92 / 869
92:月無き石
しおりを挟む星があるとはいえ、見上げれば明るいが地表はかなり真っ暗だ。
その中でうっすら光るものがある。
砂漠石はこの日には地表にはでてこないらしい。
月が出てないから?
では海峡石?どうやら違うらしい。
マティスも初めて見ると言っていた。
点々とひかる石を拾いながら、進む。
途中でいくつ拾うか競争になってしまった。
「では5分後にここに集合。石の呼び寄せは禁止ね。」
「わかった。」
拠点となるここに大きめの砂漠石を置き、
時間計測はそれぞれに砂漠石をもち、ひかって知らせてくれる手筈だ。
「では、開始!」
右に左にとわかれ、それぞれに砂漠に飛び出していく。
光ってるところめがけて移動。そこを拠点とすれば、
目視で移動できる。移動、拾って、移動。
手では持ち切れず、収納ポッケに入れていく。
5分。
手元の石が光、振り返れば、遠くで真上に光を放つ箇所がある。
かなりの移動したようだ。
最初の場所に戻るが、マティスはいない。
?
(こっちに来れるか?)
マティスだ。
(なにかあった?手元の光を動かして?)
マティスが移動したほうを見ると光が動く。
そこへ。
マティスがしゃがみこんでいた。
「どうしたの?」
「ここを。」
横にしゃがみ込み、地面をみる。
ここだけなぜかほんのり明るい。
砂をどけると明るさが増した。
「でっかいね。この石の親玉?」
「わからない。大体この石がなにかもわからんからな。」
拾い集めた光石は、丸く平たい。
それをさらに大きくお盆のようにしたものが埋まっていた。
「んー?そもそもこれ石?」
「それもわからんな。どうする?取って帰るか?」
「親分石は置いていこう。またこれるから。」
「そうだな。それで、石はいくつ集まった?」
「ふふふ、マティスさんや、この勝負わたしの勝ちですよ?
11コです。」
ポッケから石をパラパラと外に出した。
光が重なりすごくきれいだ。
「私は34コだ。私の勝ちだな?」
マティスも袋から出した。小さな山になる。
「うそん!そんなに?どうやって?」
「見つけて移動、見つけて移動だろ?」
「わたしもそうしたよ?」
「見つけて、移動して拾い上げるときには次の石を見つけている。
その差だな。」
「あーーーー、なるほど。」
そんなやり取りをしている足元で、集めた石が
輝きを増し始めた。
「お?」
水銀が集まるように1つになっていく。
わたしが集めた分と、マティスが集めた分。
大小のお盆。
その2つを重ねるとまた一回り大きいお盆になった。
「なんだろ?おもしろいね。」
「はじめてみる。」
「これ、こっちの親玉に置いてみてもいい?」
「1つになると思うのか?」
「うん。置くよ。」
なじむように1つになった。
「なんだろうね。ひとつになりたかったんだったらいいけど、
やっと拡散して砂漠拡がっていたんなら、いらんことしたかもしれんね。
聞いてみよっか?」
「これにか?」
「そ。」
『月無き夜に砂漠で光るあなたはなに?
ちいさな子らの旅立ちを邪魔したのだろうか?
そうならば、1つ。
離れ離れになった同士を待っていた?
そうならば、2つ。
輝いて見せて?』
淡く光っていた光は消え、そこから2つ、輝いたあと
また淡い光にもどった。
「よかった、余計なことをしたんじゃなくて。」
「愛しい人はすごいな。」
「ん?ものと話すこと?なんにでも魂がやどってるんだよ?
しかもこんな不思議な石は特にね。話せば応えてくれるよ?」
「そうか。」
「んー、でも、ちょっと持って帰って調べたいな。」
『月無き夜に砂漠で光る石殿、
わたしたちと一緒に旅に出ることはできない?
希望者だけでいいんだけど?』
石が光り、集めた石と同じ大きさのものが45個はじき出された。
今度は一つにはならなかった。
「お?こんなに?いいの?集めた石と同じ数だね。」
「いいのか?」
「ん?持って帰ること?」
「いや、この石が人にお前に悪い影響を与えないか?」
「ははは、心配性だね。そうならば、マティスは最初からこれを集めたり
集めた数を競争しようなんてこと言いださないでしょ?」
「・・・競争しようといったのはお前だ。うん、そうだな、悪い感じはしなかったからな、
月無き夜に砂漠で光る石殿、申し訳ない。」
「ふふふ、マティスも石とお話しできるね。
さ、月無き、長いな。もう、月無き石でいいか、これからそう呼ぶよ。
なにかあったら、この子たちに知らせて?そしたらここに来るから。
こっちも落ち着いたらまた来るよ。」
散歩の成果は月無し石45個と勝負に負けた為、
歌を歌うこととなった。
22
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
異世界からの召喚者《完結》
アーエル
恋愛
中央神殿の敷地にある聖なる森に一筋の光が差し込んだ。
それは【異世界の扉】と呼ばれるもので、この世界の神に選ばれた使者が降臨されるという。
今回、招かれたのは若い女性だった。
☆他社でも公開
R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった……
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる