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✕✕の回顧録 中編
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その後、お母さんは数日間寝室から出てこなかった。ボクは自分の部屋とお風呂、トイレしか入っちゃダメと言われているから寝室に様子を見に行けない。
それでもお母さんの様子が気になったボクは、リビングで本を読んでいたお父さんに恐る恐るお母さんについて聞いてみるとどうやら体調を崩したみたいで、それを教えてくれた時のお父さんはボクのことをとても冷えた目で見ていた。
普段お父さんとあまり会話することがないのとお母さんへの心配が勝って、その事は気にもとめなかった。
そのまた数日後、お母さんが寝室からでてきた。寝室にいる間は、お父さんにご飯を運んでもらっていたようだったが数日間でとても痩せ細っていた。
お母さんが元気になったのが嬉しくてハグしようとすると避けられてしまった。今までボクの顔を見たり、頭を撫でたり、ハグをすることが好きだったはずのお母さんがボクを避けた。まだ体調が悪かったのかもと思ったけどやっぱり悲しくなったボクは気を紛らわすために家からこっそり抜け出した。
そして、ちょうど外にいた近所の人がボクを見るなり「ヒッ」と何か気味の悪いものでも見たような表情になった。どうしてそんな顔をするのか分からなくて1番近くにいた若い男の人に声をかけた。
すると、冷ややかな目に眉を顰めて嫌そうな表情でこう言った。
「老人のような白い髪に左右で違う瞳の色!気持ち悪い!!お前は呪われている!呪いをうつされたらたまったもんじゃない!!お前はここからでていけ!!!」
ボクには何を言われているのかうまく理解が出来なかった。理解したくなかった。ボクを気持ち悪いと言っている事を。ここから出ていけと言われているという事を。言葉の棘が容赦なく心に刺さった。
外に居場所が無くなってしまったボクは泣きそうになりながら家に戻った。すると、ボクを探しているのか、慌てているお母さんの姿が見えた。
急いでお母さんの元へ行き、ボクはお母さんに勝手に家を抜け出したことを謝った。ボクのことが大好きなお母さんならこれくらいのことならきっと許してくれる、と思ったのに
「どうして私の言うことを聞かないで外へ出たの!!どうしてよ!!!どうして私の思いどおりになってくれないのよ!!」
息がきれるほど大きい声でボクを怒鳴り始めて、少し息を整えた後なにか思いついたように言った。
「...そうよ!!そうだわ!!!あなたがとぉぉぉっても悪い子だからだわ、✕✕!髪の色が気持ち悪い色に変わったのも、瞳の色が気持ち悪い色に変わったのも全部全部ぜーんぶあなたが悪い子だからよ!!お願いだから良い子にして!」
お母さんからも気持ち悪いと言われるとは思わなかったボクは外に出た時に傷つけられた心を余計に深くえぐられたように感じてその日1人部屋で泣いていた。
その日を境にボクへのお母さんのあたりが強くなり、お父さんはボクの存在を無視するようになった。
それでもボクはお母さんが好きだった。ボクが悪い子だからだめなんだ。いい子になったらまた笑って褒めてくれるようになると信じていた。
いい子になるためにボクなりに考えて3つのことを気をつけるようにした。
1つ目は、笑顔でいること。
毎日何を言われても笑顔でいた。泣いたらきっとイラつかせてしまうから。悪い子だと怒られればお母さんの気が済むまで何回も謝ったり、暴力を受けても黙って耐えたりもした。
2つ目は、言う事を聞くこと。
前に怒られた時は言うことを聞かないで家から抜け出したから怒られた。言うことを聞かないと悪い子になってしまう。
3つ目は、お願いをしないこと。
いい子ではないボクのお願いを聞いてくれるなんてことは絶対にないのだから、お願いしたところでイラつかせてしまうだろう。
ということでこの3つを守って、いい子になろうと毎日頑張っていた。とは言っても、もうこの時にはトイレとお風呂の時以外は自分の部屋から出ないように言われていたしあまり関係なかったのかもしれない。
気持ち悪いと言われてしまった髪はお母さんに渡されたインクで毎日黒くして、瞳は髪で隠して気持ち悪いのを見せないように気をつけた。
前の幸せを感じていた生活とは変わってしまった毎日を過ごすようになって2ヶ月くらいの時だった。夜中にトイレに起きたボクは、リビングでお母さんとお父さんが何かを話していたのを聞いた。
それでもお母さんの様子が気になったボクは、リビングで本を読んでいたお父さんに恐る恐るお母さんについて聞いてみるとどうやら体調を崩したみたいで、それを教えてくれた時のお父さんはボクのことをとても冷えた目で見ていた。
普段お父さんとあまり会話することがないのとお母さんへの心配が勝って、その事は気にもとめなかった。
そのまた数日後、お母さんが寝室からでてきた。寝室にいる間は、お父さんにご飯を運んでもらっていたようだったが数日間でとても痩せ細っていた。
お母さんが元気になったのが嬉しくてハグしようとすると避けられてしまった。今までボクの顔を見たり、頭を撫でたり、ハグをすることが好きだったはずのお母さんがボクを避けた。まだ体調が悪かったのかもと思ったけどやっぱり悲しくなったボクは気を紛らわすために家からこっそり抜け出した。
そして、ちょうど外にいた近所の人がボクを見るなり「ヒッ」と何か気味の悪いものでも見たような表情になった。どうしてそんな顔をするのか分からなくて1番近くにいた若い男の人に声をかけた。
すると、冷ややかな目に眉を顰めて嫌そうな表情でこう言った。
「老人のような白い髪に左右で違う瞳の色!気持ち悪い!!お前は呪われている!呪いをうつされたらたまったもんじゃない!!お前はここからでていけ!!!」
ボクには何を言われているのかうまく理解が出来なかった。理解したくなかった。ボクを気持ち悪いと言っている事を。ここから出ていけと言われているという事を。言葉の棘が容赦なく心に刺さった。
外に居場所が無くなってしまったボクは泣きそうになりながら家に戻った。すると、ボクを探しているのか、慌てているお母さんの姿が見えた。
急いでお母さんの元へ行き、ボクはお母さんに勝手に家を抜け出したことを謝った。ボクのことが大好きなお母さんならこれくらいのことならきっと許してくれる、と思ったのに
「どうして私の言うことを聞かないで外へ出たの!!どうしてよ!!!どうして私の思いどおりになってくれないのよ!!」
息がきれるほど大きい声でボクを怒鳴り始めて、少し息を整えた後なにか思いついたように言った。
「...そうよ!!そうだわ!!!あなたがとぉぉぉっても悪い子だからだわ、✕✕!髪の色が気持ち悪い色に変わったのも、瞳の色が気持ち悪い色に変わったのも全部全部ぜーんぶあなたが悪い子だからよ!!お願いだから良い子にして!」
お母さんからも気持ち悪いと言われるとは思わなかったボクは外に出た時に傷つけられた心を余計に深くえぐられたように感じてその日1人部屋で泣いていた。
その日を境にボクへのお母さんのあたりが強くなり、お父さんはボクの存在を無視するようになった。
それでもボクはお母さんが好きだった。ボクが悪い子だからだめなんだ。いい子になったらまた笑って褒めてくれるようになると信じていた。
いい子になるためにボクなりに考えて3つのことを気をつけるようにした。
1つ目は、笑顔でいること。
毎日何を言われても笑顔でいた。泣いたらきっとイラつかせてしまうから。悪い子だと怒られればお母さんの気が済むまで何回も謝ったり、暴力を受けても黙って耐えたりもした。
2つ目は、言う事を聞くこと。
前に怒られた時は言うことを聞かないで家から抜け出したから怒られた。言うことを聞かないと悪い子になってしまう。
3つ目は、お願いをしないこと。
いい子ではないボクのお願いを聞いてくれるなんてことは絶対にないのだから、お願いしたところでイラつかせてしまうだろう。
ということでこの3つを守って、いい子になろうと毎日頑張っていた。とは言っても、もうこの時にはトイレとお風呂の時以外は自分の部屋から出ないように言われていたしあまり関係なかったのかもしれない。
気持ち悪いと言われてしまった髪はお母さんに渡されたインクで毎日黒くして、瞳は髪で隠して気持ち悪いのを見せないように気をつけた。
前の幸せを感じていた生活とは変わってしまった毎日を過ごすようになって2ヶ月くらいの時だった。夜中にトイレに起きたボクは、リビングでお母さんとお父さんが何かを話していたのを聞いた。
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