無実の罪で断罪される私を救ってくれたのは番だと言う異世界の神様でした

黄色いひよこ

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第2部:御披露目の前

ナディアと侍女(奪衣婆)とぬい(白虎)

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「ふむ、困りましたわぁ…… 」


こっそりと、そう呟くのはナディア。


数時間前に奥方様方と意気投合して、侍女を付けて頂きました。
けれどもわたくし脱出を試みていまして、侍女が居ますと大っぴらに動けませんの。
ルナティもなかなか帰って来ませんし、明日の夜にはパーティーが始まってしまいます。
はて、どうしたら良いのでしょうか?


そう思考するナディアは、この侍女がナディアを見て、微笑ましそうに目を細めている事に気付かないでいた。


「お嬢様、私は、貴女様が正当な主様あるじさまにお引き渡し致しますまで、御世話をさせて頂きます、戦闘侍女のダツエバと申します。以後お見知り置き下さいまし」


そう彼女は淑女の礼を華麗にしてみせる。

カタカナ表記だが、そう、間違い無く彼女は奪衣婆であった。


「あっ、えっと…… 」


若干言葉に詰まったナディアではあったが、ゆるりと笑う侍女に絆されて、彼女はにっこりと笑んだ。


「こちらこそ、宜しくお願いします」


淑女の礼を取られれば、返すのは当たり前。

ナディアも見事な礼で挨拶を返すと二人は笑いあったのだった。




そんなナディアに、奪衣婆が彼女にとっての爆弾を落とすまで、さほど時間は取られなかった。


「さてさて、」


と、言ってポンポンと掌を叩き、柏手を打った奪衣婆は明るい声で、誰とは無しに呼び掛けた。


「さあさあさあ! 出ていらっしゃいませ! 面妖な姿の白虎様。明日には我が旦那様の主、薬師如来様が来られる! 西の聖獣白虎神よ、我が前に出られよ、我は地獄よりの使者、奪衣婆なり! 」


彼女はそう堂々とした啖呵を切ると、唇の端だけを吊り上げた笑みを見せた。

それに呼応してか、ナディアの前に飛び出して来たのは、黄色いぬいぐるみ姿のルナティだった。

ナディアの前を陣取って、護るように立つルナティに、奪衣婆は顔色ひとつ変えぬ儘対峙している。

双方睨み合いが続く中、態度を軟化させたのは奪衣婆の方だった。

ある意味、ふてぶてしさが残る彼女の態度にルナティは警戒心を益々強くする。

そんな彼を見て、奪衣婆はカカカと笑った。


「良い目をしているねぇ。そんなぬいぐるみの姿をしていると言うのに、良く躾られているものだよ。流石、あの方にしごかれただけは有るねぇ。羨ましい限りだね… 」


それが、奪衣婆がルナティを見た感想であった。

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