いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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94:望むまま※

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あの匂いはまずかった。
くさいと感じたもの。あまーい、匂い。

思わず自分の腕で鼻を押さえた。

マティスはかまわずどんどん進む。

少し開けたところに枯れ木があった。
もとは逆さ木なのだろうが、葉も蔓も実もない。
そこから水音が聞こえる。うろの中か?

マティスが強く手を行く。
名を呼んでも立ち止まらない。

前に回って、よいっしょ、背負い投げ。あ、できた。

そのまま上にのり、タオルを口に当ててやる。
マティスはやっと目の焦点があったようで、クエッションマークを量産していた。


あの匂いで何かを誘っているのだろうか?
マティスは早くあの木のもとに行かないといけない気がしたという。

月のない夜に何を誘っているのだろう?
はい、観察ですよ。

小さめのテントを作り、ポットに入れて置いたコーヒーを飲む。
明かりは少し暗くして、上に留めておく。
コーヒータイムである。

マティスは意識なく木のもとに行こうとしていたことが
ショックだったのか、わたしを後ろから抱きしめ、首もとの匂いを嗅いでいる。

「マティスさんや、ちょっと、こしょばい。
そして、コーヒーがのめん。」

「もう少しこのままで。」
「はいはい。」

しかたなく、ずずずと啜りながら飲んだ。
飲みおわってもそのままで、手つきがいやらしい。
うーん、あの下着を着て来るんじゃなかった。


「あの、マティスさんや、そろそろ休憩はおしまいにして、
偵察しにに行こうか?」
「まだ、水音は聞こえている。小さくもなってないし、大きくもなってない。
同じ間隔だ。それ以外は聞こえない。」
「え?そうなの?耳いいね。じゃなくてさ、んっ」

胸を掴み、服を脱がし始めた。

「下着?」
前に回ってしげしげと見ない!

「ほら、ゼムさんの奥さんにもらったでしょ?それで、作ったの。
 今日は、ほれ、特別だからね、ちょっとおしゃれというか、気合をいれたというか、
・・・見たい?」
「見たい。」
「ほんとは、もっとムディーになってから見せたかったんだけど、みた」
「見たい。」

かぶせ気味で答えるので仕方がない。

「脱いで見せて?」
「・・・うん。」

マティスの腕から抜け出し、立ち上がった。
ゆったりめの服はすぐに脱げる。ゴム入りだもの。
いつもはへそまでのゆったりおパンツ。
色気のいのじもない。おなかには優しいが。

白いレースとゴム糸を合わせた、ベビードールとタンガ。
タンガはスリット入り。

マティスは明かりを手に取ったので、
どんな顔で見ているかが分からない。

「胸当てじゃないんだな。」
乳首が隠れるくらいの小さなレース。
ゴムで引っ掛けてるだけ。
そこからレースが広がる。
もらった布はもっとしっかりしていたが、
デザインそのままで、オーガンジーのように変形してもらった。
スケスケだ。

「膝たちになって?
乳首、自分でつまんでみて。」

言われるままに。自分で強くつまむ。
マティスは指示を出すだけ。


「後ろ向いて?」

言霊に近い音色だ。言われるまま、望むまま。

「尻だけこちらに」

突き出すように向けた。
後ろはほぼひもだ。


そのひもをマティスがなぞる。
下から。自分でも濡れているのが分かる。

なんで、こんな布面積の少ないものにしたんだろう?

スリットから濡れた陰毛も見えているはずだ。

明かりを横に置きマティスがそこの匂いを嗅ぎながら
舐めている。

「きれいだ。とても似合ってる。
 契を交わした女性に布をあげる風習があったのを思い出したよ。
女同士でやるようだ。寝床でよりきれいになるようにとね。
私の愛しい人はなにも纏っていなくても美しいが、
今日のこれは一段といやらしく美しい。」

そこからは脱がずに、マティスも脱がずに。

望むまま。


2人とも偵察のことも忘れて、寝てしまった。


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