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17:時を計る
しおりを挟むお風呂の前にやはり時計というか、1日24時間という区切りが分かりたい。
---時示せ月の姿を
という願いでその夜の月の姿が反映させることができるのなら
この言霊の世界で時間を計るということもできるはずだ。
どう持っていけばいいのか?
1年365日1日24時間1時間60分1分60秒
1秒の長さを石に覚えてもらって光るようにお願いすればいいのか?
不思議石で板状のものをつくり、おはじき状の石を24コ張り付ける
これが時計。
次にカレンダーのように1から31までの数字を1月から12月まで張り付けた。
そして一番上に少し大きめの丸い石。これがこのカレンダーのポイント。
この子に15秒の長さを覚えてもらう。15×4で60秒=1分。それを60回で1時間。
1時間ごとに数字が光る。24まで光ったらまた1から。
そしてカレンダーの日付も1つずれて光る。
15秒ね。ハッピーバースデーの歌が15秒らしい。
丸い石に手をあてて願った。
『あなたは時刻む15秒の石。あとで歌を歌うからその長さを覚えて。
その長さを4回。それを60回それで時間をしめす石たちは順番に光り輝いて。
月日を示す石たちは24番目の石が輝いたら順番に光が輝いて。』
全体に淡く光り承諾されたと理解した。
といか、今日は何日だろう。
こちらに来る前はまだ寒い3月4日。
それから14回の夜が来ている。今日を入れて15回目。
1日が24時間ではないから体感的に10日ぐらいか?
3月14日として、時間は?
「マティス?今の時間ってわかる?」
ずっと、空を見つめていたマティスが我に返るようにこちらを見た。
「え?」
「うーん、時間というか、いま、夜?朝?
「ああ、暦の光具合だともうすぐ月が昇る。」
「そんなこともわかるのね。ということは夜の7時ごろ?かな?」
「?」
「わたしの世界のカレンダーと時計を作ったのよ。
んで、今から歌うけど、さくっと無視しててね?」
こころの中で歌ってもいいが、声に出して普通のリズムで歌わないと
15秒が計れない。心の中だと、若干早くなってしまうらしい。
これを知った時一応実験したのだ。かなり正確に15秒計れる。
「あー、ちなみにマティスの誕生日っていつ?」
「タンジョウビ?」
「え?生まれた日だよ?知らないの?」
「生まれた日はみな雨の日だ。」
「え?ちょっと待って、みんな雨の日に生まれてるの?
雨の日ってえーっと10回ぐらい寝る長さがあるんだよね?
その間ってこと?え?皆さん同じ時期に生まれてるの?
ちょっと、仕込みは?まさか雨の日に仕込んで次の雨の日に生まれるか?」
「なにをそんなに興奮してるんだ?仕込みって契の事か?そうだ。
雨の日は産婆が忙しい日だ。」
うわー、魔法、言霊、科学。どれが発達していても、
異世界の人型の構造は大体同じだと思ってたけど、ちょっと違うね。いや、かなり。
これは新しいパターンじゃないの?
「え?じゃ、その日以外は契というかセックス、うーん性交はしないの?あれ?」
「・・・女性があからさまな言葉をいうものじゃないぞ。雨の日の性交で子ができるだけで、
雨の日以外もするに決まっている。逆に子がいらなければ雨の日はしなければいい。娼婦の休日だ。」
「うわー、ここ一番のカルチャーショックだよ。うん、すごいね。あ、娼婦はいるんだ。」
「おまえでもすごいとおもうことがあるのか?娼婦は女性のあこがれの職業だ。」
「いやいや、うん、すごいよ。ほんと。
えーと、ちなみにわたしの世界はここで言う妊娠可能日というか、
雨の日に相当する日が1年に12回来ます。
だからその日に性交すると妊娠する可能性があります。」
「え?そうなのか?えっと、その、あのままだと子はできたのか?だから、泣いたのか?」
「ちがーうう!!子ができようとできまいと同意がないのにあんなことするのは犯罪なんだよ!」
「そ、そうなのか?」
「そうなのかって、ちょっと、その性に対する考え方が違うよね。
同じベットに寝るのは夫婦だけだっていう割にはあけっぴろげだし。」
「自分の寝床をほかのものに許すということはそれだけ信頼しているということだ。
何を仕込まれるかわからんからな。」
「なにを仕込まれるのよ、寝床に。怖いな、異世界。気を付けるよ。
他人の寝床では寝ない。ここの世界の性はかなり自由。雨の日は性交しない。これであってる?」
「子がいらないならだ、雨の日にしないのは。」
「はいはい、女性はね。あー、また話がそれた。もういいよ、その話は。
今から歌う歌が誕生日を祝う歌だからマティスはいつ生まれたのか聞いただけ。
もう、歌うけど、笑わないでよ。」
理解したのかどうかわからないけど、黙ってうなずいたので歌うことにした。
もう一度石にお願いする。
『時刻む15秒の石。今から歌うよ。15秒の長さを覚えてね。』
Happy birthday to you,
Happy birthday to you,
Happy birthday, dear Mathis,
Happy birthday to you.
歌い終わると15秒の石はまた淡い光を放った。
『時間をしめす石たちよ、いまは19時ね。
月日を示す石たち3月の14日。
それぞれで時を教えてね。』
3月14日の数字が光り、19番目の石も光る。15秒の石は、15秒ごとに点滅していた。
「今のが歌なのか?」
「・・・なに?音痴だと言いたいの?」
「オンチ?わからん。歌なのか?祝福の祈りに聞こえた。とても心地いい気持ちがしたんだ。」
「あー、生まれてきてありがとうっていう感じの歌だからね。何気ない歌でも
ここで、わたしがうたえば願わなくてもそう聞こえるかな?いやな気持ちがしなかたんならよかったよ。」
「・・・また、歌ってほしい。」
「・・・気が向いたらね。
さ、これで、時間の感覚の違いが分かるはず。暦の横に置いといてね。
さてと、お風呂造ろうかな?マティスは荷物の整理と、あー鞄を作るのが先かな。
タロスさんの鞄に仕込もうか?」
「なんでも入る鞄にするってことか?よろしくお願いいたします。」
なぜか敬語で渡された。
『タロスさんの鞄さん。なんでも鞄になって下さいな。
丈夫で長持ち。中に入れたものの重さも感じない。
マティスが望んだものが鞄に入り、マティスが望んだものが取り出せる。
時間停止も付けとこうか。生き物はだめね。なんか、際限なくなりそうだから。』
「はいこれで、大丈夫よ。マティスだけが使える不思議鞄。
鞄に入れたいと思えば入るよ。漠然と願ってもある程度大丈夫だと思う。
本だけーとか、食べ物だけーとか。泥棒とかに使わないでね。一応常識の範囲で。」
「ありがとう!!」
鞄を両手で受け取り、さっそくいろんなものを入れては出し、出しては入れていた。
「すごい、すごい。」
すごいを連発してるよ。
「当分ここで暮らすからうまく配置して快適空間を作ってね。
ご飯も食べてよ?台所とかいるならあとで作るから。
さきに、お風呂作ってくるね。」
「あんたは食べないのか?」
「んー?体の時間を止めてる状態だから今はいらない。
第一、そんな食料ないでしょ?」
「いや、食料はある。ゼムは混合い月の初めに来るだけだか、その期間の2回分食料はある。
向こうに見える箱はすべて食料品だ。大事なものだよ。
それにこの前は多めに持ってくれたし。よかったら、一緒に食べよう。」
「ほんと?じゃぁ、お言葉に甘えようかな?自慢じゃないけど、料理とかできないからお願いしてもいい?」
「そうなのか?なんでも器用に作るから料理もできるものだと思った。」
「・・・・それはゆわない約束よ、おとっつあん。」
「おとっ?なに?」
「人には得手不得手があります。それをわざわざ指摘しないようにっていう意味だよ。」
「そうなのか?料理は得意ではないが下手でもない。タロスの食事も俺が作ってたんだ。
自分だけだと手抜きになるがな。荷物の整理が終わったら簡単なものを作ろう。
すまないが、明日でもいいんで火と水が使えるようにしてくれるか?」
「うん、わかった。ご飯を食べたらお風呂にはいれるように作ってくるよ。」
「ああ、楽しみだ。」
そうして、マティスは家一軒分の荷物の整理と晩御飯づくり。
わたしは欲望満載のお風呂を造ることにした。
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