120 / 220
秘密
新展開
しおりを挟む完全に引ききった赤い水を見て、双子がお互いを見やった。
その動作すら胡散臭く感じる程一緒だ。
「「やられちゃったよ。やっぱり強いね」」
やはりそうかと、薬師は眉根を寄せる。
「お前が、悪童達を裏で操っている者か。おかしいと思ったんだよ。此処は弥勒の箱庭だ。強固な結界で護られている筈の箱庭に、菩薩より下位の者が入れる訳が無いんだ。入れるとすれば菩薩と同等の位の神か、それより上位か、下位でも強い力を保有している者か。そのどれかの者が手引きしないと入れない。特に此処は弥勒の実験場だ。並みの者では入れぬよ」
薬師の言葉に、苦虫を噛み潰していた双子の口角が、ふっと持ち上がった。
「「流石、薬師様だね。うん、概ね合ってるよ。愛染と哪吒を操っているのは僕だ。欲しいものは、貴方の魂とその血肉。この大地の復活にはあなたの血肉と魂で、この世界に世界樹を作成する事。その為には、貴方を此処へ呼び込む必要があったんだ。僕はね、大切な人を復活させたいんだ。協力してよ。薬師…… 」」
双子がにしゃぁと笑う。
歪んだ笑みは、彼が歪んでしまったと言うことを臭わせる。
多分彼も神だ。
この世界の神なのか、薬師と同じ外つ神なのか其処までは解らないが、この世界に存在する神だ。
勿論、薬師もこの世界に存在する神である。
そう、そう言う認識なのだ。
そして、この得体の知れない神は、この世界の神を愛してしまった神だった。
世界の犠牲者第一号と言える神様。
その彼女を愛し、他の3神を他の者の手を使って害させた神。
「「大地に3神の力を注いでみたんだけど、焼け石に水状態でね。愛しのあの子が自ら注いだ力には及ばなかったんだ。だから、薬師。君の命を僕に頂戴」」
双子はそう言ってにっこりと笑った。
「私の命を狙うと言う事は、神殺しをすると言う事だ。命を狙っただけでも大罪に値する。お前は逸れをきちんと理解出来ているのか? 」
「「勿論、ちゃんと理解してるよ。神殺しの罪、逸れを背負ってでも、意義と価値があるんだ。貴方自身にね」」
「あ、そう。君がどう思おうと私には関係無いですね。それに、未だ正体すら見せない輩に、好き勝手させるつもりも無いんですよ。私もね。だから…… 」
「『一昨日きやがれ! 』ですわっ!! 」
薬師のセリフをかっさらうように響いた女の声とと同時に、彼の背後から電光石火の勢いで剣が薬師をかすめて飛んで行った。
それは確実に双子を狙いドカドカと言う擬音と共に双子に刺さった。
刺さったのだが、それだけだった。
血飛沫一つ起たない双子に、薬師の隣に立った少女が、眉を寄せた。
「生きてすらいないのですね。死してなお使われるなど、哀れなものです」
「それは少し違いますね。生きていないのは正解ですが、アレは精巧に出来たマリオネットです。人形ですね」
薬師はそう言って、隣に立つナディアに微笑み掛けた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる