《[元]引きこもりと不安定彼女》

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始まりの春

伊織の七日間

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――引きこもり生活― 一日目

私はベットに寝転んで天井を見ていた

なんでこんなに悲しんだろ

なんでこんなに苦しんだろ

なんでお父さん達は死んだんだろ

それだけを考えて過ごした

――引きこもり生活――二日目

昔、両親は私は望まれて生まれてきたと言った。

なのに両親は……私と秀才の兄を比較し兄ばかりを優遇した。

飛行機事故の件を聞いて私は薄情だが少し安堵した。

これでお母さんだけでも……私を見てくれると……

――引きこもり生活――三日目

お母さんはお父さん達が死んで壊れてしまった。

私は壊れたお母さんでもいいから私を見てほしかった。

……そう思った私はお母さんの様子を見に行った

お母さんは無気力にただ、ただ家族団らんの写真を見つめていた。

その目に私は苛ついた。

――引きこもり生活――四日目

今日はお母さんを観察することにした。

お母さんは今日もただ、ただ写真を見つめていた。

さすがにずーと見る私の視線に気づいたのか。

「……伊織?」と私の姿を見て言った。

なんで疑問系なのか気になったが何も言わずただ、ただ観察した。

そこからは大した動きもなかった。

――引きこもり生活――五日目

なんか疲れてきたからなにもしなかった

するとお母さんがカップラーメン二つにお湯を入れて持ってきた。

「食べる?」

私はお母さんにもう興味をなくしていた。

お母さんはもう一度「食べる?」と聞いてきた

私はお母さんの顔を見て「食べる」と言った。

その日はお母さんと一緒カップラーメンを食べた。

――引きこもり生活――六日目

今度は私がカップラーメンをお母さんに持っていった。

するとお母さんは何も言わず食べだしたので私も食べ始めた。

お母さんが唐突に喋り始めた。

「お母さんね明日出掛けるね、伊織も来る?」

私は拒否した

「……行かない」

それがお母さんとの最後の会話だった。

――引きこもり生活――七日目

私は昨日のお母さんの言葉を思い出していた。

お母さんは死にに行くんだと思った。

これで私は独りぼっち。

「…………」

私はおもむろに立ち上がり引き出しに入ってるカッターナイフを取り出した。

そして手首を強く切った。

血がドクドクと出てきた。

その血を眺めていた。

段々と意識が薄れてきた

薄れゆく意識の中で私は湊の事を思い出していた。

(あぁこんなことならあの時、屋上でキスでもすればよかったな……)

「………」


私は意識を失った
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