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神獣玄武『ナナミ』
少女と薬師
しおりを挟む「私の旦那様が世界の崩壊を止めて下さいます。とても頼もしい方なのです。ですから安心して出ていらっしゃいな…… 」
ナディアは、少女像の二の腕を掴むようにして引きずりあげた。
軽い何かが、動作に釣られて浮き上がった。
それと同時に、ポタリ、ポタリと赤いモノが白い大理石を汚し、染み込んで跡形も無く消え去る。
少女像から何かが引き出された折に、大地が歪んだ音を立てたが、赤い滴りが地面に吸収されると、歪みの音は自然に収まった。
歪みの音で引きずり出されたモノは身を捻りあらがったが、歪みが止んだ途端、それもあらがうのを止めた。
『嘘……、どう言う事? 大地が静かに成った…… 』
「成る程~、此処に来て初めて理解しましたよ。世界崩壊の理由が…… 」
大地に傷つけた指を向け、赤いものを落としていた者は、言わずと知れた薬師だった。
薬師は現れた少女の魂を見てにっこりと微笑んで見せた。
その姿に少女は目を見張る。
実際には、彼の美しさに、だ。
あぁ、また此処に彼の笑顔の犠牲者が独り。
嫌々、考えるのは止めにしよう。
少女は知っていた。
自分の恋人も、かなりの美貌を誇る人だが、この目前の男性は、それ以上だと。
そして彼らの美貌は力に正比例するう事も、この世界を創造した彼女の男に聞いていて、知識として知っていた。
少女の恋人の位の神はかなり居るが、その上のクラスの神と言えばざっと見積もっても十五人程だ。
そのうち知名度が高く、強いのは三名である。
彼氏の位で三十名と言うのだからまぁ、その下ともなれば、沢山居るとしか言え無い。
『世界崩壊の理由とは、何を知っていると言うのだ? こうやって、ただ闇雲に崩壊を遅らせるしか手が無いと言うのに…… 』
少女がその表情を苦虫を噛み潰したような顔に変える。
あぁ、美少女なのに勿体ない。
薬師はそう素直に思った。
「単純な事です。この世界は矮小と言える程に小さい。なのにこの大地から大量に力を引き出し、放出する物が有る。それがこの世界をボロボロに崩して居るんですよ。たちの悪い事に…… 」
『それは何なのか、尋ねても良いか? 』
薬師は、少女が頭を傾げるのを微笑ましく見つめるとコクリと頷いた。
「原因の一つは、この山です。この山は休火山でも死火山でもありません。活火山です。それがどんな意味を持つか、お分かりですよね…… 」
目を見張る少女に薬師は満足そうに目を細めた。
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