
あなたにおすすめの小説
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる