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7・依頼人⑦向井絢斗

※涼くんのターン

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しばらく抱きついて落ち着くと、ケントさんは涼くんを呼びに行った。
ケントさんは約束通り、ゲストルームにこもったようだ。

「あまね~、言いたいこと言えたか?」

「言った。……涼くん、良くわかったね?」

「あまねのことは、なんでもお見通し。ケント先生はなんて?」

「女の人呼んでたけど、家政婦みたいな扱いしてたって」

「ひっど。でも、女の人呼ぶのは反則だよなあ。謝ってもらえた?」

「うん、ありがとね」


涼くんは俺をギュッと抱きしめてくれた。

「さて、メールのこと聞きたいんだけど」

「うん」

座って、テーブルにコドアラノートを開く。


俺は昨晩、涼くんに伝えることをひとまず箇条書きでラインした。
・結城直哉さんの身に起こっていることについて
・『もや』の発現条件について
・『もや』の消失条件について
・じじいについて

とりあえず、離婚した父に会いに行く話と、東雲病院のケースワーカーについてラインで説明した。それから『もや』の消失条件について。
ここで寝落ちしてしまい、とんでもないくらいの未読と着信がついた。


「『もや』が消える条件から話そうか。オレはやっぱ、触れるだけじゃ怪しいと思う。①も、1回くらいは触れたことあるんじゃない?  だって⑥の牧村好恵さんのもちょこんと一瞬だったろ?  そう考えたら、触るってのも条件じゃないのかも。もしくは別の組み合わせがあるとか。触れるプラス?」

「やっぱり~?  ①と②森内光太さんと、③遠山健三郎さんと、『もや』消えた人の違いが他にあるかな」

「②と③に触れてみたら、なんかわかるかもなあ」

「③遠山さんに会ってみるべき?」

「いやー、ちょっと保留にしよう。先に⑦結城直哉さんで試そう」

「そうだね」

「それにしても、こんなに『もや』視えてたんだな。『もや』が消える条件わかれば、いちいち『なんでも屋』で調査しなくても、あまねが抱きついていけばいいんだけどなあ。触れるが条件なら」

「いやそれでも、さすがに握手ぐらいでしょ」

「ハグの方がいきなりできるじゃん、」

「う~ん、俺できるかなあ」

「まあ握手じゃなくても触れればいいのか」
そう言って、涼くんはノートのそばに置いていた手を俺の方にのばし、指先を絡ませてきた。


「りょ、涼くん……」

「こうやってさ」
指の甲を優しくさすり、いやらしくなぞる。手の平を親指でぐりぐりと押したり、揉んでいく。重ねたり、持ち上げたり。水かきをつついたり。また絡ませてギュッと握ったり。

「━━━ッ」


「あまね、もしかして感じてきた?」

涼くんは続けて俺の手を持ち上げ、涼くんの口へと運んだ。

涼くんの舌が、俺の指を舐める。

くちゅ。

くちゅ。

ぺろ、ぺろ。

頭の芯がぼうっとなったかと思った瞬間、リビングと廊下の境い目のドアがコンコン、と鳴った。

いつの間にかドアは開かれ、ケントさんが腕組みをして立っていた。

「涼、なにしてるんだ、お前?」

怒りを抑えた、低い声だった。

「別に?  黙って女を家に上げられた、かわいそうな子を慰めていただけですけど?」
ひょうひょうと涼くんが返事をすると、ケントさんはつかつかと近づいて涼くんの胸ぐらをつかんだ。

「ケ、ケントさんッ」
俺が制止させようと声をかけたと同時に、ケントさんは涼くんのみぞおちを殴った。

「ガハッ」

「涼くん!!」

「来い」
ケントさんは俺をリビングの方へ引っ張って行き、ソファに押し倒した。

「が……は、ぁ、」
涼くんが苦しそうにうめき声を上げた。

「お前はそこから聞いてろ」
冷ややかに言い放ち、ケントさんは俺に馬乗りになって首筋に愛撫を始めた。

「んっぁあっ♡」

涼くんとは反対に、俺はケントさんのいやらしく這う舌先に感じて喘ぎ声を出す。

両手首を片手で押さえられ、下をあっという間に脱がされた。ここにいると、ソファの背もたれで涼くんの様子がわからない。

「涼の前で縛っていいか?」
熱い吐息に混じって恐ろしいことを聞く。

「だ、だめッ」


「虐められて、よがるあまねを見せたらどうなるかな」

「やめて、ケントさッん━━ッ」

意地悪なことを言いながら、ケントさんは俺をうつ伏せにし、片手で俺の両手を押さえつけた。口でローションの蓋を開け、とろとろと尻に垂らし、後孔に指を入れ、ほぐし始めた。

クチュクチュッ

クチュクチュッ

チュボッチュボッ

「はぁ♡あっあっ♡」

「ほぐすだけで気持ち良くなったか?」

「やっぁあッ」

「気持ちいいとこ、こすって欲しい?」

「やっだ、だめっ」

「言えよ」

「ケ、ケントさんッ1回、止めてッ!!」

「ダメ」

「おねがぃ━━ッ」

「ダメだ。涼に聞かせる」

「ヤダって!!」

俺は涼くんが気になって、全身で拒否を訴えたが、ケントさんは聞き入れない。

クチュクチュと左手の愛撫は続き、やがて指を深く差し込み前立腺をさすってきた。

「あっ♡」

グチュッグチュッ

指を増やして穴を拡げながら、気持ちいいとこを当てていく。

「ぁあッあっあ━━ッ」

「涼によがり声聞かせて大丈夫か?」

「や゛っ、じゃあ゛やめてよ゛ッ!!」

「やめるわけないだろ」

ケントさんは前立腺に細かく刺激を与え、俺は快楽を避けられない。

「や、や゛めてっ━━━ぁあっ♡あっ♡」

グチュッ

グチュッ

唾液を飲み込めず、口元からヨダレが流れ出す。ソファにシミを作り、その様子をケントさんはサディスティックに見下ろし、笑みを浮かべる。

「気持ちいいなぁ、あまね。もう限界じゃないか?  お友達が聞いてるのに、はしたなく喘いで恥ずかしい奴だな。それとも聞かれて興奮してるか?」

グニュッグニュッ

左手の指を開いて、後孔を拡げる。

「もうオレのはすっぽり入るぐらい拡がったな。昨日も何度も咥えこんだ穴だもんな。いやらしい穴、涼に見てもらうか?  涼にも虐めてもらうか?」

「や゛、やめてぇっあっん♡」

涼くんに挿れてもらうことを想像し、俺はドクドクと精液を放出した。

「はぁっはぁっ、ケ、ケントさんッもうおしまい゛ッ!!」

「まだオレ挿れてないけど?」

「涼くん帰してから!!」

俺ははぁ、はぁ、と息も絶え絶えに上半身を起こし、ソファの背もたれの向こう側をのぞいた。
涼くんは仰向けになり、フー、フー、と苦しそうに息を吐いていた。
「りょ、涼くん大丈夫?」

「だ、い、じょーぶ……」

ホッと胸を撫で下ろす。

「あま、ね、……なぐられ、た?」

「?  殴られてはないよ?」

「よかった……」

ケントさんはなにか気づいたようで、はあ、とため息をついた。
「……おい、涼、もしかしてそれ確認したくて煽ったのかよ」
その声はあきれたような抑揚だった。

「……当たりぃ~」
涼くんはいつもの明るい声で、答えた。


「怒りに、まかせて、殴らない……か、知りたかったんです」

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