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涼宮さん

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死んだ叔母さん

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 俺には幼い頃からよく仲良くしていた叔母さんがいた。叔母さんは両親が共働きの中、よく叔母さんの家に行って遊んでくれたり話し相手になってくれたのだ。
 しかし、先日大好きだった叔母さんが亡くなった。突然のこと過ぎて、俺は高校生になって放心状態になってしまうほどだった。悲しさに耐えられなくなった俺は、両親に叔母さんがなぜ亡くなったのかを聞いた。だが、叔母さんの死因に関して両親は一言も話してくれなかった。
 俺は全く腑に落ちないまま生活した。

 叔母さんの死から少し経ったある日、ふと学校に行く通学路とは別の道で帰った。叔母さんの不幸が少しでも紛らわせればいいと思い俺は久しぶりに通る道を歩いた。その道は、いつも叔母さんの家に行く時に通っていた道だった。この先を進むと、俺が何度も通った叔母さんの家がある。俺はしばらく叔母さんの家に行っていなかったので、俺は様子を見ようとした。
 すると、二階の窓から亡くなったはずの叔母さんがこちらを見ていたのだ。俺は叔母さんから目が離せず、身体が膠着した。すると叔母さんは優しそうな笑顔を見せてくれた。まるで俺が来たのを喜ぶような表情だった。
 亡くなったはずの叔母さんが見え、俺は冷静に物事を考えることが出来なくなっていた。直ぐに俺は、叔母さん生前から一緒にこの家に住んでいる婚約者の男性を呼んだ。
「二階の窓から叔母さんを見たんだ。あれは見間違いではない!」
しかし、婚約者の男性は少し困った表情を見せ、「何かあったらまた来てね」と半ば強引に帰された。
 違和感を覚えたが、そこまで気になるようなことではなかった。ただ単に自分が疲れているだけだろうと思うことにした。

 次の日から俺は叔母さんの家を通る道で登下校することにした。別にそこまで深い理由はないのだが、気分転換になるかと思ったのだ。まさか、叔母さんがまた見えるとは思っていなかった。
 「うわっ」
思わず俺は声を上げてしまった。ふと叔母さんの家の二階を見上げた時、確かにいたのだ。叔母さんが。今日は何か険しい表情をしていて、何かを訴えるような感じがした。俺はただならぬ何かを覚え、婚約者の男性にもう一度呼んでみることにした。
 「やっぱり、何か隠してますよね。」
「ごめん。俺はなんとも言えないんだ。」
またもそう言って帰されてしまった。流石にここまで来ると不思議に思ってくる。しかし、俺は大好きだった叔母さんの顔が見れると思うと、別に悪くないなと考えるようになっていたんだ。

 それから必ず叔母さんを見かけるようになった。俺が手を振ると、叔母さんも手を振り返してくれたりすることがあった。
 しかし、日を追う事に叔母さんの顔はみるみるうちに暗くなっていたのだ。そこで、少し俺は叔母さんの家の近くで調査をしてみることにした。調査と言ってもそんなに大層なことをするわけじゃない。シンプルに家の前で待ち伏せ、婚約者の男性が何か隠しているのではないかと調べることにしたのだ。
 初日は全く成果が得られなかったが、二日目に事が起きた。婚約者の男性は、なんと俺の母親を連れて現れた。思わず俺は飛び出しそうになったが、気持ちをグッと抑え、証拠をを集めることにした。
 明らかに恋人のような行動を二人はとり、段々と自分の母親が不倫をしているということが悲しくなり、俺はその日の調査を終えた。
 家に帰ると、仕事から帰ってきた父親がいた。父親は俺の悩みや勉強面のことでの相談にも乗ってくれるとても尊敬している人だ。俺は今日の出来事が忘れられず、つい父親に話すつもりのなかったことまで話してしまったのだ。
 「実は、勘づいていたんだよ。」
「ならなんで問い詰めないんだ?仕事を頑張ってるのに不倫してるんだぞ!」
父親が何か言おうとした瞬間、玄関の方から物音がし俺らは直ぐに自室へ戻った。

 次の日、叔母さんの家の前を学校に行く時に見たが、叔母さんは今にも泣き出しそうな顔で立っていた。直感的に俺は何かがあったのだろうと感じ、学校の帰りに待ち伏せ調査を再度行うことにした。
 学校が終わり、俺は直ぐに叔母さんの家に向かった。すると、家の前で母親と婚約者が喧嘩をしているのが見えた。かなり激しい取っ組み合いの喧嘩で、見るに耐えず俺は喧嘩を止めようとした。だが、母親の一言で俺の足は竦んでしまった。
知子叔母さんを殺したんだよ!お前のせいでだよ!」
 叔母さんを殺したのは、俺の母親?信じたくない。忘れたい。その一心で俺は走り出した。

 家に着き、頭に酸素が巡っていない状態で思考をフル回転し、状況を整理した。まず、俺の母親は叔母さん、実の妹を殺したということになる。そして、婚約者の男性は母親を問い詰めて喧嘩になったと考えられる。しかしなぜ喧嘩に発展したかまでは分からなかった。
 俺は今までの疲れが限界に達し、全てを父親に打ち明けてしまった。父親は「うんうん」と俺の言葉を遮ることなく聞いてくれた。話終えると父親は、「今までごめんな。」とだけいい自室へ行った。絶対に父親もショックなはずなのに、俺を心配してくれる辺り、本当に優しい人だ。

 次の日から母親が家に帰ることは無くなった。恐らく警察の事情聴取をしているのだろう。俺と父親はいつも通りの生活を送った。あの出来事があってからは叔母さんの家を通ら無くなっていた。今まで叔母さんが二階の窓からこちらを見ていたのは、俺に自分が殺されたというメッセージを伝えようとしていたのだと思うようになったのと、少し叔母さんのことを見るのが怖くなっていたのだ。よくよく考えれば、既に叔母さんは亡くなっている。亡くなっている人を見て、そのことを真に受け止めた自分にも怖くなった。
 
 しかし、なぜ母親は叔母さんを殺害したのだろうか。俺の中には疑問がぐるぐると回っていた。すると俺は思い出してしまったのだ。
 
 なぜ、最初に叔母さんの死因を聞いた時に、父親は一言も話してくれなかった。母親が隠すのなら分かるが、父親が隠すのは全くもって筋が通らない。大体、先日の母親と婚約者の喧嘩の時だって、明確に母親が殺したとは言っていなかった。怖くて鳥肌が止まらない。もしかして、本当に犯人は。

 俺はひとつの仮説を立てた。

① 叔母さんと婚約者と男性が同棲

② 婚約者の男性と母親が不倫

③ 叔母さんが不倫に気づく

④ 叔母さんは父親に事の顛末を相談する

⑤ 母親を守ろうとして父親は叔母さんを殺害

⑥ そのことを母親が婚約者の男性に話をし、喧嘩に発展

現在に続く

というものだ。
 昔から叔母さんと父親は仲がそこそこ良かった。不倫をされていて、気の弱い叔母さんは直接本人に言うことが出来ず、父親に相談をした。しかし、父親は不倫をされていたものの、母親が好きで守りたい一心で叔母さんを殺害。そのことを母親に話したら、婚約者の男性に伝わり喧嘩にに発展した。
 少し強引かもしれないが、一応辻褄はあう話だ。だが、この仮説がもし本当ならば、父親は…。
 「ただいま。」
玄関から父の声がした。俺は震えてこれが出ない。
「どうしたんだ。様子がおかしいぞ。」
俺は絞り出すように声を出した。
「父さんは、叔母さんを殺したのか?」
俺が質問した途端、父親の優しい顔から非常に恐ろしい顔になった。もう取り返しがつかないと思った俺は思い切って話してみることにした。
「答えてくれよ。父さんはそんな人じゃないよな!?」
しかし、俺の期待も虚しく父親は最悪の一言を言った。
「本当だよ。俺が殺したよ。」
俺は膝から崩れ落ちる感覚がした。もう何も見えないくらいの涙が、溢れていて周りの様子が分からなくなっていた。
「父さん、俺どうすればいい?」
「もう諦めろ。俺が愛しているのはあいつ母親しかいないんだ。やっと、だな。」
詳しく様子は分からないが、少なくとも今の父親は普通じゃないということはわかった。

 ガーン

 目の前が見えなくなった。

 俺の父親が愛していたのは母親だけだったのか。


 叔母さんが本当に伝えたかったことは、違かったんだね。


~完~
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