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秘密
大好きな貴方③
しおりを挟む一旦ナディアから解放された薬師は、バスローブを羽織って出て来た。
どの世界でもこの手の物はスタンスが同じなのだろうか、純白のような白だ。
実は薬師は、バスルームでいささか困惑していた。
確かに、夢を見てから凪の事が脳裏から離れなかったのは確かだ。
けれど、ナディアを蔑ろにしたい訳では無かった。
あれは凪なのか、はたまたナディアなのか、凪ならばナディアはどうなったのか。
彼女は、自分はナディアで凪だとは言うが、薬師にとっては何とも要領を得ない。
けれど、掛け値なしで嬉しくて心躍るのは、目を背けられない事実だ。
過去の思いに引っ張られている、そう言う自覚はあったが、ナディアが過去を思い出してくれたお陰で、彼女を妊娠させたい理由も話せるし、納得させられる自信も出来た。
── ちゃんと話そう。昔のように。 ──
薬師は決意も新たにバスローブを纏うとその場を後にした。
己の思惑と、予想した全てを話す事を胸に秘め、彼女と対峙する為に。
─────────────
────────
────
結果的に、薬師はナディアに総てを話、彼女と色々話合って結論を導き出せた。
自分とは違う意見と、思いもしない回避方法に幾度か唖然とはしたが、『流石は俺の妻』と、歓喜して二人抱き合った。
そして、神の子を宿すと言う薬師の計画もすんなりと受け入れられて、今、薬師はナディアを押し倒していた。
何でこうなったの!?
とか、
何を話し合ったんだ!!
とか、思う所は多々有るでしょうが、此処は何も聞かず先に進んで頂きたい。
解って下さる方々も居るでしょうが、今此処で二人が話し合った内容を事細かに記して仕舞うとつまらなくなることは必然の事となってしまう。
ですから、あえて、二人の密談は密談として置かせて頂きたい。
決して内容を考えて居なかった訳では御座いません。
さて、話を戻しましょう。
さて蜜月突入かと思われたその時、ナディアのお腹の辺りから、
『ぐぅ~』『ぐぐぐ~』と、盛大な虫の音が響いた。
そう言えば、二人は青龍の元から帰還して、何も口にしていない。
夕食は寝てしまったせいで食いっぱぐれている。
薬師はふっと微笑みを見せると、
「何か夜食でも貰ってこよう」
そう言って、早着替えのように指のひと鳴らしで着替えてしまうと、部屋を出て行ってしまったのだった。
「ぱあぁぁっ、もうっ、お腹の虫が恨めしい…… 」
どんまい、ナディア。
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