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52:九九
しおりを挟む今日の月が離れはじめの月だそうだ。
3時ごろに昇りはじめ、6時間後に沈む。13時間の昼があり、そして月が昇る。
夜が13時間となる、らしい。
「1日26時間か、長いね。」
焼肉を堪能して、2人でまったりお風呂に入る。
風呂上がりのビールをさらにおいしくするために、ジョッキを作り
マティス作の冷凍庫に冷やしている。
「会わずの月まで、もっと長くなるぞ。」
「そうか、40時間ってゆってたね。そこからまた短くなるの?
長くなっていく反転みたいに?」
「いや、長くなるのは徐々にだが、短くなるのは一気だ。」
大体の時間を教えてもらい、足し算していくと、
ここでの1月は33日ほどの計算になる。
33×40か月で1320日。これで1年。約3.6倍。
暗算は苦手なので、お風呂の壁に指で筆算。
この世界も10進法、これは助かった。
でも、九九はない。
途中でマティスが聞いてくる。
ちょいまち、計算できない。
「んー、前にさ、30年ぐらいでーって話なんだけど、
マティス的には10年とちょっとぐらいだわ。からだの老化は置いといてね。」
マティスが黙り込む。
「でもさ、先のことなんかわからんもの、ね?
ごめん、もうこの話はしない。でも、覚えていて?」
「うん。」
「あ、九九は便利だよ?時計の読み方と同時期ぐらいに
覚えるんだったかな?
リズムをつけて覚えるの。
いんいちがいちにいちがにさんいちがさんしいちがしごいちがごろくいちがろくしちいちがしちはちいちがはちくいちがく 。」
「?」
「お、結構いえるもんだね。あとで、表を作っておくよ。
ここに貼れるように防水加工もしてね。」
そんな話をしつつ、お互いの体を洗った。
明日どうなるかもわからないのに、30年後とか8年後とか言っても
仕方がない。
でも、体力と筋力はつけたほうがいいな。
若い旦那を持つ奥様はきっと同じように考えているのかもしれない。
風呂上がりのキンキンに冷えたビール。
あてはパリパリチーズと干し肉。
「くぁーっ。うまい。」
思わずうなってしまう。
石を手に持って注ぐのがちょっと問題だが、なんせ、うまい。
「なるほど、炭酸ではない、発酵酒でもない、飲みやすい。
エールはもっとぬるくて甘い。」
「そうなの?お風呂上りに飲みたくなるでしょ?これ?」
「ああ、納得だ。」
良い感じで酔いが回る。
「明日の何時にごろに外に出るの?」
「いまは・・22時。これぐらいかな?ちょうど月が昇る。」
「そこから13時間?なにか食べるものも持っていこうね。
ちょっとした旅行だね。 ん?どうした?」
「・・・抱きたい。」
「・・・うん。」
まだ、お風呂での話を引きずってるのはわかっている。
しゃーないやっちゃ。
手を引きわたしの部屋へと向かった。
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