いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
47 / 869

47:育つ

しおりを挟む


目が覚めると、薄暗い。
腕の中には愛し人が、気持ちよさそうに眠っていた。
・・・よだれが出ている。

なにもかもが可愛らしい。
髪を撫でつけ、口元を拭ってやると、
「んぐぅ・・・」
といいながら、丸まってしまった。
その抱え込んだ胸の中に入り込みたい。
口元をたむたむさせている。また、なにか食べているのだろうか?

そっと、寝床から起き出し、着るものは風呂場に置いたままだと思い出した。
うっすらと見える扉を開けると、
真っ暗だ。当たり前だ、ここは深い土の中。

『月が沈みかけるぐらいの明るさを』
そこかしこに埋めたのだろうか?明るく照らし出した。

広すぎる便所に行き、やはり小ぶりに作ってもらおうと思い
風呂場に行き、せっかくのなので、熱い湯を浴びる。
なんとも贅沢だ。
水気を適度に飛ばし、服を”きれいに”してから身に着ける。
彼女の服も部屋に持っていったが、まだ、眠っていた。
さらに丸まっている。

暦をみると、月が昇るころだ。
彼女のかれんだあは6の場所が光っている。
彼女の言うあさなのだろう。

台所には石を仕込んでいなかったのか、ここだけ暗い。
私がいつでも使えるようにと渡されている砂漠石専用の小袋から
石を引きちぎり、天井にほり上げる。

『彼女の部屋やほかの部屋にあるように明かりをつけてくれ。』

彼女のしたことをまねるのはたやすい。
石もなすべきことを理解しているようだ。

湯を沸かし、彼女が入れたようにコーヒーを入れる。
このほうがうまい。が、彼女が入れてくれたほうがうまいような気がする。
飯をつくろう。
小麦をうすく焼き、樹液蜜をかけてやろう。サボテンの実もうまそうに食べていたから
甘いものは好きなのだろう。
そうだ、氷もつくらねば。酒もうまいだろう。
小さな氷室を開けるとサボテンの実は完全に凍っていた。
これでは食べにくいので外に出しておく。
彼女が起き出すころにはちょうどよく溶けているだろう。
ちいさな容器をいくつかつくり、これに水を入れ、氷室にいれた。
丸くもできると言っていたが、どうするのだろうか?あとでつくってもらおう。

彼女の気配が動く。
便所に行ってから風呂にもいったようだ。
ん?また、部屋にもどったのか?

少ししてパタパタと彼女の足音がし、
こちらに顔をだした。

「マティス、おはよう。ごめんね、服持ってきてくれたんだね。
 置きっぱなしだとおもって、裸でお風呂までいったら、ないんだもの。
 慌てて部屋に戻って電気付けたら机にあった。ありがとね。」
「なんだ、裸でだっしゅしたのか?見れなくて残念だ。おはよう。」
「ふふ、うん、残念でした。あ、電気つけたのね。ここに付けるの忘れてたよ。
うまいことできたね。もう、立派なえっと石使いだっけ?それだね。」
「そうだな。世間の石使いとは多少違う。
石を使っているというよりお願いして、力を借りている。」
「そうだね、感謝しないとね。ありがとう、ってね。」
「ああ、感謝だ。このコーヒーの淹れ方も教えてくれてありがとう。
私もうまく入れられたと思うのだが、飲んでみてくれるか?」
「モーニングコーヒー。ありがとう。」

こちらの小さなテーブルに座ったので、コーヒーを出した。
わたしがいれるよりおいしいと、いった。
コーヒーは人に入れてもらうほうがおいしいと。私もそう思う。
次は彼女が入れてくれるといってくれた。
正面に座るには狭いので、斜め横に椅子を置き座った。
こちらのほうが近くてよい。

「アサごはんはすぐ食べるか?小麦に樹脂蜜を掛けたものだ。
 細く切ったサボテンに夜に出した肉を混ぜたものもある。どうだ?」
「樹脂蜜ってメープルシロップ?あ、ホットケーキ。すごい!」
「そういうのか?」
「うれしい!好きなんだホットケーキ!」
「そうか?ここで食べるか?すぐ焼くぞ?」
「たべる!」

アサは軽くでいいと言っていたが、皿ほどの小麦を3枚食べ、
サボテンの実もすべて食べた。

そうか、それはいろいろ育つな。
それはそれで可愛らしい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...