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76:ゴム
しおりを挟む「ガムに使ってる樹液はこれではない。
表面に傷をつけて樹液を取る方法は初めて見た。」
「そうなの?ガムってゴムの樹液からできてると思ってたけど、
種類が違うのかな?
じゃ、どうやって樹液を取ってるの?」
「あの大きさより少し小さい粒状で木の表面に出てくる。
それをこそげ落として、薬草の液を絡ませて乾燥させる。雑貨屋が作るんだ。」
「おお、雑貨屋ってなんでも作るのね。甘いガムも作ればいいのに。」
「甘い?」
「そう、樹脂が苦いんじゃないよね?噛んでくと味がなくなるから。
その樹脂玉に飴を絡ませれば、甘いガムになるんじゃないの?」
「その味がなくなったら樹脂を捨てるのか?甘いのが欲しければ
飴を食べればいい。」
「ま、そうだけどね。ほら、耳掃除にいいとか、噛むから顎が鍛えられるとか?」
「?」
「商品なんてくだらない付加価値をつけて売るってのが基本よ?」
「そうか?そういうものか?」
「そうだよ、あの手この手で同じ系統を売るんだよ、たぶん。」
「たぶんか。」
「うん、たぶん。で、この白いのはゴム樹液っぽいだけど、ちがうのかな?」
人間に有益な樹液なはずだが、ゴムとは限らない。
でも、ゴムってこんな感じだったと思う。
?ここからどうゴムになるんだろう?何か加えて乾燥?
はめ込んんだ器の半分くらいはたまっている。
別の器に移し、とりあえず、収納。
黒い実の樹液は、香は実と同じ。
泡立ちはしない。香料として使うのかな?
あ、もらったオイルに付けてみよう。
これも、収納。とりあえず、これ以上はいらないので、
器ははずしておく。
「ありがとうね。」
と、傷つけた幹をひと撫ですると、樹液はとまった。
マティスは夜ではないサボテンの森で、
前回収穫できなかったものを取っていってる。
花の蜜などだ。花が有り、蜜があるということは
当然虫もいる。でかい。
「マティスさんや、この虫はどうにかならんのかね?」
手のひらほどの虫が飛んでいる。
勘弁願いたい。
「害はないぞ?」
「いや、こう、姿かたちもそうだけど、耳元でブーンってのがもう、ダメです。」
「薬草の匂いをいやがるぞ?」
「おお!じゃ、この樹液を水に溶かして、こう撒く?
霧吹き?ポンプ?空気を押して吸って、・・・石先生こんな感じで・・
・・・どうだ!」
小さなスプレーボトルに水を入れ、樹液を溶かす。
いい匂いです。
それを廻りに噴射。
虫はどんどんいなくなっていく。
「すばらしい!!」
「・・・虫よけの薬草は別にある。手に入れるから、その香りを振りまくな。」
「別にあるの?これでも効くからいいよ?」
「・・・私が嫌だ。」
「なんで?」
「これは、その、気に入ってる香りで、2人の匂いで、その、、」
「うーん、わかった。今日だけね?」
「ああ。」
「じゃ、お昼にしようか?
小麦焼きとー、お肉とー、サボテンの葉とー、昨日と朝の残りのお肉ー!!」
うまい、おにぎりほしい。そして緑茶が飲みたい。
茶葉はあるんだ。発酵させずに蒸せばいいのか?
「夜はなにがいい?」
「夜はチーズインハンバーグを作るよ。玉ねぎもあるし、卵も牛乳も。
バターもあればいいけど、牛乳から作ろう。
脂肪分がおおいだろうし、無加工だから、振ればできるはず。
バターってしってる?」
「乳酪か?話に聞くだけだな。乳が手に入ったのはたまたまだ。
ちょうどチーズの仕入れと重なったんで手に入ったらしい。
草原の民がもっていたのを酒と交換したみたいだ。
普段なら移動中に飲んでしまうんだが、そいつは酒が好きで
乳は飲まなかったようだ。
早く飲まないと腐ると言われたが、食品庫にいれたから大丈夫だろう。
その乳酪は作れるものなのか?」
「うん、たぶん。」
「ははは、たぶんが多いな。」
「なんとなく知識はあるのよ。うすーくあさーく。
でも、実際欲しければ売ってるからね。自分で作ることはないよ。」
「そうか、便利なんだな。」
「うん、便利だね。でも、なければないで、
必要なら作ろうとするんじゃないかな?
考える力って大事よ?知識は力なりってね。」
「そうか、そうだな。」
そこから大変だった。
牛乳はもう半分は脂肪分が固まって沈殿している。
そりゃそうだ、草原からこっちに運ぶ間、揺れてるんだから。
そして街から砂漠。
樽を冷やすように砂漠石でコーティングしながら。
ロープで背負い、運動場をランニング。
マティスが。
固形物ができる気配まで、走って走って!
「・・・・できた」
息を切らしてマティスが戻ってきた。
その間わたしはミンチづくり。楽だわ~文明の利器だね。
樽を開けると乳清の中に黄色い塊。バターである。
乳清は煮立たせれば、リコッタチーズができる。
脂肪分はまだ多そうだから牛乳はいらないだろう。ないしね。
レモンの代わりは逆さ木の実で大丈夫かな?
「なんか酸っぱい果実ってある?」
「野菜と果物はあるだけ買ってるぞ。
酸っぱい、逆さ木の実より酸っぱいもので枸櫞がある。」
「おお!クエン酸!黄色い?」
「ああ、これだ。」
ズバリ、レモンでした。ただ大きい。
「こっちは植物がおおきいね。レモンっていうのと同じだけど、
大きさは3倍ぐらいおおきいよ。」
「そうか?おもしろいな。」
ガーゼを作り、レモン汁を作り、大鍋とコンロも一つ。
2人で作業するので台所も拡張。
どこのキッチンスタジアムだ。
ここからも大変。
乳清を温めレモン汁をいれ、弱火でほろほろ固まるまで煮詰める。
交代でだ。2時間ぐらいでやっと塊が出てきた。
これをガーゼで越して、少し置く。
出た水分はマティスにシチューを作ってもらう。
バターは無塩なので、塩加減を注意しながら
玉ねぎをあめ色になるまで炒める。
鉄製のフライパン作りましたよ。重い。
パンを牛乳に浸して入れたかったが、ないので省略。
卵を白身ごと入れる。
チーズはハードタイプなので、薄くスライスしてから
丸めて肉ダネになかにいれ成型。
青物の野菜はないけど、サボテンの千切りで。
なんのかんので19時です。晩御飯です。
いっぺんにバターやらリコッタやらを作ろうとしたのが敗因です。
樹液の検証はまた明日。
ハンバーグを焼き、
パンは街で買ってきたものを、少し温める。
お酒は赤ワインで。
「さ、召し上がれ。」
「ああ、うまそうだ。」
おいしかったです。肉がミンチが均一なので前回より柔らかい。
玉ねぎが効いてます。チーズもうまく溶けている。
ソースもフレッシュトマトで作りました。
「ああ、うまいな。玉ねぎが入ってるのか。あまいな。
ばたあ?乳酪で焼くとコクがでるか?ソースもうまいな。チーズもいいな。」
パンでソースを拭うように食べる。
「フライパンとね、コンロがうまく火加減を調整してくれたみたい。
普通のだったら焦がす自信があるね。
玉ねぎはね、あめ色に炒めたのとシャキシャキが残ってるのと
2種類いれてるの。
でもやっぱりミンサーだよ。ひき肉。雑貨屋のご主人に感謝だね。」
「そうだな、前のはんばあぐの作り方は見ていたので、簡単に教えたんだ。
でも、こちらのほうがうまい。」
「好みもあるよ。あの、ツナギ無しの肉100%がいいっていうひともいるからね。
これ、焼くだけの状態でラップにくるんで作り置きしたから、
機会があれば雑貨屋さんにたべてもらってもいいかもね。」
「・・・街に行くか?」
「そうだね、次の合わさりの月の日までいいんだっけ?ここにいるの?
でも、みんなに送り出してもらってるから、こっそり行ったほうがいいかな?
変装していこう!ね?」
「ああ、女に化けるんだったか?
気配と姿を消すほうが早いぞ?」
「そうか、わたしは顔バレしてないから自由だもんね。
うん、そうしよう。当初の予定通り、街に行ってから離れよう。
行く国も決めて、必要なものも買わないとね。
お金はまた小さい海峡石をあつめて売ろう!!」
デザートにリコッタチーズと半凍りさせたサボテンの実
メイプルシロップを掛けた出した。
この樹液蜜はやっぱり寒い地方のものなのでここら辺にはないとのこと。
がっかり。
このデザートは大当たりで、
また、乳を手に入れようと誓い合った。
食事も終わり、片付けて
2人で仲良くお風呂。
早めに就寝かと思たのだが、2人で運動場にいます。
移動の検証をするそうです。
明日できることは明日するってのが社会人の基本だよ?
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【作者より、感謝を込めて】
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
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