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77:どうしても
しおりを挟む「マティスさんや、やるのかね?」
「ああ。」
「どうしても?」
「ああ。」
「そっ。がんばってください。」
「・・・確実に使えるほうがいいだろ?」
「そうだけど、明日でもいいじゃん!
おいしいご飯、ゆったりお風呂、あとは寝るだけなのに!」
「なんだ、今日も抱いていいのか?」
「ちーがーうー!!」
「付き合ってくれ、私も習得したい。」
「・・・そうですか。うーん、わたしも確実に使いたいけどね。
・・・うん、頑張ろう!おー!!」
「ん?おー!!」
樽を背負い走りながら考えた。
移動はものにしたい。
理屈さえ納得できればできる。空も飛べるんだ、問題ないはず。
「じゃ、物寄せからね。これは、簡単。
ただ、ないものはダメ。犯罪になるのはダメ。
知らないものもダメ。でも、確実にあるってわかってるものは大丈夫。」
「例えば?」
「最初のとき、タロスさんの鞄はわたしは知らなかったけど、
確実にあるってのは認識できた。
世界の宝石類は盗みになるから駄目、じゃ、誰のものでもないものは?
となると、知らないからだめ。それと、これ重要、ほんとにそれいる?って話。
それと、高圧&威圧感を出すのがいいみたい。命令ね。」
「なるほど。」
確実にあるとわかっていて、必要なもの。
『冷蔵庫に冷やしてある木苺2つ、ここに!』
拡げた手のひらに2つ、木苺が現れた。
「すごい!」
「え?それ必要?てかそんなのあったの?」
彼女の口に一つ入れる。
「うぐ、ん、ん、すっぱーいい、あまーい、おいしい!」
最初は酸いがすぐに甘くなる。
「もう一つ」
もう一つ口に入れようとする前に食いついてきた。
「おいしい」
「舌先が真っ赤だぞ。」
「あ、そうなの?」
べっと、舌を見せるので舐めた。甘さだけのこってる。
「な!!」
「ははは、呼び寄せはうまくいった。」
「・・・そうですねー。」
彼女は壁際に行き、休憩用の椅子に座る。
「すくなかったか?」
「ちがうよ!もう!・・・わたしを呼んでみ?」
彼女を呼ぶ?
必要なもの。
『ここに』
どん!
「痛い」
彼女がぶつかるように現れた。
「痛い、けどすごいね。呼ばれる感覚はあるんだね。
ぶつかったのは仕方がない。
どうゆう格好で来るか迄想像しないといけないんじゃないの?」
また彼女が椅子に戻る。
「ほれ、呼んでみ?」
今度は抱きかかえるように腕を曲げてから
『ここに』
とん、彼女が腕の中に。
すごい。
ちゅっと、口づけを落とし彼女がまた戻る。
「もっかい、呼んでみ?」
もっと口づけがほしい。
『ここに』
?来ない。なぜ?
「ふふ、抵抗はできるね。」
『マティス、おいで?』
呼ばれてると思った瞬間彼女の横に座っていた。
「すごいな。」
「うん、すごいね。これ、来るとわかってるから抵抗もできるけど
不意打ちされると移動しちゃうね。危険だわ。ルール、約束事を決めよう。」
「危険?」
「だってそうでしょ?トイレに行ってるときに呼ばれたら、
あたり一面大惨事と、深い心の傷を負うよ?
呼ぶときは、先に呼び掛けて?」
「呼ぶ前に呼ぶ?」
「そう。」
今度は彼女が、離れていく。
黙っている彼女。
どうしたんだ?
(マティス?聞こえる?)
呼んでる。
「聞こえるぞ?」
彼女は口を押えてる。
「?」
(こころの声だね。表層の表層のさらに表層。声にだしてないだけで、しゃべってる感じ。)
(すごい。)
(いまから呼び寄せるよ?抵抗して)
『来て』
いかない。
(今度は来てね。)
『来て』
彼女を抱きしめる。
口づけもする。
あん。
(かわいい声だ。もっと聞きたい。啼いて。)
「マティス、マティス!!心の声が聞こえる、止めて!」
「そうか、聞こえるか。すごいな。」
「心の声は緊急の時だけ!」
「・・・わかった。」
「んじゃ、自分を移動させてみよう。」
彼女は歩かずに椅子に戻る。
「うん、理屈はやっぱり呼び寄せと一緒だね。
ここに来い、が、そこに行けって感じ。
たぶん距離も関係ないな。呼び寄せと同じで、知らないところはダメ、
確信してるところは大丈夫、行ったところも大丈夫。
こんなルールを作らなくてもいいと思うけど
作ったほうが受けいれられるはず。どう?マティス?」
彼女の横に
彼女の横に移動できた。
抱きしめてまた口づけをする。
「できたね。これで、街に行くのは簡単だよ。
わたしはいっしょに行けるのかな?有るのは確信してるけど、
ちょっと知らないところは抵抗があるから無理かも。」
抱きしめたまま、寝床に。
「抱きかかえれば一緒に行ける。」
「なるほど。」
そのまま横になる。
今日はこのまま寝よう。
彼女は元の世界にもどってしまっても、呼び寄せができるか?
私が行くことができるか?
「無理だよ?」
「・・・読んだのか?」
「考えてることはわかるよ。呼び寄せができたとき、向こうのものを呼んだけどこなかった。
さっき、向こうにいこうとしたけど行かなかった。」
「試したのか!!もし行ったきり戻ってこれなかったらどうする!!」
「マティス、マティス。大丈夫。自分の意思で向こうに行けたら
こっちにも帰ってこれる。そう思ってる、そう決めてる。意思は力だよ?」
「・・・試す前に話してくれ。」
「うん、そうする。でも、行けないって分かってたよ。
だって、必要ないもの。」
「そうか、そうだな。ありがとう。」
「ん?ありがとうなの?ふふ、こちらこそ?
んじゃ、今日はもう寝よう。
明日もすることいっぱい。焼き立てパンも食べたいし、ご飯も炊いてみたい。
ゴムづくりと香料と、レースも、あ、爪切らなきゃね、、、
おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ、愛しい人。あすはおいしい匂いで目が覚めるよ。」
「・・・う、、、ん。」
彼女が枕を使わず、また、私の腕をぐりぐりしながら寝てしまった。
彼女は向こうに帰るとは言わずに行くと言い、
こちらに帰るといった。
それだけでうれしい。
彼女の帰る場所はここだ。
私の帰る場所もここになった。
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