マグナムブレイカー

サカキマンZET

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第3章 東と西 赤の書編。

第91話 『覇気玉』。

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 木戸が基礎トレーニングをし始めて三日が経った。三日前とは違い、細い体に少しだけ筋肉がついていた。

「よし、早くなったな。今日の基礎トレーニングは終了だ。次のトレーニングに移行する。」

 修二はノルマを達成した木戸を途中で停止させた。

「は、はい!」

 木戸は予想外な出来事に驚愕し、直立で修二の目前で立っていた。

「じゃあ次は『覇気』のコントロールだ。初期の基本だ。これさえ出来れば、後は応用するだけで、実用できる。」

 修二は腰を低くし、何もない右掌を木戸へ見せる。
 木戸はマジマジと修二の掌へ注目していた。

「いいか? ちゃんと集中してないと怪我するからな?」

 修二は木戸へ注意を促して、右手に集中していた。全身に膂力を込め、右手で何かをしようとしていた。
 暫くすると、山吹色に輝く小さな玉が発光し始めた。
 修二は額に発汗させ、身体の全てから血管が浮かび始めていた。
 そして輝く玉を掌で安定させていた。

「これが『覇気』を扱う事だ。これを四日でマスターしてもらう。これはかなり集中してねぇと、自分が吹っ飛ぶダメージを受けるからな。」

 修二は素早く光の玉を握り潰し、自信の『覇気』を収縮させた。

「これが…『覇気』を扱う…」

 木戸は修二の光輝く『覇気』を見て、呆けていた。そして感動し、燦々輝く太陽の魅力に惚れていた。

「さあ、やってみろ。この三日間の基礎トレーニングの成果が試されるぞ? どんな形でも数秒だけ維持・・さえ出来ていれば合格だ。」

「はい!」

 先ず、木戸は修二がやっていた体制で右掌へ『覇気』の玉を作ろうとしていた。が、相当簡単にできる筈もなかった。

(同じ体制じゃ駄目なら、私のやり易い体制で『覇気』を練る!)

 同等なのが無理だと直ぐ様悟ると、木戸は両手を使って形作ろうとした。
 集中し過ぎて疲労した修二は木へ凭れ、煙草を咥えて、木戸の様子を伺っていた。

(流石だな。俺のやり方が合わないと思った瞬間に、シフトチェンジする速さと合理性。本能的に感じた事は切り替えて試す。謂わば、神崎忍に近い考え方だな。)

 修二も無駄に身体能力を伸ばしていた訳ではなく。
 相手の性格、行動、思考全てを輝が五年掛けて教え込み、ここまで計算できるようになっていたのだ。
 そして木戸の性格を即座に見抜き、今後のトレーニング方法を若干変更しようと至っていた。
 ジッポライターで煙草に着火し、深々と紫煙を肺まで吸い込み、吐き出す。

(さて、あの『覇気玉』を四日以内に完成できるかの問題だな。)

 今、名称つけた物を早速使って木戸の成長を見ていく。期限は四日というギリギリな過酷な時間で、『覇気玉』を完成できるか瀬戸際だった。
 後は、運否天賦に任せるしかなかった。

(…駄目だ。普段なら両手に纏わせるぐらいなら出来るけど、離しながら、そこに集中して形作るのが難しい。)

 木戸が膠着状態になったのは、『覇気』を操作する段階だった。直接操ることは造作でもないが、分離して操作するのが思ったより難航していたのだ。

(師匠に尋ねて見様見真似したいって、言っても負担になるから聞けないし…南雲さんは何処かに行っちゃったし…ここは一人で頑張ってみよう)

 木戸はギリギリまで修二と南雲には頼らず、出来る所までは頑張ってみようと思ったのだ。

(木戸の奴、俺を気にして何も言わないとなると、一人で頑張ろうとしてるな…まあ無茶しそうになったら強制的に止めて、少し休ませるか。四日しかなくても、必ずできるように導いてやるか)

 修二は木戸を心配しながらも様子だけ伺い、疲労で昼寝した。
 数時間すると修二はハッと目覚め、木戸を探していた。が、まだ『覇気玉』を作っている木戸が目前にいたからだ。
 弟子の無事を確認できて安堵していた。今度はちゃんと起きておこうと、心に深く刻んだ。
 吸っていた煙草は奇跡的に消えて、服には燃え移らなかった。

「…できそうか?」

 そろそろ限界の頃合いかと思い、修二は木戸へ声を掛けた。

「…はい。手探りでやってみましたが、やはり見様見真似でさせてもらえないでしょうか?」

 素直に無理だと修二へ伝える。そして一緒にやって貰えないかと悔しそうに提案した。

「分かった。」

 修二は快く了承し、木戸の隣へ立った。

「『覇気』は両手に纏えるんだよな?」

「はい。それだけはできます。」

「じゃあ、『覇気』を両手に纏わせてみてくれるか?」

 木戸は言われた通りに、両手へ赤黒くドロドロとした『覇気』を出現させ纏わせた。

「…成る程、マグマか。『覇気』の名前に横文字なんて初めてだな? これは『マグマの覇気』になるのか?」

「なんか急に横文字となるのは、不自然な感じがします。」

 二人は『覇気』の呼び方で悩み始めたのだ。
 それも貴重で短い時間を浪費しながら、無駄に続いたのだ。

「ちょっと待てよ!? これこそ現代文化の産物であるスマートフォンに聞けば良いじゃないか!」

 少し考えたら分かる事を修二は得意気な表情で自慢しながら提案する。

「…あの、すいません。気分が盛り上がってる所、申し訳ございませんが、それって少し考えれば分かる事では?」

「…本当だ! お前、天才だな! そういう所も喧嘩では必要な発見だぞ!」

 修二の嘘偽りのないニコニコとした表情で、衝撃発言に木戸は呆然と驚愕するしかなかったのだ。

(もしかして師匠って馬鹿なんじゃ…嫌々、あんなに強くて、知能が何も気づかないほど馬鹿なんて…あり得ないよね?)

 そして木戸は修二の根本的な何かを察した。

「…し、師匠はもしかして…馬鹿なんですか?」

 修二の核心に迫るような質問を、木戸は戸惑いながらも質問した。

「……さてと、HEY.Siri! マグマは日本語で何て言う?」

 修二は木戸の質問には返答せず、無表情のまま携帯で調べ始めた。

「それって図星だから何も答えなかった反応でしょ! それで馬鹿じゃないって誤魔化すのは無理がありますよ!」

「あぁん! 別に誤魔化してねぇし! 勝手に思ってるだけじゃねぇのか!? 弟子でも思い違いするのは、まだまだだな!」

 修二は不愉快な表情で、素直になれば良いものを変に誤魔化していた。これは負けず嫌いのプライドが邪魔をするのだった。

(む、ムカつく…。)

 木戸は不愉快な表情で返答する修二に対して、殴りかかりそうになっていた。が、ここで戦っても負ける事は承知なので我慢した。

岩漿がんしょうっていうらしいぞ。じゃあ『岩漿の覇気』で決定な!」

 先程の事など忘れて修二は、ニコニコとした表情で木戸の『覇気』に名前を付けていた。
 このマイペース差に木戸は更に憤怒を増加させた。が、ここは大人となり堪えて、ニコニコと表情を返していた。

「よし、その『岩漿の覇気』を両手に纏わして、一点集中して物体を作ってみろ」

 気を取り直して修二は真剣な表情で、木戸へアドバイスする。

「後で、覚えておけよ。このクソ中分け…」

 木戸はハブられた質問を返答しなかった事に対して怒り、後で何かするつもりらしい。
 そして木戸は言われた通り、マグマを両手に纏わせた。マグマを一点集中し、『覇気玉』を作ろうとしていた。

「そのままにしとけよ? 集中が切れたりすると、解除した余波で身体が吹っ飛ぶからな?」

 そう言った直後に木戸は集中を切らし、小さく吹き飛ばされた。吹き飛ばされた影響で軽い尻餅をついてしまう。

「それ先に言ってくださいよ…」

「集中は切らすなってハッキリ言ったろ? 『覇気玉』を作る前に?」

 木戸は思い返してみると、修二は確かに集中しろと言っていた。

「それじゃあ、その感覚で練習して四日間頑張ってくれ。」

 修二は再び木へ凭れ、煙草を吸い始めた。

(とか言っても、もう答えを教えたんだよな。まあ、ちゃんと物にすれば文句なんて出ねぇんだけどな…これからがどうなるかだ…)

 修二は木戸の成長速度次第では、実践に入れようかとも密かに思っていた。
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