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神獣玄武『ナナミ』
画策
しおりを挟む『お山の存在が駄目だったの? このお山は、私を産んだ霊山なのに…… 』
「この山が駄目と言うよりも、活火山である事が駄目なんですよ。だからね、この山を死火山にする必要性がある。後、北の大森林、彼処も定期的に浄化する必要性が有ります。其れだけでも、ある程度改善される。でも、ある程度ですがね」
少女が息を吐く。
嘆息と言うものだ。
「この状況を作ったのはあの馬鹿でしょうが、考え無かったのでしょうかね、君を産まれさせた後に、休火山か死火山にする必要があると言う事に…… 」
薬師は、難なく傷つけた指を治すと、彼も嘆息した。
その時だ。
噂をすれば何とやらか。
件の人物が現れたのだった。
彼女意外は慌てて姿を隠す。
今会うのは得策では無い。
効果を狙うのならば、もう少し後だ。
もう少し。
彼が跪いて少女に話しかけている。
彼女は石像の身体に隠れているが、彼はそれに気付いていない。
少女がじれて姿を現しているのに気付かないとは、滑稽だった。
くすりと薬師が嗤う。
逸れをナディアが嗜めた。
── 残念だけど幻聴なんかじゃ無いわよ。はぁぁぁ……、漸く声が届いたわ。ありがとう、お客人様 ──
少女がそう叫んだのが合図だった。
今がその時。
彼の前……、弥勒の前に薬師が出て行くその良いタイミングだった。
「ま、ち~っと面倒だったがこういうのは俺の専売特許でね。ナディアに砕けた魂をかき集めて貰って再生させた。あの双子がお前だって事は、バレバレなんだよ。そんでもって、お前が何を考えているのか、手に取るように解るんだよ。そうだ、ちょっと顔かせ」
そう砕けた言葉で薬師は、目の前の弥勒の前胸ぐらを掴んだ。
薬師の何処にそんな馬鹿力が有るのだろうか。
そう思える力で、薬師は掴んだ儘の弥勒を片手で引っ張り上げた。
「お前に、最初っから何もかも騙されているとは思わなかったよ。ムカつくなぁ、ってなわけで一発殴らせろ」
そう言うか否や、問答無用で薬師は力一杯弥勒を殴った。
「さて、これで恨みっこなし。帳消しにしてやる。それと、お前に話が有る。世界の崩壊を止めるぞ。お前も協力しろ。俺に考えが有る」
そう言うと薬師は、吹っ飛んで無様に尻餅を着いている弥勒に向かって、ニヤリと黒い笑顔を見せた。
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