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06:外れトカゲ
しおりを挟む合わさりの月というのは今日の月の事だろうな。
2つが完全に重なり、いつもの数倍明るい。
そのまま、砂漠に向かって飛んでいくと、
一カ所だけキラキラ光る場所があった。
いつもと違う爆裂音とともにスイカの種をとばすがごとく、
砂から砂漠石が飛び出してきていた。
え?取り放題じゃないの?
と疑問に思ったが、音がやむと同時にどこからともなく人が現れ、
無心に拾い集めていた。
砂トカゲは夜にはでないのか、姿は見えない。
拾っている人たちは、マティスと同じような風体だ。
街の人達かな?
これだけ簡単に集められるんなら、
マティスの商売あがったりなんじゃないの?
形もマティスの集める雲母のかけらではなく、
少し細長い、丸みを帯びたものだ。ヒマワリの種より少し大きいぐらいかな?
それ一つで数日の生活と毎日のお風呂も賄えそうだ。
球体であの大きさは珍しかったんだ、
あの商人の興奮ぶりに納得がいく。
20人ぐらいの人間が一通り集め終わると、
それを先ほどから仁王立ちしている男へ渡していた。
一人ずつ、数を確かめるように受け取っていく。
歩合制なのかな?
それを一纏めにして今度は後ろの天幕の中の人に恭しく差し出した。
砂漠石の管理はお貴族様の仕事と言っていたので、そういうことなのだろう。
だから、合わさりの月の夜は砂漠に入ってはだめなんだ。
独占なんだな。
お貴族様らしい人が、集めた砂漠石を確認していた。
「これだけか?」
「はい、間違いありません。」
「混合いの数日まえに大きな振動があったが、その影響か?」
「わかりません。そもそもあの振動が何だったかもわかっておりません。
その日すぐに砂漠に調査隊を向けましたがなにも発見できておりません。」
「ふん、すぐにと言っても、ここまでは時間がかかろうて。
そのあいだに砂丘も姿を変える・・・外れトカゲは相変わらずか?」
「出入りしている商人ゼムも混合いの日に訪れ、
いつもより少し多めの食料を置いて帰っています。
引き取った砂漠石のかけらはいつもと同量です」
「あの振動で多く手に入るとおもって準備したが、引き取ったものは同量か?」
「知古の間柄なので、石の量にかかわらず置いていったものかと。」
「商売人がそれではなりたたないであろうが!いますぐトカゲのもとに行くぞ」
「承知いたしました。」
うーん、大きな振動ってのは最初にやらかしたあれだよね?
それで大きな砂漠石を取ったから、
合わさりの日に砂漠が吐き出す量が減ったってこと?
不思議現象だねって流せばいいのに。
外れとかげってのはマティスのことで、商人はゼムさんか。
仕入れ量とか把握してるんだね、こわっ。
どうする、先に知らせてやるか?あの人数で移動するなら、
家に着くのは月が沈み切る前か?
ここの世界もだいぶわかってきたから別の場所に移ってもいいけど、
ちょっと気になるし、
様子だけみてそれが終わったら、街に行こうかな。
うん、そうしよう。
家に戻ると、マティスは起きていたようだ。
暴れまくったのか、部屋がめちゃくちゃだ。
わたしを探しまくったのかな?
いやだな、声かけるの。
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