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第二部:瑠璃光夫人奪還作戦前夜
もう一つの作戦(あくまでもついで)
しおりを挟む「助かるよ」
そう言った薬師は、目線を白龍から他の皆に向ける。
詰めなければならない話はまだまだ沢山あるのだ。
なのにちょくちょく脱線する会話。
大事な話ではあるのだが、口に出さなくてもこのメンバーなら阿吽の呼吸で事を乗り切れる。
出たとこ勝負でも全然構わないのだ。
けれど、念には念をで緊急会議。
多少のハプニングは想定内で。
十人目の婚約披露会をかき回してのどさくさ紛れで奥様奪還、ついでに国守交代劇をやらかそうって言うんだから、型破りな御仁です。
そのうち、一国の王や皇帝の首すらすげ替えることも不可能ではないかと、思わないでもない守護聖獣達であった。
嫌、至極簡単にすげ替えてしまうだろう。
彼等なら。
其れだけの力は持っているのだ。
ただ、やろうとしないだけで。
嫌、コレも違う。
興味が無いのだ。
神の思惑など計り知れないのだから── 。
「で、ナディアの監禁されている部屋は? それが知りたいのですが? 」
「それなら此処ですね」
薬師の問いに、因達羅はもう一枚図面をめくると、左側に見事に同じ間隔、間取りでずらりと並ぶ部屋の一つを指差した。
「今は奪衣婆と一緒の筈ですよ。それとなく第一夫人に接触させ、ナディア様が誰の奥様なのか吹き込ませて繋ぎを取らせましたから。第一夫人にはオルレイン公国に留学していた息子が居ます。大学院生でしたが、今回の事で夫人が呼び戻しました。結構優秀だそうですよ」
暗にすげ替え候補にしては?
と、因達羅が薬師に進言すれば、
「彼は気が小さいと、聞き及んで居ます。国守の椅子の荷が重いのでは? 」
と、日光が問い掛ける。
「どちらにしても、適任者がアレしか居ないのでしょう? 彼を立たせる為には、脇を固めるしか方法は無いでしょう。この際、乗り掛かった船です。西河省に溜まった膿は総て絞り出して仕舞いましょうね。本当は、あまり私が手を出すと言うのはよろしくは無いのですが……弥勒には後で謝っておきましょう」
そう言って、薬師は口元だけで微笑んで見せた。
取り敢えず、総ては屋敷に入ってから。
薬師はグループを二つに分け、夜更けまで話し合った。
そして、気は熟した────。
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今回は、お話が短くてすいません<(_ _)>
章が変わりますので、此処で切らせて頂きます
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