122 / 220
秘密
君と語ろうか?
しおりを挟む帝国から遥北に、巨大な山があった。
それは地球の富士山にも似た、荘厳で大きな山だった。
その頂上は広く、大きな穴が穿たれていて温かな熱を湛えている休火山だった。
お椀のような穴の底には、誰がどうやって建てたのか真っ白な大理石で出来た神殿が建っていた。
パルテノン神殿のあの映像を思い浮かべて頂ければ、分かり易いだろうか。
あれが遺跡等では無く、普通に使われている状況を想像して頂ければ、問題は無いかと思う。
その中心に位置する場所に、その像は有った。
少女が大理石の上に座っている。
そんな造りの石像だった。
その像の足は、ドレスで隠れていて見えないが、スカート部分がふんわりとお椀を伏せた形に盛り上がっているところを見ると、女の子がぺたりと座り込んで居るのだろう事が伺える。
そして、両手を大理石に付け祈るような表情で目を閉じていた。
その姿はまるで聖女のようで、神々しい。
そして御多分に漏れず、彼女は美少女であった。
そう、皆まで言わなくても解るだろう。
彼女が何者だったのか。
彼女こそ、あの男が語った『ナナミ』即ち、『玄武』だった。
今にも動き出しそうな石像。
それが『玄武』の成れの果て、だったのだ。
人っ子一人訪れない休火山に据えられた神殿、其処に現れた人影。
疲労の色をその顔に浮かべて、悲しげに石像に微笑み掛ける青年。
彼も、迷う事無き神の一人。
薬師程の美貌と輝きこそ無いが、彼もそこそこ強い力を有して居る事が伺える。
類い希なる美貌を持っ青年神。
力と美しさは比例する。
逸れを具現化する彼は、つい今し方薬師と一戦交えて来た所で、薬師が予想した人物。
薬師の志を認め、影ながら応援していたかけがえのない悪友の一人。
弥勒菩薩。
彼は、そう呼ばれる青年だった。
「ナナミ、久し振りだね。元気にしてた? 」
彼は彼女の前に座り込んで、覗き込むように見た。
「なんてね。言っても解らないよね。ねぇ、ナナミ。僕ね、とうとう薬師に言ってしまったよ。世界の存続の為死んでくれって。悪役って結構難しいね。彼を上手く煽れてると良いんだけどね。どうだったと思う? 」
弥勒はそう言って、歪んだ笑みを見せた。
泣きそうな歪んだ笑みを……。
彼は何を考え、何故そんな顔をするのか。
何を企んで居るのか……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる