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99:飛ぶ
しおりを挟むまずは、薬草たちで実験。
テント状の膜の中に棚を作り、そのなかに植物をいれる。
なんとなく、緑の海峡石も一緒にいれた。
光の黄色と水の青。で、緑。植物には必要そうだから。
お願いね、と一応頼んでおいた。
それらごと閉じて、また膜で覆う。膜と膜の間は10cm以下、これポイント。
この層が現実空間とつながっている、とする。
2重の膜で覆った植物を鞄にいれた。
少し時間を置いて取り出し、水をやって元気になれば生きている。はず。
それが終われば、ゴム、鉛筆、消しゴム、ステンドグラス風に組んだキャンドルグラス。
ラスクはマティスが作っている。
やはり、弟君を通じて渡してもらうほうがいいかな?実際会ってみたいしね。
うん、いい匂いがしてる。甘い匂い。
「すこし休憩しよう。」
「はーいい。」
「らすくな、樹脂蜜を塗ってみたんだ。どうだ?」
「うわー!!いい匂い!・・・うーまーい!!」
「そうか、よかった。」
「え?これもお土産にするの?」
「いや、とりあえず作ったものだから、数はここにあるだけだ。作るか?」
「・・・いや、ダメ。これはダメ。」
「?」
「わたしだけのものだ!!」
「そんなに気にいってくれたのならよかった。
土産は乳酪を使ったものだけにしよう。
それで、この種も食べてみるか?」
「あ、忘れてたよ。うん、食べよう。
冷やしたのと冷やしてないの半分こっこね。」
「・・・こっこ。」
「え?いわない?半分この半分こっこ。」
「かわいいな。」
「いや、そんなことはいいから。えーと、どうしようか。とりあえず。」
『お皿になって』
丸くなっている砂漠石をお皿に変える。
丸い球体はそのまま。
酒と炭酸は完全に吸い上げたようだ。ぷるぷるしてる。
恐る恐る半分に切る。
やわらかい。甘い匂いもする。
「食べられるよね?」
2人でスプーンですくい口に入れた。
「・・・・」
「・・・・」
2人で顔を見合わせ、
残りも一気に食べる。
「「ふはーーー」」
びっくりした。
うまいのだ。洋酒の利いたチーズケーキのようなプリンのようなかるかん?
違う、説明はできない。
「・・・これはすごいな。」
「うん、すごいね。
・・・あのさ、これね、2人で食べてるから違うんだけど、
一人で食べてたら絶対にマティスに食べさせなきゃダメだめだって思うくらいおいしかった。」
「同じことを思ったんだな。2人でいっしょに食べることができてよかった。」
「うん、冷えたものも食べる?」
「そうだな、あの味が冷えるどうなるか。
先にコーヒーを入れよう。」
「うん。あ、レモンまだある?」
「れもん?枸櫞か?あるぞ。どうするんだ?」
「うん、ちょっとまってね、あ、コーヒー淹れてて。」
「わかった。」
冷えたものにはレモンの皮を少し添えたほうが、さらにおいしい気がする。
冷蔵庫から冷えたものを出す。
これは薄く膜がゼリーのように覆っていた。
球体のほうを上に置き、レモンの皮を飾る。
「飾りだからね、食べてもいいし、避けてもいいよ。
さきにコーヒーもらっていい?それからたべよう。」
「これはきれいだな。」
「ふふ。リコッタチーズを添えてもいいかも。」
「ああ、乳だ。卵も。必ず手に入れよう。」
「さ、食べよう。」
2度目の衝撃だった。お酒を食べる感じ。
「・・・この透明な膜と実と枸櫞を一緒にたべるとさらにうまい。」
「え?・・・あ、すごい。びっくりだね。」
「これは毎日食べたいって奴か?」
「んーーー、それ系ではないな。毎日ならさっきのラスクがいいし、
マティスの作った料理がいい。あ、しっぽ食べたい。今度作って。
これは、なんだろね。たまに、特別な時だけ?そんな感じかな?
でも、いつでも食べられるように、何個か作っておくね。常温と冷やしたものと。
冷えてから収納すればいつでも食べられるはず。」
「ははは、そうだな。
しっぽ煮は草原に向かう前に作ろう。」
「うん。お願い。結構おなか一杯になったね。
わたしのほうは作るものは作ったよ。蔓で作った籠に入れといた。
籠は何個か作ったからラスクも入れて。
ポッケから出したらまずいからね。
あ、薬草出してみるね。よいっしょ。」
ちいさなビニールハウスの状態で取り出す。
2重の膜を除くと、生き生きとした薬草たちがいた。
「なんか、最初より元気になってるね。緑の海峡石のおかげかな?」
「石を入れていたのか?」
「うん。どう?なんか大丈夫そう?」
「・・・これはいいな。一番いい状態になってる。ほら、葉脈がすけているだろ?
この状態が一番香がいいんだ。ちょっと摘んで乾燥させておこう。」
プチプチと収穫し始めた。
緑の海峡石は植物成長促進?もうちょっと研究しないとね。
ほとんど摘み取った茎だけの状態のものをまた同じようにしてポッケにいれた。
これで、また葉が成長していたら、間違いはない。
「じゃ、どうしようか?結構早く準備は済んだね。」
「風呂に入ろう。街にいたら入れんからな。」
「・・・そうですか。」
分かったことがいろいろ。
マティスは乳首をいじられるのが結構好きだ。
女性でもお尻の穴は気持ちいい。でも、そこに行きつくまでが大変。
マティスも言わないが好きなようだ。
マティスの左腕は右腕とほぼ同じ太さになった。
わたしもすこし筋肉がついてようにおもう、たぶん。
2人とも髪が少し伸びた。とりあえず伸ばすことにする。
風呂から上がり、一応お湯は排水していく。
このままここに置いて行き、亜空間扉でつなげることもできるが、
なんとなくだが、持っていくことにする。つながらなかったら一大事だしね。
砂漠の民の服を着こむ。タロスさんの服だ。
マティスとお揃いっぽい。ちょっと照れる。
準備を済ませ、外に出る。まだ月が昇る時間ではない。
黒い実の木とゴムの木、実をつけた逆さ木、若いサボテン。
それぞれを土ごと2重膜で覆い、緑の海峡石も1つずついれた。
綿も枯れなければ持って行けたのに。
土だけ持っていこう。膜で覆い、種も植えて収納した。
海峡石と砂漠石も来てもらった。
貧乏性なので持っていけるものはほぼ全部収納した。
大きな背負子に手土産を詰める。ハンバーグ以外。
それをまた収納。街に行ってから背負えばいい。
扉君の前で準備をしていたら、第一探索隊のメンバーがどこからともなく現れた。
「これから出発するよ?他のメンバーはこうして腰に下げてるから合図をくれたらわかるよ?
あ、あいさつがしたいのか。」
地面に残りの石を置いた。
なにやらうおんうおん光り合ってる。
「話をしてるのか?」
「んー、そんな感じはするよ?」
そんな話をしていると、扉君が呼んでいるような気がした。
「ん?扉君?もちろんいっしょだよ?」
「どうした?」
「扉君が、ん?急いだほうがいいの?かな?タロスの木になにかあった?
マティス行こう、なんかあったみたい。」
『がばちょ』
なにもかも鞄にいれ、マティスに抱き付く。
「マティスのほうが場所をはっきり指定できるでしょ?」
「わかった、気配は消して、飛ぶ。タロスの木の上に行く。」
「アイアイアサー」
サボテンの森を後にした。
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