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秘密
新展開②
しおりを挟む「「あああ。折角の器が壊れちゃったよ。流石、宵闇の女神。怖い怖い。」」
そうちゃかされて、ナディアのこめかみがピクリと震える。
確かに彼女は女神となった。
その元来持つ特性の為、夜の女神とも呼ばれる女神だが、その事を知る者はそうそういないと言うのが現状なのだが……。
彼女の二つ名を知るこの男は一体何者なのか。
いぶかしんでる間にも、事は進んでいく。
「「薬師様の片割れまでも現れたんでは歩が悪いよね~っ、ってことで、今は退散する事にするよ。でもきっと、薬師様は僕の提案に答えてくれる筈だよ。だって、其処の公爵令嬢はこの世界でしか生きられないんだもの。それに、薬師様はとぉ~ってもお優しいから、4獣神を見捨てられないし、ナディアの家族も死なせたくは無いでしょう? 言っとくけど、下手な回避方法は無いよ。あったら僕が試してる。」」
考え付くことは総て試した。
彼は、そう言っているように聞こえた。
勿論、そうなのだろう。
でなければ、彼とてこの様な暴挙には出ない筈だ。
薬師は、そう確信を持っていた。
薬師には彼の正体が見抜けていた。
彼だって、元来は心優しく穏やかな神なのだ。
「「本当に、もう逸れしか無いんだよ。僕だって解ってる。貴方を犠牲にして、神ご殺しの罪を背負って、ナナミが喜ぶ筈など無いって事は。其れでも、僕はこの世界を救う! 」」
一瞬だが、双子の瞳に人形では無い生気が宿った。
人形に憑依するものの本来の輝きだった。
逸れによって薬師は、この出来事の黒幕の正体を完璧に悟事となってしまった。
そして、薬師が目を細めて睨んだ時には、双子の人形はその場から欠き消えていたのだった。
「逃して仕舞いましたね…… 」
「ん? あぁ、そうだね。でもその内やだでも会う事になるさ 」
薬師はそう言って、扉を睨むようにねめつけた。
「ナディア、来てくれてありがとうな」
そのまま言葉を発して、今度はナディアをちゃんと見て顔を綻ばせた。
「お腹空いたね。戻って腹ごしらえしよう。色々話したい事もあるし」
「はいっ、わたくしもです! 」
そして、ナディアもにこにこと笑った。
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