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秘密
君と語ろうか②
しおりを挟む── どう思われているかですって ──
そんな声が石像から聞こえたような気がした。
── 馬鹿よ! 馬鹿! 馬鹿! 馬鹿に決まってるじゃない!? ──
そんな声を、弥勒は聞いた気がした。
勿論、そんな事は錯覚でしかない。
何せ、彼女は此処で石になっている。
そして未だ石だ。
「気のせい……、ですよね。何だか駄目ですねぇ……。幻聴まで聞こえてくるなんて。まだまだ修行が足りませんね…… 」
── 残念だけど幻聴なんかじゃ無いわよ。はぁぁぁ……、漸く声が届いたわ。ありがとう、お客人様 ──
弥勒の前に、仁王立ちをした何かが立っていた。
今の際まで見えなかった者だ。
それは、弥勒にとって見覚えの有る靴だ。
色も無く透明に透けて見える逸れは、本当は目の覚めるような赤い靴だ。
この世界には無い、エナメル材質の真っ赤な靴。
コレを履いて、ドレスの裾を翻してくるりと一回転する彼女を、弥勒は、昨日の事のように覚えている。
彼がゆっくりと顔を上げる。
ぺたりと跪いていたその肩が、驚きで揺れた。
「あ、あっ、ナ、ナミ? 」
弥勒が目を見張った。
彼の前には腰に手を当ててふんぞり返る魂だけの少女が立っていた。
「ナナミの魂が…… 」
「ま、ち~っと面倒だったがこういうのは俺の専売特許でね。ナディアに砕けた魂をかき集めて貰って再生させた。あの双子がお前だって事は、バレバレなんだよ」
そう言う声が聞こえて弥勒の前に現れたのは、信じられない事に薬師如来だった。
「んでもって、お前が何を考えているのか、手に取るように解るんだよ。そうだ、ちょっと顔かせ」
そう言うと薬師は、弥勒の前で膝を着いて彼の胸ぐらを掴んだ。
薬師の何処にそんな力が有るのだろうか。
そう思える力で、薬師は掴んだ儘の弥勒を片手で引っ張り上げた。
「お前に、最初っから何もかも騙されているとは思わなかったよ。ムカつくなぁ、ってなわけで一発殴らせろ」
そう言うか否や、薬師はグーの拳で遠慮も何も無く、力一杯弥勒を殴ったのだった。
「これで恨みっこなし。帳消しにしてやる。それと、お前に話が有る。世界の崩壊を止めるぞ。お前も協力しろ。俺に考えが有る」
そう言うと薬師は、吹っ飛んで尻餅を着いている弥勒に向かって、ニヤリと笑んだ。
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