いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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66:小物の戯言

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砂漠についたら、荷を鞄にいれて
飛んでいこう。駱駝馬は放せば街に帰るだろう。
愛しい人はきっと、サボテンの森にいる。
街には行ってない、違う土地にも。案外めんどくさがりやだ。
しっているところにしか行かないはず。
どうしてもの状況にならない限り動かない。
それはどんな状況か?
肉だ、あの森ではトカゲ肉はとれない。
動く前に捕まえないと。


砂漠の入ったところで、見知った気配が動いた。
今回は一人?独断か?
馬もいない。先回りしていたのか?
徒歩で?ああ、この馬車ごと奪う気だったのか?
盗賊だな。

「外れとかげ!!とまれ!!」

駱駝馬があきれるように鼻息を吐いた。

「・・・」
「こそこそ隠れやがって!!嫁をもらう?国をでる?
お前はここで死ぬんだ!!」
「どうして?」
「どうして?そんなこともわからぬとは!
セサミナ様は貴様のことが邪魔で仕方がないんだ!!
だから死ね!!」
「国を出るからもういいだろう?」
「貴様の首を持っていけばお褒めくださる!」
「家に火を放って殺すのを失敗したのに?」
「うるさい!今死ねば同じことだ!」

話すのも疲れる。小物の戯言だ。

「家もないのに嫁なぞ来るか!第一誰もいなかったぞ!
みなにうそまでついて祝儀をせしめたであろう!それも返せ!」
「・・・先回りして嫁を探したのか?」
「そうだ、夫となるものが死ぬ様は見たくないだろうと、
先に送ってやるつもりだったが、まさか嘘だったとは!
成敗してくれる!!」
「・・・・」

槍を鞄からだし、束の方で殴り倒した。
目をむき倒れる。
槍使いの間合いに入って長々としゃべっているからだ。
もし、あいつが家で待っている間にこいつが来たとしたら?
・・・こいつが死ぬな。
無事だったから、いなかったからいいというものでもない。
そのように考えたことを許すわけにはいかない。

「おい、おい、起きろ!!」

頭から血を流しているが、死にはしないだろう。

うなり声をあげながら、何とか目を開ける。

『戻って領主に報告するのだろう?好きなように報告すればいい。
そのあとで、もう一度報告するんだ。
先に砂漠に行きしようとしていたことをな。
できるな?』

「・・・ああ、できる。」

もう一度こめかみを強く殴った。
うまくいくはわからないが、
こんなやつをセサミナのもとに置いておくわけにはいかない。
そのあとの判断はあいつ次第だ。 

駱駝馬を幌馬車から外し、間抜けを乗せた。
「ありがとう、ここまででいいんだ。あとは大丈夫だから。
悪いが、こいつを街まで運んでくれるか?
夜にこんなやつ砂漠に置いておくわけにもいかないからな。
俺のことを殺したと言えば、それでいいし、逃げられたといえば、それもいい。
ただ、やられましたとは素直に言えまいよ。
ははは、おかしいだろうな。さ、もう、月が昇る、行ってくれ。
ゼムによろしくな。」

分かったというように鼻息を出すと、街に向かった帰っていった。
幌馬車ごと鞄にしまい、
もう、焼灰もほとんど風に流されたしまった、家の跡に立つ。


タロスの木とタロスの死んだ証、崩れた井戸。
そうだ、ここの薬草を持っていこう。
布は大量に仕入れた。それにくるめばいい。

タロスの墓石にこれから出ることを報告し、タロスの木に言った。
「タロスの木よ。乾季まで待っていて。
迎えに来るから。それまでタロスに影を作ってやって。」

彼女がするようにきゅっと抱きしめた。
もうすぐ月が昇る、急がないと。







サボテンの森まで一気に飛んだ。
彼女の気配はわからない。
目視?目で見ないと認識できないのか?

タロスの扉は?どこだ?
綿花があったところからタロスの木の気配がある。
森を抜けずに上空から廻った。

逆さ木の幹に扉君が立てかけてあった。
開いてみるが、幹が見えるだけ。
本当に立てかけたあるだけだ。
違う入り口なのか?いや、入り口には扉君を使うはずだ。
廻りを見ても何もない。置いていったのか?
もう、違う場所に?
どうやって探す?見えなければ探せない。5倍の距離を移動して
隣国に行ったか?
ここにいると思ったのに。
薬草を入れた布を抱え込んだまましゃがみこんだ。




---そのように考えたことを許すわけにはいかない

よく言う。自分はどうなんだ?
彼女の力を、彼女をもの扱いしたではないか?
許されると思っているのか?
会えば、許してくれるとどこかで思っていた。
会うことさえできない。



目の前に彼女が現れた。目に映った瞬間認識できる。

「*********」

まだ言葉が分からない。
見え上げた先にいた私に驚いているが、
ここで姿を消されると二度と捕まらない。
薬草をほりだし、彼女に馬乗りになった。

「逃げないで!消えないで!話がしたい!!」

彼女は私を見上げる。

ああ、愛しい人だ。

彼女がなにも言わず、そのまま目を閉じ
動かなくなった。




 


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