《[元]引きこもりと不安定彼女》

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始まりの春

再会

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――体育館で面倒な入学式をなんとかやり過ごし一息ついていた。

ハァー面倒くさかった、なんであんなにつまんない話を長たらしくやれるんだろうな……

体育館の外に出るともう雨は止んでいた、周りを見てみると中学生からの友達だろうか皆で集まってわいわいと話をしていた。

はいはい、どうせ俺はぼっちですよ……マジで早く帰りたい……

俺は一人隅っこで座っていた。

ハァーと俺はため息をつき「帰るか」と立ち上がったその時、突然見知らぬ可愛い女子に話しかけられた。

「友達の所にはいかないんですか?」

あまりに突然で一瞬呼吸が止まってしまった。

「……あっはい俺友達いないんで」

なんなんだ?この子は突然……

「そうなんだ……なら僕と友達にならない?僕も友達いないんだ」

予想外の申し出にまたもや呼吸が止まってしまった。

「どうしたの大丈夫?顔白いよ」

俺が固まっていると、その子が俺の顔を覗きこんできた。

この子結構可愛いな……

そんなことを思わず思ってしまった。

「いや……この顔は元々ですので気にしないでください」

「同級生なんだし敬語はやめようよ」そう言ってその子は少し笑った

「そうです、あっそうだね」

ヤベー!緊張する!

「で、どうする?」そう言いながらその子は手を差し出してきた。

俺はその手をじっと見つめ「是非お願いします!」と手を握った。

するとその子は俺の顔をじっと見つめて。

「じゃあ敬語やめようね」

「あっ………わかった」

アブねー……また敬語で喋りそうだった。

「僕 内田 司よろしくね」

僕?……と少し俺は疑問に思ったが俺も「柊 湊ですよろしく」と自己紹介をした。

すると俺の顔にさっきの僕、発言にひっかかってる事に気づいたのか「男みたいな名前だけど女の子だから間違えないでね柊君」そう言って内田はニコッと笑って言った。

コイツ、エスパーか……そう思いながら「わかってるよ」と俺も笑って答えた。

「じゃあ僕はもう少し友達を作ってくるよ、またね柊君」そう言って内田は去っていった。

可愛い子だったなーそんな事を内田が去っていくのを見送った。

久しぶりにリアルの可愛い女子と普通に会話した俺は余韻に浸っていた。

内田の手、柔らかかったな……

先生が「いつまでいるんだ、お前達そういうのは次の機会にして今日は帰りなさい!」と怒鳴ったので慌てて帰路についた。

せっかく上がっていたテンションを先生に下げられてしまい俺はとぼとぼと帰り道を歩いていた。

朝のビチョビチョの子大丈夫かな、風邪ひいてないかな……行き道で見かけたとう事は、帰り道も途中まで一緒かもしれない!……探してみよ!

俺はキョロキョロと帰っていく生徒の中にあの子がいないか探しながら帰って行った。

あの子見あたらなかった。

――今日は高校初めての普通の登校日でありクラス分けの日だ。

目覚ましをかけていたので予定通りの時間に起き朝飯を食べ、雨に濡れてしまったがまだ新品と言える制服に着替え意気揚々と「行ってきます!」と俺は家を出たが家を出ると同時にさっきまでの気分は嘘だったかのように気分が落ちてしまった。

「ハァ……行くか」

学校か……ハァー

俺はどんよりとした暗い気分で学校に向かった。

学校に近ずいてくると他の生徒達もチラホラ見えだした。

緊張し過ぎて、まともに歩けない……筋力低下も関係あるかもだけど……

俺は緊張してきたのか体がガチガチになって変な歩き方をしていた。

そんなガチガチに緊張してる俺に誰かが後ろから声をかけてきた。

「おはよう!柊君」

俺はビクンとしてどもりながら挨拶をした

内田か……ビックリした。

「おっおはよう内田」

見るからに緊張している俺を心配したのか。

「どうしたんだいそんな緊張して?」

「どっどうもしてないよただ……」

「ただ?」

「緊張してるだけだ」

ガチガチの声で俺は言った。

「フフッ柊君は面白いね」そう言って内田少し笑った

「俺的には笑い事じゃないんだけどな」

「そうみたいだね、フフッ」また内田は笑った。

「あまり笑わないでくれ……恥ずかしい……」

俺は少し顔をそらして恥ずかしがった。

「ごめんフフッ、わかったよ」

「笑ってるじゃないか……」

内田と話しているといつの間にか緊張が少しとけていた。

――内田と話していると学校に着いた。

学校ではクラス分けの表の前で生徒達が集まっていた。

うわぁー人が多いな………

「さぁ早くクラス分けを見に行こう」

突然、内田が俺の腕をつかんで走り出した。

「ちょちょっと待ってよ」

俺は内田に引っ張られて走てった。

俺と内田はクラス分けの表の前に来た

内田が俺の腕から手を離した。

あっ

俺は少し残念な気持ちになった。

すると内田は俺の気持ちに全く気づかす普通にしゃべりかけてきた。

「僕たち同じクラスだといいね」

「……そうだね」

俺はクラス表のなかから自分の名前を探した――俺の名前はBクラスの欄にあった。

「俺はBクラスみたいだ」

「残念!僕はDクラスみたい」

え!……

俺は自分が思っていた以上に気持ちが落ち込んだ。

「………」

「そんな落ち込んじゃ駄目だよBクラスで新しい友達を作ればいいんだよ」と内田は軽い感じで言った。

俺にとっては唯一の高校の友達である、内田そんな事を言われて思わず「そんな簡単に言わないでくれ!」と内田に怒鳴ってしまった。

「……ごめん」

「あっいや、こっちこそ当然大きな声出してごめん」

「いや。こっちこそ、ごめん簡単に言っちゃって……クラスが違っても僕は柊君の友達だからに困ったらいつでもこっちのクラスに来るといいからね」

俺は内田の言葉に少しジーンときた。

「……ありがとう」

そんな他のクラスに行くなんて目立つ真似は絶対しないけど……多分

「こっちも見た感じDクラスに友達はいないみたいだし僕も頑張るからさ」

「そうだね!俺も頑張るよ」

俺はほんの少しだか友達をがんばって作る決意をした。

「Dクラスはあっちみたいだからじゃあね柊君」

「頑張ってな内田!」

「柊君もね」そう言って内田はDクラスの教室に向かっていった。

ハァ……これでまたボッチか……

――Bクラス教室の扉の前でスゥーフゥーと深呼吸をしてBクラスの教室に入って行った。

教室に入って黒板を見るとどこの席に座ってもいいと書いてあった。

どこでもいいなら端っこがいいな

俺は教室の後ろの端の席を見た、そしたら運良く空いていたのでそこに座った。

ハァー疲れた

人が大勢いる空間になれてないせいかすごく疲れていた。

このままじゃ疲れて倒れかもしれないと思った俺は鞄を机に置き、鞄を枕にして寝てる振りをすることに決めた。

そんな事を俺が思ってると担任の先生がやってきて出席確認をしだした。

「出席を確認する」

〇〇、〇〇、と次の次と名前を呼び始めた

………俺の名前が呼ばれた

その瞬間、俺は顔を一瞬あげ「はいっ」と返事しすぐに寝る振りに戻った、それを見た先生は俺をキツい目付きで睨んで「なんだあいつは」と言った。

そして俺は教室の皆にチラッと見られたがが大して騒がれずにすんだ。

その時俺は気持ちを落ち着かせるので精一杯だった。

ハァ…ハァ…ハァ…緊張した。

出席をとりおえた先生は少し話をすると授業を始めた。

――昼休み

クラスの皆はそれぞれ友達と弁当や学食のパンとかを食べながらワイワイ、会話をしていた。



俺はその時ずっとトイレに行くのをを我慢していた。

ヤッヤバい!どのタイミングで立ち上がればいいんだ

授業中も寝ている振りしていたせいで起きるタイミングがまったくわからなくなっていた、だかそろそろ限界が近づいていた。

もういいや、目立とうがなんだろうが行ってやる!

俺は相応のリスクを覚悟して立ち上がった。

「……」

周りでは普通に何も変わらずに皆は弁当を食べたり会話をし続けていた。

「…………」

なんか凄い勇気出して立ち上がった俺だったが全く見向きもされなかった。

「……」

その事実を理解した俺は何でもない顔でトイレに行って普通に用をたすのだった、そして何でもない顔をして席に座った。

「………」

そして俺は考え過ぎていた自分が恥ずかしくなった。

勢いよく席を立ち教室を出て階段を全て上がり屋上のドアを開けた。

ガチャ

数歩歩いた。

うわぁー!……って言おうとしたんだけど屋上にも生徒が何人かいたので言うのをやめた。

どうしていいのかわからないこの変な気持ちを一旦押さえて屋上の陰になっている隅っこに座った。

キーンコーンカーンコーン

予鈴がなった、屋上にいる生徒がぞろぞろと教室に戻り始めた。

だが俺はあんないてもいなくてもかわりのない教室に戻りたくなかった。

キーンコーンカーンコーン

本鈴がなった

それでも俺は戻らなかった

「……」

俺は空をボケーっと見上げていた。



下では体育の授業をしている声が聞こえてきた

「登校初日から授業をサボってしまった」とボソッと言った。

ガチャ

屋上のドアが開く音がした。

ヤベ! 先生か!

今は授業中だし生徒が来るはずないから先生が俺を探しにきたのかと思って屋上の入り口を見ていると「……え!」女子生徒が出てきた。

絶対生徒じゃないと、先生が俺を探しに来たのかと本気で思ってた俺は思わず声に出してビックリしてしまった。

だがその女子生徒は俺には気づかす屋上の端に行き下を見下ろしていた。

なんか見覚えあるな……

て言うか俺はなんて自意識過剰なんだ!よくよく考えみたら授業中なんだし来るわけないじゃん!

俺が自分の自意識過剰ぶりを転げ回りながら恥ずかしがっているとその女子生徒が柵をこえて下をのぞきこもうとしていた。

それを見た俺は慌てて止めた

「ちょっと待って! 自殺なんて止めたほうがいいよ!」

するとその子は振り返った。

「………」

な、なんて可愛いんだ……

俺はその子のあまりの可愛さに見惚れてしまった。

身長は俺より少し低くて目や鼻や口は整っていてセミロングの黒髪が振り向いた勢いサラサラと風に舞っていた、それはまるでギャルゲーに出てくるメインヒロインのようだった。

ハッと気づいてよく見るとあの日、雨の日に傘もささずに歩いてた子だった。

「君は……あの時の」

俺がそう言うとその子は頭に疑問符浮かべながら首を傾げた。

俺はショボンと下を向いた。

そうだよね覚えてないよね……俺の事なんて覚えてないよね……

その子は俺の顔をよく見ると、ハッとして「雨の時傘を勝手にさしてきたひと」と言った。

その瞬間俺は顔をあげ満面の笑顔で。

「そう!そうだよ!ありがとう思い出してくれて」

だが、その子は俺に興味がないようでまた屋上から下を見下ろしだした。

「ちょちょっと待ってよ!なんで自殺なんて」

「違う」

振り返らずに言った

「え?」

「下を眺めてただけ」

「そうなんだ……ってなんで?」

ヤベーまた勝手に思い込んで自殺とか言っちゃったよ……そうだよね普通、登校日初日で自殺とかしないよね……

「なんで?なんでだろ?」

「なんでだろ? って自分の事だろ」

「なんでだと思う?」

振り返ってなぜか俺に聞いた。

「俺に聞く? うーん……風に当たりたかったとか?」

その子は不満そうな顔をした。

「……つまんない」

「わかってるよ!つまんない事ぐらい、俺はつまんない男なんだよ!」

「あっそれ面白いね」クスッとその子は笑った。

なんだ今の笑顔………超可愛いな!

「君授業はいいの?」

その子は俺に当然の疑問を聞いた。

「授業?ああいいんだよ俺はいてもいなくてもかわりないから」と自傷気味に俺は言った。

「それ自分で言ってて悲しくないの?」

「俺の事はいいんだほっといてくれ!お前はどうなんだよ?」そう言うとその子はムッと怒った。

「伊…」小さい声でそう言った

「ごめん今なんて?」

「伊織」今度は普通の声量で言った

「伊織?お前の名前?」

「次お前って言ったら殺すぞ」

俺を凄い怖い顔で睨んできた。

な、なんなんだこの子……

「……はいっわかりました伊織さん」

すると普通の顔に戻っていた

「伊織でいいよ」

「わかった」と俺はうなずいた

「君の名前は?」

「俺の名前 柊 湊」

「湊……うん覚えた」

「ごめん覚えてくれたのはいいんだけど、しゃべりずらいし何より危ないからこっちにきてくれるとありがたい」

伊織は自分いる所を見て「……わかった」と言って柵をこえてこっちに来た。

やっとこっちに来てくれるよ、さっきから落ちるんじゃないかってヒヤヒヤしてたんだ。

フゥーと内心すごく安堵した俺だった。

そしたら伊織が柵をこえた勢いそのままで俺に近づいてきた、そして俺の顔に伊織の可愛い顔を近ずけてきた。

な、なんだよ近い、近いって……まさかキスかキスなのか……

俺はキスをされるのかと思って待っていると唐突に「湊またね!」そう言って伊織は去っていった。

「………なんだったんだ」

なんか邪な事を考えてしましった俺は屋上またで恥ずかしさに転げ回るのであった。

「うわぁー!俺のバカ野郎!」
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