薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ

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薬師パーティーを後にする

 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
 ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。





「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」


 そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
 
 まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
 この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
 
 多岐に亘った薬を作るが、僧侶ビショップとは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
 普通は……。

 俺はパーティーリーダーであるこの男、ダリルの提示する金額の書かれたボードを見た。足された金額は至極妥当で、一般的な金額、良くも悪くもない。
 
 これにサインをすれば、ここに書かれた文字はさらりと消えて、全てのパーティーを束ねる『冒険者ギルド』が運営する都市銀行に連絡が行き、ダリルのパーティー『暁の閃光』の口座から、俺の口座に給料と手切れ金が振込まれる。

「給料+2ヶ月分か…… 。俺の作る薬に何か不備が?」

「そう言う訳では無い。お前に不備は無いが、所謂いわゆる『会社都合』って奴になる。家もなかなかにかつかつでな。すまんな」

 そう言い切るダリルの悪びれ無い態度に、俺は心の中でため息を吐く。
 
 暁の閃光だけが特別こんな態度を取る訳ではなく、大抵のパーティーがこんなものだ。都合の悪い事となると、大抵が『会社都合』なんだ。
 
 ありきたりな所で、僧侶ビショップと契約出来たと言う辺りか。滅多に現れないと言われている、珍しい職業のひとつであるそいつがメンバーに加われば、くすしは必要ない。
 
 そう考えているのが知れる。はっきり言うがポーションも、需要はあるんだよ。
 
それなのに……。
 
俺はなるべく感情を表に出さぬよう、ボードから顔を上げた。



 「『会社都合』……ね。『冒険者ギルド別名:職安』の保証があるなら俺に異存は無い。だが、俺の作るポーションのたぐいは通常の物とは少し異なる。良いのか?」

 「あぁ、その辺はお前が気にする事じゃねぇ。それより、サインするのか、しないのか?」


 鋭い目で睨み付けてくるダリルを見て、本気具合を見定め、俺はペン立てからペンを引き抜いた。俺だって別に、このパーティーに思い入れなど無い。去れと言うなら去る。
 
 サラサラと金額の下にサインを書き込むと、俺の名前はふわりと煙となって立ち昇り消え去った。
 
 その後は金額やパーティー名、ダリルの名前まで消え去って、変わりに『冒険者ギルド』の紋が浮かび上がり受理の朱印がポンと押された。
 
 つくづく思うが、便利なボードだ。

 俺がギルドカードを取り出し、裏返してその面をなぞると、さっき見た数字と同じ数字がカードに浮かび上がる。それが、ボートに書かれた数字と一致している事を確認して、俺はダリルを見やった。


「確認が取れた。じゃあこれでサヨナラだ」


俺はそう言うと、ダリルの執務室を後にした。







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