いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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104:お宅拝見

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マティスの実家、セサミンの家は、館と呼ぶにふさわしい大きさだった。
お城ではなく要塞っぽいもので、高い石塀に囲まれ、門扉は堅牢さを前面に押し出している。
2人の見張りはいるらしいが、いきなり中庭に出られると意味はない。

中庭は品よく緑がまとめられ、趣味の良さが伺えた。

「わたし庭師になりたかったんだよね~」
「にわし?ガーデナーか?」
「そう、それ。緑をみてると和むよね。家を建てるときは大きな庭を作ろうね。
そこで、バーベキューをしよう。」
「ああ、いいな。」
勝手知ったるなんとかのように、サクサクと裏手に回る。
実家だもんね、そりゃ知ってるよね。
「この木の裏はあまり人がこない。
子供時代のさぼりの場所だ。ここで、扉君を出せばいい。」
「そう?では。」

『何物にも影響しない、深い深いところで、 がばちょ。』
『扉君はここで。誰にも見つからないで。家とつなげて。』

「今回は砂漠と違うから、ちょっと深めに家を広げたよ。
 扉君のこの枠で外と家とつなげてるからね。
んー、そうすると、どこか安全なところで家を展開して
扉君だけ持ち歩けばいいのかな?」
「しかし、今回の変動規模が起こればどうにもできないぞ?」
「そうだよねー。かさばるものでもないし、やはり持ち歩くのが一番か。」
「セサミナは、セサミンは戻ってるようだな。」
「気配で分かるの?それって向こうには気付かないの?」
「さきに気付いたもの勝ちだな。さっきはセサミンが先に気付いた。
私からの読みを流したんだろう。お前はそれをはじいたから気付かれたんだろうな。
はじいた相手を私だおもったのか、中に私を入れるために外にでたんだろう。」
相手の気配を捉えたら、自分に向かてくるものを流せばいい。」
「んー、意識すると難しいね。んじゃ、弟君の働きっぷりを見に行こうか?
お姉ちゃんは心配なのですよ?」
「そうなのか?その割にはうれしそうだぞ?」
「いや、ほれ、お宅拝見みたいな?お貴族様の内装って興味あるじゃん?」
「そうか?では、案内しよう。さほど変わっていないはずだ。」
「おお!いいね!お願いします。」


案内してもらった部屋に肖像画が飾ってあるところがあったが、
良き領主は長生きでまずい領主はすぐに次の代へと変わっている。
良き領主の時代はいろいろ開拓やら産業に貢献したとかがあって、
それでも根本は砂漠石を頼っている。
800年前の変動の時はひどいもので、それでも、草原の開拓、
砂漠の民の受け入れ、石のない時代に王都の支配に耐えながら頑張っていたようだ。

「そうか、前回の変動の時に砂漠の民はこちらに来たのか。
そいうえばそういう風に聞いたな。でも変動のことは隠されていたのか知らなかった。」
「うーん、そうだろうね。寿命が平均170でしょ?4・5代前の時代の
こんな大掛かりな出来事を知らないってことはないもの。
いや、王都の連中は賢いね。歴史を押さえるってのは国を治める一つの要だからね。」
「?」
「うまくね、歴史を自分の都合のいいように真実を混ぜて操作するのよ。
たぶんね、今回のことは、砂漠石が枯渇したが、王都に蓄えはある。
今後のことを考えていままでと同じ値段で放出できない。
すこし割高になるがこらえてほしい。とかなんとかね?
辺境の600年と王都の600年は感じ方が真逆なんだよ、きっと。
その歴史は領主の力の一つとして受け継がれてるんだろうね。
セサミンは頑張り屋だね。ねーちゃんは応援しちゃうぞ?」
「・・・もしだ、私が領主になっていたとして、お前とも今のように夫婦だとして
 この事態になっていたら、お前はどうする?」
「ははは、もしものはなし?そんなの簡単だよ?
王都に乗り込んで何もかもつぶすだけだよ?
夫の憂いを即晴らすのが妻の務めだからね?」
「それをセサミナのためにしないのか?」
「それを望んでないし、望まれてもしないな。彼の憂いを払うのはわたしじゃない。
彼は着実に進みたいんだよ。そうなると、マティスは領主に向いてないね。
たぶんわたし優先になってるから。」
「ははは、それはそうだ。ああ、よかった。セサミンがいてくれて。
よし、にーちゃんも応援しないとな?」
「はははは、そうだね。」




執務室なんだろうか?
セサミンが難しい顔をしている。笑うとかわいいのに。

「読み上げます。
今回の変動時期の天文院の読み違えは、中央院としても
遺憾に思うところである。
砂漠石の在庫は十二分とは言えないが
そちらの要求に沿うこともできよう。

とのことです。」

「は!!ばかばかしい!要求したらどれだけのものを求められるのやら。
2倍3倍で済めば御の字か?
返事をだせ、

御心使い痛み入ります。
この混乱の中、なんとか道を探したく、次回会合は欠席させていただきたい。

以上だ。」
「かしこまりました。」
「下がれ」
「はっ」

「ルグ?どう思う?」
「やられましたね。わざと2年の期間を読み間違えたんだと思います。
セサミナ様の最近の活躍ぶりでは石の回収も順調、王都にすがることはないと判断したのでは?」
「ドーガー?報告は?」
「は、そのまま報告しております。その、申し訳ありません!」
「ん?いや、そう指示していたんだ、謝ることはない。2年分の石か。
どちらにしろ、20年のストックしかないんだ、それ以降はない。同じ話だ。
兄上にすがるしかないな。」
「セサミナ様?お言葉ですが、その話信用できません。画期的な産業製品?眉唾な!」
「ん?そうか?ルグは?」
「私もです。それにあのまがまがしさは異様です。
 殺気なく人を殺めることができる時点で人ではない。」
「ははは、なら、ドーガーとルグはあの時点で死んでいたな。」
「それは・・・」

(おお、人ではない認定を受けてしまったよ?)
(あってるな。愛しい人は私の女神なので人ではないな。)
(・・・そうですか。ルグとドーガーは王都のものだけどこっち側なんだね。苦労してるねー。)
(20年分の石、いつから集めていたのか?)
(そりゃわかっていたら集めとくよね。20年分ってどれくらい。あの石で国家予算1年分って言ってたから
あれが20コ?)
(いや、あの塊だから1年だ。小さくなると、その分価値も下がるから、石の量とすればものすごい量になるぞ?)
(くっつければいいじゃないの?)
(それができるのはお前だけだ。)
(そうなの?マティスはダメ?)
(抉り取ることはできても元に戻すことはできなかった。)
(そうなの?なんでだろうね?粘土っぽく考えればできるんじゃない?)
(粘土?あの柔らかい土か?)
(そう、砂漠石は思うように形を変えてくれるでしょ?それがくっついて大きくなるだけ。)
(そう考えるのか?)
(やってみようか?みてて)

小袋から小さな石を2つだし、
手のひらで握りしめ1つにし、また握りしめ、
今度は3つの球体にした。

手品師になれるかもしれん。

(ん、やってみ?)
(・・・・お?・・・お?・・・できた)
(やん、マティスかわいい!)

満面の笑みで笑う。素晴らしい。
思わず、髪をわしゃわしゃしてしまった。

(石そのものの量は変わらないんだな。)
(うん。それは絶対だよ?薄くなったりできるけど、ものの質量は変わらない。)
(これが皆出来るようになれば石の価値が変わってくる。)
(そう?金とかと同じじゃないの?重さでいくらみたいな。)
(そうなるのか。あの金山の話はよかったな。有名な話なのか?)
(有名というかよくあるたとえ話だよ?商売の方向性を間違った時にね。
さ、我らがセサミンのために、晩御飯作らないとね。)
(そうだな。家に帰ろう。)
(うん。)





そこからが大変だった。
卵も牛乳もあるから張り切った。
あれもこれも作って、できた傍から収納していったから
冷めることはないが、気づけばもうじき月が沈む。
「大変だよ!晩御飯食べずにずっとまってるよ!!それこそかわいそうだ!」
「しまったな。とにかく呼びに行こう。」

2人で執務室に行くに移動すると
セサミンとルグ&ドーガーは身じろぎもせず、何もない空間を睨みつけていた。

「セサミナ様、もう、月が沈みます。休みましょう。
あなたは騙されたんですよ。ほら、ドーガー起きろ!今日は休みだと各部に連絡してこい。」
「ふわ、わかりました。」
「必ず来るといったんだ。もう少し待ってるよ。」
「そうは言っても食事もとらずに待っているんですよ?礼儀知らずにもほどがある!!」
「お前たちは休んでいいよ?」
「いえ、セサミナ様が休まれないのでしたらここで。ドーガー、行ってきたか?」
「はい。昨日の今日なので各部から上がる書類関係も今日はないようです。
逆に休んでもらえるほうが助かったと言ってます。」
「ははは、ずっと皆には無理をさせているからな。そうだな、今日は休もう。
たまにはいいだろう。」
「では、部屋にお戻りください。」
「いや、ここで、待ってるよ。」
「どうして!!」

(うわー、どうする?)
(これはこちらが悪い)

「セサミナ?悪い、待たせたな」
「兄さん!姉さんも!来てくれたんですね!」

姿を現すとセサミナが飛びついてきた。

かわいい!
キュンキュンしてると当然、ルグ&ドーガーは襲い掛かって来た。
え?遅い?
脚を払い崩れた胴体めがけ肘ごと体重をかけ、それを起点にその横を抜ける
ルグに回し蹴りをくらわした。

「お、体力付いたんじゃない?」
「そうだな、いまの呼吸であと30分うごければ一人前だ。」
「30分か、、、まだ無理だな。」
「ね、姉さん?」
「ん?なに?かわいい弟よ?ごめんね、遅くなって。
うちに招待するよ?仕事休めるんならちょうどいいね。ゆっくりしていってね?」
「しかし、この2人はちょっと問題だな?護衛が務まるのか?」
「え?あ、いえ、2人とも食事もとらずにわたしに付き合ってたので。」
「え?そうなの?それは悪いことしたね。んー?この2人って信頼できるの?
信用ではなく信頼の方よ?」
「はい、2人は王都からの派遣だったんですが、わたしを信頼してくれています。
それはわかるのです。流す情報も操作してくれています。
ただ、やはり王都の者、命のやり取りまではできないでしょう。」
「そうか、しかし、一晩寝ずと一食に抜いただけで彼女にやられるのは
やはり問題だぞ?」
「その服、姉さんは高原の民だったんですね。」

赤い服は脱ぎ、最近普段着にしている高原の民風のジャージを着ていたので
さらに勘違いしたようだ。口もとはまだ隠している。

「ん?ああ、そうなるのね。ま、それはおいおい。
2人のことはちょっとあとで遊んでみよう。」
「遊ぶのですか?」
「うん、 マティス?2人は家には招待できないけど、食事はふるまいたいな。」
「そうだな。セサミナ、部屋は用意してくれたのか?」
「はい、隣の部屋です。石を使ってますので、音も気配も外には漏れません。」
「そうか。では、2人も食事に誘ってやってくれ。隣で準備しておくから。
すぐに気付くだろう。それから隣においで?」
「はい、兄さん。」

隣の部屋に入り、大きなテーブルを作り、布をかぶせ、
鞄からあらゆる料理を出した。
余っても収納すれば腐らないから、調子にのって作りすぎた感はある。
マヨネーズも頑張ってプリンも作った。
何というか、食べ放題のバイキング料理のようだ。

ちょうど並び終えたときにノックが聞こえる。
2人が気付いたのだろう、マティスが声を掛けると、
セサミン先頭に入ってきた。
こういうときは護衛が先に入るもんじゃないのか?

