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57:足跡
しおりを挟む「扉君、お疲れ様です。これからちょっと遠出するよ。
その間留守番お願いします。」
扉の下で、声を掛け、扉をうんしょと持ち上げる、マティスが。
外の空気はおいしい。焦げ臭さも薄れた気がする。
後に続いて外に出ると、胸いっぱいに息を吸った。
マティスが扉の回りを見つめている。
「どうした?」
「足跡がある。」
「この前外に出たときのものじゃなくて?」
「あの時のものは一応消した。月が沈むときに風が抜けるからそもそも残らない。
いま、残ってるのは月が沈んだ後のものだ。」
「わぉ?偵察かな?この扉の周りだけ?」
「・・・そうだな?ここが一番多い。」
「んー?扉君は優秀だから見つかってはないけど、なんとなく気づかれた感じかな?
足を踏みしめたら、音がちがったとか?
タロスの木が何も言ってないから、偵察だけ?第2陣が来るかな?」
「そうだな、来るか。明日の朝、大掛かりな人数で来るかもしれないな。
どうする?このまま旅に出るか?」
「んー、それって、街にも行かずってことだよね。
とりあえず、予定通り、今日は遠出しよう。
んで・・・」
余った革を寄せ集めた小さな袋を拡げて
『がばちょ』
扉の下は地面になった。
『階段10段ぐらいと人が一人は入れるぐらいのスペースを地下に』
「なにを?」
「んー、みんなこっちの鞄にいれたの。で、ダミーの空間を作った。
これで、明日いっぱい人が来て、いいタイミングで扉君に手を抜いてもらう。
すると階段とちいさな空間がみつかるから、ははーん、ここに隠れていたな?ってなるかと。
あ!!薬草がダメなる!!ごめん、マティス!!」
一瞬でもダメなのだ、鮮度そのままを維持できるが
出してもそこから成長しない。
「いや、薬草は別にいい。また、植えればいいから。
みんなって全部か?風呂も便所も?」
扉から覗き込めば階段の下に空間が見える。
「うん、たぶん。どこか、適当なところで開放すればもとのまま、のはず。」
「たぶんなのか?」
「そういうものだっておもってるから大丈夫よ。なんなら今戻す?」
「いや、・・・薬草だけ出せるか?」
「うん、でも、もう死んじゃってるよ?ほんとにごめん。」
「気にするな、どちらにしても食べるものだったんだ、最後に役立ってもらうさ」
出した薬草は、新鮮そのもの。でも、これ以上成長しない。
それらを渡すと、少しかじって下の空間にばらまいた。
「偽装するのだろう?一応薬草をかじっていたとかにしとけばいい。
それでとうとう耐え切れなくななってどこかにいったと。」
「おお!マティス天才!!」
拍手を送る。
「戻ってくるとか思わないかな?」
「そうだな、まだ、しつこく調べに来てたんだ、来るかもしれないな。」
「そっか。じゃ、ゆっくり戻ってこよう。んで、空から姿と気配を消して高みの見物だ。
もう、出発しよう!」
「気配を消すのか?私にもできるか?」
「気合でできるよ!」
「・・・そうか、練習しておこう。さ、行こうか?」
「うん。」
「扉君後お願いね。人が来て、なんだか大層なことをし始めたら
姿を現して。うん、わかってるよ、何をやっても隠しきれることはしってるけどね。
ここはアカデミー賞級の演技力でさ、演出しちゃって。うん、よろしくね。
タロスの木もよろしくね。」
「あかでみいとは?」
「ん?演技する人の最高ランクって奴。演劇とかする人の最高の名誉?みたいな感じ」
「それを扉君?に頼んだのか?」
「うん、ノリノリだったよ。」
「・・・そうか。」
「じゃ、行こう!どっち方向?」
「こっちだ。」
2人で浮き上がり、かなりの速度で砂漠の奥を目指した。
2人で砂漠を歩く。
空は飛んでいない。目が痛くなったのだ。
「マティスさんや、これは失敗です。」
私の袖をつかむと下へ引っ張っていく。
「・・・目が痛い」
「・・・そうだな。」
「ロープってある?」
「一応持ってきているぞ?どうするんだ?」
「これ、マティスと私を結んで、わたしは浮く。引っ張って?」
「疲れたのか? 」
「ちゃうちゃう、ゴーグル、目を守るものを作る。
歩きながらだと危ないから、引っ張って。で、マティスは気配と姿を消す練習。」
「なるほど。」
「姿から消してみ?相手には見えない、光の屈折、もしくは乱反射。
蜃気楼とか逃げ水ってある?光の屈折でないところにあるみたいな。
それの逆、あるのに見えない。」
「その理屈はあってるのか?」
「これはあってるよ?たぶん。」
「ははは、そうか。やってみよう。」
相手から見えないということを、理由付ければいいわけだ。
物が見えるのは光が反射して目に映る。
光を反射させない、相手には見えない、気づかない・・・
「マティス!マティス!!消えてる!ロープだけ浮いてる!!」
「そうか?これで?」
「おお!!現れた!すごい!!」
「あとは気配か・・・これは?」
「いや、見えてるし、わたしには気配がどうのってのはわからんよ?」
「そうか?では。」
姿と気配を消してみる。ロープが宙に浮いているようになるというので、
ロープも外した。
「マティス、どこ?見えないよ?ロープも外したの?」
キョロキョロしてる。可愛いな。
「・・・っいやー!!!!」
叫び声をあげたかと思うとしゃがみこんだ。
慌てて抱きしめる。姿を消している場合ではない。
「どうした!なにがあった!」
涙でぐちゃぐちゃな顔をして、私にしがみつく。
「い、いなくなった、おいていかれたとおも った。いやだ・・・
どこにも行かないで・・。おいてかないで。」
「姿を消す練習だろ?気配も?置いていくわけがない。」
「・・・もうしないで。これは嫌だ。冗談でもしないで。気配を消すときは手をつないでいて!!」
彼女が泣く。恐怖で。泣かしているのは私だ。
「もうしない。冗談でもしない。必要な時は手をつなぐ。必ず。
泣かないで、愛しい人。」
首にしがみつく彼女の頬を撫で、見上げる涙で潤んだ瞳の横に口づけをする。
んっと唇を向けねだる彼女の希望通りに深い口づけを送る。
落ち着いたのか、へへへと照れ笑いをした。
「いやー、びっくりした。こんなことで、びっくりするわたしにも驚いたよ。」
「・・・大丈夫か?」
「ううん、ごめんね、ありがとう。もう大丈夫。」
「私も悪かった。二度としない。お前もしないで。朝起きたときにいないのは嫌だ。」
「そうだね、怖いよね。うん、わたしもしない。・・・わたしより早く起きて。いい匂いさせていて。
そしたらわたしは安心。」
「うん、そうだな、そうしよう。」
「うん、あ、ゴーグルはできたよ。これ。」
前に見せてもらったさんぐらすを大きくしたようなもので、
贅沢にすべて砂漠石だ。
「こうはめると勝手に調整してくれるから。こんな感じ。」
「こう?お、締まる。」
「きつくない?」
「いや、ちょうどいい。これで風や砂が目に入るのを防げるのだな。」
「うん。」
「では、行こう。」
「うん、手はつないでね。」
「わかった。」
それから、飛んでは下り、寝ている砂トカゲを仕留め、
浮き出ている石を回収しながら進んだ。
会わずの月の日の前日に出発しても到着後すぐに戻るだけの距離だ。
まだまだ月が沈むまでは時間がある。
目の前にサボテンの群生地が広がっている。
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