いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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96:甘露

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恐らく、綿毛で吸収して持ち運ぶだけでなく、あの匂いも取ってしまうのだ。
綿毛たちはこの時期に開花する。そして、うろに入れられて
もって帰られるのだ。
その時は来年も咲くようにある程度残していくのだろう。
虫媒花としてあいつらを利用しているなら、鞄には入ってこなかったはずだ。
わたしが、鞄に誘った時に一部が残ったのはこのためだったんだ。
全部が全部こっちに来ていたら、馬鹿っぽい小型妖精も異常だとおもい、
王都から応援を呼ぶかもしれない。
綿花畑と呼んでいたところにはもう、一つも綿毛が残っていなかった。
種がないから来年は咲かない。


「大丈夫。種はとってある。ここではないどこかでちゃんと植えるよ。
ここにも植えてあげたいけど、なんだか、あいつらは嫌な気配がするから、
ここには植えない。ごめんね。」

茎だけになった綿花は一斉に揺れるとそのまま枯れていった。

家に入り元マティスの部屋、現綿部屋に入る。

「どうするんだ?」
「同じことをするのよ?綿を入れて、あのうろの中の水分を吸い取る。
樹液酒っていってたよ?いったいどんな味がするやら、楽しみだね。」
「この綿を全部入れるのか?」
「そうだね。とりあえず、全部持っていこうか。
種はお布団を作った時にちゃんと別に取ってある。
綿だけではきっとダメなんだろか?種と綿毛があるから匂いが取れるのかな?」
「種入りと綿だけで試してみよう。
結構短時間で匂いが取れたといっていたからな。」
「おお、さすが。んじゃ、まずはこのタオルに黒い実の匂いを付けて
鼻と口を塞いでね。」
「・・・」
「なに?」
「おまえの匂いがいい。」
「・・・うわー、変態がここにいるよ。え?本気で言ってるの?えー。」

仕方がなく、ベビードールを脱ぎそれを渡した。
下はさすがに却下だ。

「・・・いいな。」
「わかったから、一気にうろの前まで行くよ?」
「イエスマム!!」


木の前まで行くと、タオルを巻いていても
うっすら匂ってくる。
上からうろを覗くとかなり水が溜まっていた。
少し減ったからだろうか、縁からしずくが落ちてきている。

「これ、このまま舐めてみてもいい?」
「そのままでいいなら、あいつらは面倒なことをせず、
そのまま持って帰るだろ?」
「そうか。じゃ、種入りと無しで吸い上げてみるね。」

また小さな膜をはり匂いを遮断し、
綿にすいついてみた。マティスが。

「種なしは・・・なにも味はしない、匂いは青臭いな。」
「そうか、あの甘ったるい匂いは小型たちを呼び寄せる為か。
呼び寄せて、なんの利があの木のあるんだろう?」
「利?」
「そう、共存関係があると思うんだけどね。
綿花と小型は弱肉強食だ。一方的だよね。
でもあの逆さ木はわざわざに匂いと樹液をだして小型を呼び寄せてるでしょ?
ただでやってるわけはない。なんだろ?
・・・あ!種入りに種は残ってる?」
「こっちが種入りだが、ないな。落としたか。」
「ちがうよ、きっと。種をもらう代わりに樹液を酒に変えて吸わせてるんだ。
 吸ってみ?」
「あ、ああ。」

マティスはじゅっと綿を吸う。
「これは、、、すごい。」
「え?ひさびさのすごい発言。おいしいの?」
「飲んでみろ。」
「うん。・・・うわー甘露だね。」
「かんろ?」
「うん、甘くておいしい。これは、苦労してでも欲しくなるね。あれ?依存性がある?」
「それはなさそうだ。害になるものは大体わかる。」
「あ、そうだね。
 あの木は綿花の種から栄養を取ってるんだね。
その作業を小型がしてると。その報酬がこの甘露。
もって帰らないと怒られるってゆってたね?誰に?」
「大型のことだろう。小型は大型の奴隷だ。」
「おお、、、なんだか関係が複雑そうだね。ま、どうでもいいや!
甘露回収作戦!いくよ!!」
「イエスマム!!」


うろの中に綿を入るだけ入れ、そのまま浮かせ、とりあえず収納した。
すべての樹液を吸ったのか、うろの中にたくさんの種が積もっていた。

「ことしは大丈夫だけど、来年は種がないから
この木枯れちゃうね。うーん、やっぱり少し植えていこうか?」

そう考えているうちに、木が音を立てて倒れていった。

「もうこの木は寿命だったんだろう。」
「そうなの?うーん、なんだか悪いことしたような気がするね。
どちらにしろ、来年は綿花はなかったしね。あ、種は回収しよう。
この木も。」
「どうするんだ?」
「種はわたしのおいしいものセンサーにひっかかってるの。これ、たぶん食べれるよ。
で、この木は木目がきれいそう。新築の家の材料だよ。」
「種をたべるのか?」
「うん、酒との交換で一瞬でもお酒に触れているはずだからね。
おいしくなってるんじゃないかと。」

種の回りに絡まっている綿毛事口に入れた。
がりりと噛む。
あ、おいしい。綿毛と皮は口に残る。
行儀が悪いが、ペッと吐き出した。

「剥いたほうがいいね。食べてみ?」
「・・・ああ、うまいな。」

「よし!撤収だ。いったん引き上げて、収穫物の整理だ!」
「イエスマム!!」
「そしてさっそくこの酒とうまい飯を食うぞ!」
「おお!!」


気分をもっと上げるために歩いて帰ることにしました。
道中、ありとあらゆるものを収穫していくことも忘れずに。









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