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epilogue
妖精の花園④
しおりを挟むアイセンレイトはラスティエルに微笑み掛けると、ラスティエルも嬉しくなって微笑んで言った。
「その番がどうかされたのですか? 」
と。
子供だから、察しなんて良くない。
解りもしない。
だから、アイセンレイトは苦笑してしまった。
「君は僕の番だよ。僕にはそれが解る。心で理解出来る。君は? 」
「私が、レイト様の番? 何故そう思うのですか? 」
「心が、気持ちが引きずられるんだよ。胸が苦しくなる。心臓が、煩い位に高鳴ってしまう…… 」
そう言いながら、アイセンレイトはラスティエルの頬に手を当てて、彼女の澄み切った瞳を覗き込んだ。
すると小さな女の子でも、女は女。
アイセンレイトの色気に当てられて(15歳で男の色気って……。)ラスティエルは、全身を真っ赤に染め上げてしまった。
「可愛いね、ラスティエル。ねえ、ラスって呼んで良い? 」
「えっ、あっ、だっ、駄目っ、駄目なんですっ。相性で呼んで良いのは王子様だけなんです! 私には王子様が居ますの……。婚約者が居るのです! 」
ラスティエルの言葉に、アイセンレイトの顔が一瞬だが歪んだ。
頭の良い彼だ。
王家の意向には、公爵家なら逆らえない。
拒否出来ない要請に公爵家は飲むしか無かった。
自分は見付けるのが遅かったのだ。
と、其処まで考えたのだ。
「婚約者か。何処の国の王子だ? そいつは王太子か? 」
「私の婚約者は、ルイボス王国のランディ王子様です。私は一人娘ですので、王子様が公爵家に降下して下さるのです」
「ふうん、ルイボスの第二王子か。あの脳筋で有名な…… 」
最後の言葉は呟きめいてラスティエルには聞こえなかった。
気を落としてなんかいられない。
アイセンレイトは話を続けた。
「ラスティエル嬢はランディ第二王子を愛しているのかな? 」
「解りませんわ。会った事など無いですし、私、まだ十歳ですもの。そう言うのは、良く解りません」
「そっか、確かにそうだよね。じゃあこうしよう。ラスティエルが大人になったらもう一度、僕と会って。その時、少しでも僕の事が気になったら僕と共に生きてくれる? 婚約者の王子の事は気にしなくても大丈夫だから。それに、もし、其れまでに困ったことが有れば、北の大森林までおいで。助けてあげるから……。覚えておいて僕の名はアイセンレイト=セイ=ルリコウ」
そう言って、笑うアイセンレイトはラスティエルの心に深々と刻まれたのを、彼は気付く事は無かった。(当たり前だよね)
そして、アイセンレイトが二十歳と三年経つまで、彼等は一度も合わない日々を過ごす事になる。
彼女がピンチに陥るその日まで。
まぁ、世界樹は彼女をしっかりと見ていましたけどね。
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