🌑新月の闇 満月の光🌕

黄色いひよこ

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社長が、苦虫を噛み潰したような顔をするが、それすらどうでも良い…………。




「分かったよ。なら、本題に入ろう。『Yume』をCM起用したいと。一年間」

「何のCMです?」

「宝石だよ……………」

「相手役は、合逆 壱(あいさか はじめ)今をときめくイケメン俳優だよ。私としては、合逆より『mahiro』くんの方が演技も見てくれも上だし、『Yume』にとって色々とプラスになると思ってるんだが、彼は芸能界を引退している身だ。私は、『mahiro』以上の俳優もこなせて、何でもそつなくこなすタレントは金輪際出て来ないと、思ってる……。なぁ、真紘、お前もそう思わないか? 」




俺は、合逆 壱の名前に気を取られて、其処に気持ちを集中させてしまっていた為、社長の言葉を最後まで聞いていなかった。

もし、聞こえていれば…………。




「彼にもう一回だけ、一年間、契約出来ないか打診したいんだが、真紘、何とかならないか? 」




と、言う言葉までスルーせずに済んだ筈だった。

はぁ、まさか…………な…。

 企画書に目を通す俺を、ジッと見詰める社長が、
「『mahiro』の要件は見事に無視なのねん……」などと呟いている。

俺は、確かにスルーしたまま、コンセプトや、撮影状況を社長に聞く。

この企画、柚芽に相応しい内容では無い。

色気は、あるに超したことは無いが、
SEXアピールは必要無い。

今回のコンセプトは、正に、SEXアピールそのもの。

宝石の化身扮する、合逆に、宝石(合逆)を付けた『Yume』が彼(宝石)の魅力に酔いしれる。

合逆は、柚芽の表情に、『快感』を出させる為なら、過度のおさわりに成らない限り何でも有り、らしい。

俺は、書類に目を通して、絶句した。

セクハラ紛いじゃん、これ。




「この企画、俺は反対です」

「それは、マネージャーとしてかい? それとも、柚芽の男としてかい?」



姉の眼光が鋭く光る。




「もし、柚芽の男としての意見なら却下だ。マネージャーとして、相手役を替えろと言うなら、考え無い訳でも無い……」

「相手役………、別候補がいるのか? 」

「お前ね、それ、知っててとぼけてるのか? どちらかと言うと、合逆は本命では無い。本命に断られた時の代打だよ……ったく」




頬杖を付いていた社長が、顔の前で指を組む。

漂う違和感。

嵌められた予感。




結局こうなるのか。




俺は、この人の掌で転がされるピエロなんだ……。

 
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