薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ

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薬師、嫌な予感が的中する

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 やはり嫌な予感とは的中するもんだな。キャロライン嬢が、ハトを飛ばしてきた。
 
 冒険者ギルドへと急ぎ街に出ると、その場所は慌ただしく、避難誘導の声がけたたましく響いている。
 
それでも皆が慌ててパニックになっていないのは、日頃の避難訓練の賜物なのか、街独自の兵が中央にある噴水広場に市民を集めている。
 
 人波に遡るように、俺は歩みを速める。巧みに人を避けるように歩く俺が、避難する人混みにぶつからないのは、日頃の鍛錬のお陰と言っておこうか。
 
 漸くギルドの剣と盾の看板を見とめると、その下へ到着し、俺は大きな扉を開けた。すると、中は所狭しと人であふれかえっていて、余裕が無い。
 
 俺はキャロライン嬢が居ないかカウンター奥を見回し、彼女を探した。一番手っ取り早く話が進むのが彼女だと思うからだ。

 キャロライン嬢は、意外と簡単に見つかった。って事は、相手も俺を簡単に見つける。
 
 俺は喧噪けんそうの中、ひらひらと手招きする彼女の元へと歩みを進めた。

 「ロブさん、ご注文通りハトで連絡致しましたわ」

 「うん、サンキュー。で、どうなってる? 」

 「森の中心部辺りから、魔獣が沸き出していると、報告が上がりましたわ。確認も取れています。偵察隊の中で数人の冒険者が怪我を致しまして、只今、救護室で治療中です」

 「え? 何で? 僧侶かシスターは? 同行しなかったのか? 」

 「えぇ、今回、偵察で御座いましたでしょう。教会から随行の要請を拒絶されて仕舞いまして。それで……、冒険者の方々には十分注意をとお願いしましたが、如何せん此だけは致し方ない部分も御座いまして」

 彼女は眉根を寄せて不快だという表情を俺に見せる。貴族令嬢としては珍しい。貴族とは感情を面に出さない生き物達だ。あの世界で生きていく為には必要不可欠な処世術で、出来なければ食い物にされる弱肉強食な世界だ。

 「回復薬では間に合わなかったと」

 「はい。Aクラス2体とSクラス1体、BとCクラスにも遭遇してしまったようですわ。数は全部で13体。怪我だけで済んで良かったですわよ」

  「はーっ、えげつねぇ。強すぎる魔獣もそうだが教会は何やってんだよ。そんなに酷いのか? ギルドとの軋轢」

 「そうですわね。此処だけの話、教会は金の亡者なり果てて今では俗物ですわ。数少ない僧侶とシスターを囲って出さないのだと聞き及んでおりますわ」

 「そうか、なら僧侶とシスター、当てにならないな」

「本当に、困りましたわ」

 頬に手を当て溜め息をつくキャロライン嬢の言う事を鑑みて、スタンビートは遅かれ早かれ来る。彼女と話している間に、場の話し合いが終わったのか、ギルド長が声高に叫んだ。

 「静粛に! これから皆の配置を発表する! 状況としては、スタンビートの規模は今までの中で最大だ。だが幸いココにはSランクパーティー『疾風の爪』がいる!更に他にもAランクパーティーが3組! 力あるよりすぐりのパーティーが居るのだ! それに帝国の騎士も此方に向かって来てくれている。皆! 臆する事はない! 」

 流石ギルド長だな。強い意識と皆をまとめる力がある。
 
 血気盛んな冒険者達が、拳を振り上げ声を上げる。その後、場が落ち着くとギルド長は皆を集め配置を指定した。それらを決めたのは、ギルド長以下ABCのパーティーリーダー達だった。
 
 俺は薬師、治療を主とした仕事なので治療班に組み込まれた。付与魔法が使える事は、ギルドには登録していない。まぁ、めんどくさいと言うこともあるが、専門では無いと言うことが理由だった。


 
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