無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

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神獣朱雀『エレオノラ』

閑話

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「うあぁ、痛い、痛すぎるぅっ…… 」


 独り隠れているこじんまりとした宿で、うなり声を上げていたその者は、片腕を布で釣り足を木の棒で固定していた。

 どうやっても肩も足も外れたまま戻せない。

 戻しても直ぐに外れてしまうのでかなり難儀していた。


 「でも、痛いけど嬉しいのも確か……、あぁ、薬師様に触れて貰えるなんてなんて幸せなんだろう、僕は…… 」


 そう言って目をとろんとさせる辺り、小奴、かなりの変態さんだ。


 「はぁぁぁ、次会った時何をしてくれるんだろう。薬師様」


 あの方の手に掛かれるならもう何をされてもいいや~。

 そんな風に悦に入る子供に常識など存在しない。

 寧ろ、そんなものが存在していればこんな事態には成っていない訳で。

 お仕置きの為にした事がお仕置きになっていないと言う事実、筋金入りの変態であった。


 「うふふふふふ…… 」


 なんともはや、不気味な笑い声を上げる子供をジッと見詰める瞳があった事を、彼はてんで気付かなかった。


 ──────────────
───────
───


 「ハアッ、もっと癒せよ。痛み、取れないじゃん」


 少年は、外れた部位をずっと下僕にしている男に舐めさせていた。

 その男、唾液に毒を持っていた。

 痺れ薬のようなものか。

 外された肩と足の骨が元に戻る事は万に一つとして無い。

 愛しの薬師様が掛けた術だ。

 万が一にも治せるとしたとしても、治したいとは思わない。

 下僕が、股関節を刺激する。

 外れた足の付け根を下僕に舐めさせては、快楽と痛みによる欲を甘受している。


 「あはあ、気持ちいいよ、デーバ。 ご褒美をあげようか? 欲しいものは何だい? 」

 「叶うものでしたら、あなた様のそのそそり立ったものを、我の中へと…… 」


 平伏しながら。

 男は少年に跪くと、そっと目の前ソレに唇を寄せた。


 「あははははは」


 少年は、ただ、ただ、何が可笑しいのか笑い続けていた。
                                                                              そんな彼を汚いものでも見るような目で見詰めるモノがある事に全く持って気付く事は無かった。


───────────
────────
────


「ああ、解りました。まぁ、反省などするタチでは無いと思っては居ましたが、最悪の子供らですねぇ。色々と考えてはおきますよ。このまま監視を続けて下さい。宜しく頼みましたよ」


 薬師は、耳に手を当てて独り会話のようなものをしていた。


 「あれらの処遇は後にするとして、次は青龍です。龍神かぁ、真っ黒焦げって……。ま、会ってみるしか無さそうだな…… 」


そう言って、薬師は目を細めた。
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