「もういいんですか?」
「ああ、並べただけだからな。待たせてすまなかった。」
「先に2人から謝罪を。ほら」
「・・・申し訳ありませんでした。」

うわ、すごく心の籠ってない謝罪。
ここまで来ると逆にすがすがしい。

「急に現れれば、護衛としての働きだ、謝ることはないがな。
その話は後でしよう。
まずは食事だ。これらは砂漠の民の料理と
妻の故郷の家庭料理だ。すきなように食べてくれ。」

護衛2人組はわたしを睨みつけている。
が、ルグはきょろきょろしている。赤い塊を探しているのか?
目の前にいるのにね。

ドーガーはこの中で一番若いのか、料理にくぎ付けだ。

「さ、食べて?セサミンが食べないと2人も食べれないよ?」
「せさみん?わたし、僕のことですか?」
「うん、かわいいでしょ?あ、これは熱いうちにたべて、お好み焼き。
マヨネーズ掛けるとおいしいよ?王都のソースって名前だったかな?」
「王都のソース!!」
「で、これがハンバーグ。こっちがチーズ入りで、こっちは無しの方ね。
パン粉を牛乳に浸していれてるから、さっき食べたのよりおいしいと思うよ?
後は焼肉にしっぽ煮、ローストビーフもどきと、キーマカレーもどき。
このご飯にこれを掛けて。香辛料が苦手なひとは無理しないで。
卵の黄身を落としたら辛さは和らぐかな?
あと、モグラもどきの肉詰め、
さらご飯もあるから、パンの代わりにどうぞ。
ポテトサラダも。
野菜が少ないから、こっちに切ってあるの、マヨネーズ付けて食べてね?」

そこからは瞬く間に料理がなくなっていった。
お酒はビールを出した。これも好評だった。
私たち2人は味見しまくりだったので、消えていく料理を眺めていただけだ。
肉率が高いし、これはほんと家庭料理だな。男の子の多い家の。

あらかたなくなったので、甘いものは入るかと聞くと
3人とも頷いた。
脂肪分の高い牛乳と卵黄でアイスクリームを作り、樹脂蜜を掛ける。
横にプリンも添えて、木苺と生クリームをトッピング。
少し濃いめにいれたコーヒーと一緒に。

満足そうなため息が漏れている。よかった、お口にあったみたい。
「セサミン?どうだった?口にあったか?」
「兄さんまでそう呼ぶのですか?いいですけど、そんなことより!!
すごいです!これは!姉さんは料理人なのですか?」
「はははは、そんなの言われたの生まれて初めてだよ?
ほとんどマティスが作ったんだよ?私は料理はできないのよ?
ご飯炊いたくらいだよ?」
「え?兄さんが料理を?それもすごい!はんばあぐは、街で食べたのより、先ほど頂いたものより
今回のが数段おいしかったです。王都のソースをかけたおこのみやきも!」
「そ?それはよかった。お二人さんは?」
「・・・その白い米にきいまかれをかけたものと、はんばあぐと酒がうまかった。」
と、ルグ。
「私は全部うまかったです!最後に食べた冷たいものが一番です!!もっと食べたいです!!」
ドーガーが甘党のようだ。
「甘いものが好きなんだね?わかるよ、甘いものは別腹だからね。いくらでも入るよね?」
「そうです!あー、おいしかった。母さんにも食べさせてやりたい。」
「母さんか、一緒に住んでるの?」
「はい、母も館で働いています。」
「へー、住み込みなんだ。」
そんな話をしていると、ルグがドーガーを制する。
「余計なことはしゃべるな。」
「・・・はい」
「そうだね、そういうところから情報はもれるんだよ?
さっき、主を先に部屋に入れたね?この料理も毒見もせずに?
わたしたち2人は何も食べたいないのは気付いた?」
沈黙が起きる。

『甘いぞ2人とも!本心から主を守る気があるのか!!』

軽く圧もかけてみる。

「貴様!!」
ルグはいち早くセサミンを背にかばい、ドーガーが飛び出す。

やはり動きが遅い。2人とも槍使いだが、マティスに比べれば子供の遊戯だ。
余裕で躱せる。ドーガーを躱し、ルグの横からセサミナに蹴りを入れる。
が、ルグが身を投げ出しもろに受ける。ドーガーが今度はセサミナの前に出る。
ふーん、一応守ってるのね。でも、あ、ダメ。

「マティス!!」
躱した槍先を踏み台に後ろ逃げた。
マティスが前に出る。
そこから一瞬、ドーガーとなんとか立ち上がったルグはマティスの足元に転がされた。
そしてわたしは息が上がっている。

「えー?この長さでこれ?ダメじゃん。はー、、」
「いや、よかったよ?倒れなかったし。引き際もよかった。」
「え?ほんと?うれしいな」
「姉さん、素晴らしかったです。まるで舞を見ているようでした。」
セサミンはうっとりと拍手までしてくれた。
ちょっとうれしい。

マティスの足元で2人はキョトンとしている。
そりゃそうだ、命懸けで守るつもりの主が、相手とキャッキャウフフしてるんだから。
「・・・セサミナ様、これは?」
「2人に稽古をつけてくれたのだ。赤い塊殿が兄上の奥方だ。
歴とした女性で、あの声は声色を使っているだけだ。
高原の民は戦闘力が高いと聞いていたがここまで差があるとはな。
だが、身を挺してくれたことは感謝する。が、それをしなくていいように精進してくれ。
部屋に入るときも、毒見もな。いや、毒見はわたしがさきにがっついたからだな。すまない。」
「お前も謝れ、やりすぎだ。」
「うん、そうだね。ごめんね。これからも弟の事守ってね。
きっとね、これから王都の嫌がらせがひどくなると思うから、頑張ってね。」
「さ、わたしはまだ、兄上達と話がある。2人はこのまま休んでくれ。」
「いえ、それこそ、おそばにいます。」
「ははは、護衛は兄上がいるから大丈夫だ。」
「あ、お土産にプリンとアイスがあるから、母様にあげて?日持ちはしないから
帰ったらすぐに食べてね。」
「え?あれがまだ食べれるんですか?」
「うん、ないしょで食べてね?ドーガーは何人家族?」
「母と妹と自分も入れて3人です。」
「ルグは?」
「その、私は・・・」
「ああ、情報とか気にしてるの?ここは信用して?セサミンに聞いてもいいんだから?」
「私は妻と子供が一人です。」
「じゃ、3つずつ包むね。子供はきっとおいしいもの食べたーって内緒にできないと思うけど、
日頃のご褒美に領主様から特別にもらったっていえばいいから。
といっても、作り方は簡単だよ?卵と砂糖と乳があればいい。」
「そうなんですか?」
セサミンが食いついてきた。
「うん、ああ、それも教えれる範囲で教えてあげるよ。いっしょに作ればすぐに覚えられる。」
「すばらしい!!」
「セサミナ様、どうかどうか、覚えてきてください。」
「ああ、わかった。任せておけ。」

なんか、こっちが第一使命のようになってる。
3人で固く手を握りあってる。
甘いものは強いねー。

籠に氷を布で巻いたものを置き、プリンとアイス3つずついれた。
カップは石でつくるわけにはいかないから、急遽作った木のカップだ。

「はいこれね。氷は有るけど、解けるから。早く食べてね。」
「氷まで!」
「あの、姉さん、わたしも、その妻が2人と子が2人いるんです。その・・・」
「ああ、セサミンは自分で作った奴をお土産にしたら?よろこぶよ?」
「それは、素晴らしい!ぜひ!では行ってくる。留守中頼んだ。」
「わかりました、お気をつけて。」

2人が出ていく。きっと気配を消して出ていくと思っているんだろう。
この部屋の窓から見える木の裏なんだけどね。
念のため、ルグとドーガーのポッケに月無し石偵察隊員を入れおいた。
何かあったら知らせてくれるようにお願いした。


「いいか?今から行くが、目をつむっててくれるか?」
「え?気配を消していくのではないのですか?」
「ああ、ちょっと特殊でな。ほら、大丈夫だから。」

やっぱりマティスの大丈夫は詐欺師の常套句に聞こえる。





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