《[元]引きこもりと不安定彼女》

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波乱の夏休み

不安

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――市民プールに行く日

前に待ち合わせした時は内田を、待たせてしまったから今回は早めに行くことにした。

もう昼前だと言うのに、珍しくまだ寝ている伊織を起こすことにした。

「伊織起きろよ」

俺が布団軽く叩くと伊織はすぐに起きた。

「ん、ふわぁ~」

目を擦りながら小さく欠伸をした。

「もう行くの?」

伊織が時計を確認した。

「まだ11時だよ」

「まぁ、俺が言うのもなんだけどもう11時だよ」

俺が起きる時間の事を言ったと思った伊織は

「そう言う意味じゃなくて、司ちゃんとの待ち合わせ」

「そうだけど前の時、俺達遅れたじゃん、だから今日は早く行っときたいんだよ」

「え?……珍しく湊が真面目な事を言っている」

驚いた表情をしている。

「俺はいつも真面目だよ!」

「……嘘だよ、て言うかもう準備出来てるし」

そう言って伊織は布団をめくった、すると伊織の格好はオシャレな外行きの服だった。

「……そんな格好で寝るなよ」

「寝てないよ!」

「寝てただろ?」

俺は伊織の言ってる意味がよくわからなくて首を傾げた。

「湊が起きる前に着替えたんだよ!」

伊織は少し起怒った口調で言った。

「……それなら早く起きてこいよ」

すると伊織が「だって……たまには湊に起こしてもらいたかったから……」少し恥ずかしかったのか顔をそらしながら言った。

その仕草を見てドキッとしたが平静を装って「なら今から市民プールに向かうぞ」

「だから今からだと早すぎるって」

伊織はそう言ったが俺は頑として行くと言った。

「いいから行くぞ」

「……うん」

俺達は市民プールに向かった。

――市民プール前に着くと当たり前だけど内田はいなかった。

「よし!ここで内田を待つぞ」

俺は近くの椅子に座った。

「待つぞって、そりゃ待つけどさ……待ち合わせの時間まで後1時間以上もあるんだよ」

「そうだけど……絶対に内田より早く来たかったんだ」

「……そっか」

そう言って伊織は俺の隣に座った。

――30分後

俺はギラギラと照りつける夏の暑さにやられていた、そんな俺を見て伊織は。

「だから言ったのに……」

そう言って伊織も暑さにやられていた。

「ごめん……伊織だけでも先にプール行ってていいぞ、内田には言っといてやるから」

「駄目だよ、私だけ楽するなんて」

そう言って伊織は動こうとしなかった。

それを見た俺は「ちょっと俺飲み物買ってくるよ!」
と近くのコンビニに飲み物を買いに行った。

――俺が帰ってくると伊織が、ガラの悪いなんかヤンキーぽい男達に絡まれていた。

「伊織!……」

すぐに駆けつけようと思ったんだけど俺は少しビビってしまっていた。

そこに待ち合わせの時間まで、まだ30分も早いのに内田が伊織の所に現れた。

「おい! お前ら男として恥ずかしいとは思わないのか?」

「司ちゃん!」

伊織が存在にきずいた。

するとヤンキーぽい男の一人が「おっ!この子のお友達? 司ちゃん君も一緒に遊ぼうよ」と内田の肩に手をを当てた。

すると内田がその手をつかんで「汚いで触れるな!」
そう言って男の手を捻った。

「イテテテテッ!」

その男は凄く痛がった。

「なにすんだよ!このアマ!」

そう言ってもう一人のヤンキーぽい男が内田に殴りかかった。

内田はそれを軽く避けて男の足を引っかけてこかした。

「イテッ!」

なんかそのヤンキーぽい人達は見た目だけだったようで「覚えてろよ!」そう言って走り去っていった。

俺はヤンキーぽい人達が去った後に伊織の元に戻った。

「大丈夫?伊織ちゃん」

内田が伊織の事を心配していた。

「大丈夫か?伊織」

伊織の顔を見ると。

「湊……遅かったね」

伊織は少し元気がなくなっていた

俺は場の空気を変えようと話題を変えてみた。

「て言うか内田お前来るの早いな」

「女の子を待たせるのは僕の主義に反するからね、でも今回は僕の方が来るのが遅かった」

すると内田が突然頭を下げた

「本当に!ごめん待たせて!」

「いや、俺達が早く来すぎただけだから」

話題を変えることに成功したと思っていると、いきなり内田が怒りだした。

「そんなことより柊君! 君がいながら伊織ちゃんを危険なめにあわすなんて……何をやってたんだ!」

自分で自分の不甲斐なさがわかっていた俺は素直に伊織に謝った。

「……ごめん伊織」

「いいんだよ、司ちゃん湊はたまたまいなかっただけで、その場にいたら湊はちゃんと私を守ってくれたってそうでしょ湊?」

「お、おう!」

伊織の言葉に俺は凄く罪悪感を感じた。

「それならいいんだけど……」

内田は怒りを静めた。

「それじゃ行こっか」

伊織は市民プールの入口歩きだした。

内田は俺の事をチラッと見てなにも言わず伊織の後をついてった。

――市民プール

俺は水着に着替えて二人が水着に着替えて出てくるのを待っていた。

二人が楽しげに歩いてきた。

「おーい! 伊……」

俺は一瞬言葉を失った

な、何て事だ!二次元が……三次元に……キター!
……マジで!……マジで!ギャルゲーのメインヒロインみたいだ!

「天女だ……」

続いて俺は内田を見た、内田は着痩せするタイプらしく内田の水着は1度見たから知ってるというのに実際に着てる姿はまるで!……ギャルゲーのサブヒロインのようだ。

サブヒロインかよ! と自分が自分につっこんだが……それぐらい可愛かった。

「三次元に天女が舞い降りたぞ……」

と思った後

俺は少しの間、水着姿の二人に手をひかれて海辺を走るという妄想に浸っていた。

すると突然右の頬に痛みがはしった。

「やっと戻ってきたか」

「湊、私達がなに言っても聞こえてないみたいだったから、司ちゃんに1発やってもらっちゃた」

伊織は可愛く言った。

「だからって叩かなくたっていいだろ……」

俺は伊織を怒ろうと伊織を見て、もう一度妄想に意識が飛んでしまった。

妄想に浸っていると今度は左の頬に痛みがはしった。

「イッテ!なにすんだよ!」

と言うと二人は「ハァー」と呆れ気味に息をはいた。

俺はハッ、と思いだし言いそびれていた事を言った。

「内田は結構、着痩せするタイプだったんだな」

内田は自分の体を腕で隠した。

「な、何を言うんだ!」

内田は顔を真っ赤にして自分の体を腕で隠した。

その仕草を見て、可愛いなーとか思ってると。

今度は蹴りが飛んできた。

「ぐふぁ!」

「あんまり司ちゃんをいじめるな!」

伊織が俺をプールに蹴飛ばした。

ジャバーン!

「あんなの置いといて、行こっか司ちゃん」

「でも、いいの?」と内田は俺をチラッと見たが。

「いいんだよ、ほっといて」

そう言って二人は歩いてった。

――数分後

俺は二人にほっとかれて拗ねてプールにプカプカ浮いていた。

「なに拗ねてんのよ」

近くで聞き覚えのある声がして俺はそっちを向いた。

そこには内田がいた。

「伊織ちゃんが、湊が追ってこない!って言うから探しに来たんだよ」

「そうなんだ……」

「あっ!さっきのは伊織の台詞は言ったって事は内緒ね」

「……わかった」

俺は伊織の事を思い浮かべ少し笑った。

「後ひとつ僕から聞きたいことがあったんだ」

「なんだよ?」

内田は真剣な顔をして。

「柊君、伊織ちゃんを僕にくれないか?」

「え?」

俺はもしや内田はそっちの人なんじゃないかと思った。

俺の考えに気づいたのか。

「誤解しないでくれよ、僕にそんな趣味はないから」

俺は安心した。

「紛らわしい言い方するなよ……」

「ただ僕は、成り行きで柊君の家に住んでるんだったら僕の家でもいいんじゃないかと思ったんだよ」

「それは……」

「さっきは言わなかったけど、伊織ちゃんが絡まれてる時に君が何もせず見ていた事を僕は知ってるんだ」

「ッ!」

俺は凄く動揺した。

「ただ、僕は伊織ちゃんが心配なんだ……すぐに答えを出さなくていい、柊君達の間に何かあることはわかってる、だけど伊織ちゃんの事を考えると僕は心配だ」

そう言い終わるとニコッと優しく笑って「じゃあ行こうか柊君! 伊織ちゃんが待ってる」そう言って俺の手をひいて伊織の所に案内した。

「………」

伊織の所つくまで俺の頭の中はずっと内田の言葉で一杯だった。
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