無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

文字の大きさ
136 / 220
神獣玄武『ナナミ』

画策

しおりを挟む

 『お山の存在が駄目だったの? このお山は、私を産んだ霊山なのに…… 』

 「この山が駄目と言うよりも、活火山である事が駄目なんですよ。だからね、この山を死火山にする必要性がある。後、北の大森林、彼処も定期的に浄化する必要性が有ります。其れだけでも、ある程度改善される。でも、ある程度ですがね」


 少女が息を吐く。

 嘆息と言うものだ。


 「この状況を作ったのはあの馬鹿●●でしょうが、考え無かったのでしょうかね、君を産まれさせた後に、休火山か死火山にする必要があると言う事に…… 」


 薬師は、難なく傷つけた指を治すと、彼も嘆息した。

 その時だ。

 噂をすれば何とやらか。

 件の人物が現れたのだった。

 彼女意外は慌てて姿を隠す。

 今会うのは得策では無い。

 効果を狙うのならば、もう少し後だ。

 もう少し。

 彼が跪いて少女に話しかけている。

 彼女は石像の身体に隠れているが、彼はそれに気付いていない。

 少女がじれて姿を現しているのに気付かないとは、滑稽だった。

 くすりと薬師が嗤う。

 逸れをナディアがたしなめた。


  ── 残念だけど幻聴なんかじゃ無いわよ。はぁぁぁ……、漸く声が届いたわ。ありがとう、お客人様 ──


 少女がそう叫んだのが合図だった。

 今がその時。

 彼の前……、弥勒の前に薬師が出て行くその良いタイミングだった。


 「ま、ち~っと面倒だったがこういうのは俺の専売特許でね。ナディアかみさんに砕けた魂をかき集めて貰って再生させた。あの双子●●がお前だって事は、バレバレなんだよ。そんでもって、お前が何を考えているのか、手に取るように解るんだよ。そうだ、ちょっと顔かせ」

 そう砕けた言葉で薬師は、目の前の弥勒の前胸ぐらを掴んだ。

 薬師の何処にそんな馬鹿力が有るのだろうか。

 そう思える力で、薬師は掴んだ儘の弥勒を片手で引っ張り上げた。


 「お前に、最初っから何もかも騙されているとは思わなかったよ。ムカつくなぁ、ってなわけで一発殴らせろ」


 そう言うか否や、問答無用で薬師は力一杯弥勒を殴った。


 「さて、これで恨みっこなし。帳消しにしてやる。それと、お前に話が有る。世界の崩壊を止めるぞ。お前も協力しろ。俺に考えが有る」


 そう言うと薬師は、吹っ飛んで無様に尻餅を着いている弥勒に向かって、ニヤリと黒い笑顔を見せた。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

処理中です...