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125:水桶
しおりを挟む森を拭けると草原?というより何もない土地にでた。
道がただ西に続いてるだけ。
テントを出し、とりあえず荷物を下す。
「マティスー?ティスー?あなたー?どれがいい?」
「どれでもいい。だが、あなたと呼ばれたのはうれしかった。お前は?
モウと呼ばれるのは嫌ではないのか?」
「ん?わたしもマティスに呼ばれるのは何でもいいよ?
でも、自己紹介の時名前があったほうがいいかな?これからモウで行こうか?
ただもうともうしますは、あははははは!!」
「それのなにがおかしいんだ?」
「いや、こっちの言葉ではなんてことないんだろうけど、
わたしの言葉だと、韻が同じでおかしいのよ。」
「あの激しい鍛錬云々も可?」
「あ、だめ、言わないで!!ぶふ!!」
「ああ、わかったから、肉と野菜の用意をしてくるから、扉君をテントの中に出してくれ。
それで、この前のようにテーブルとイスと焼肉ができるように
しておいてくれるか?」
「いいけど、ワイプさんはそこら辺を見ても大丈夫な人なの?」
「大丈夫だ、ビールを出しても問題ない。なぜ?とかそういう疑問は持たない。
うまい飯、うまい酒それしか記憶に残らない。それ関係の人物と。
私のことを覚えていたのは驚いたがな、手合わせ後に倒れたんだ、空腹で。
それで、今回と同じように腹が満まで食い物を渡していた。」
「なるほど。じゃ、準備してくるね。扉君、ちょっと水平になるけど、ごめんね」
『がばちょ』
もう、2つの月明かりになっているが、明かりはいらないだろう。
テーブルを作り、椅子を3つ。バッカスの石をビールサーバーっぽくセットした。
あと、なみなみの鉄板。下に見えないように赤石君。
動物除けと虫よけにかなり遠くまで砂漠石の膜を張る。上部は煙が抜けるように孔を開けた。
彼と馬たちが入って来れば閉じればいい。
マティスもお肉と野菜、作り置きのおにぎりを持ってきたのに
肝心のワイプさんが来ない。
呼びに行くか?と話していたところでやっと馬車に乗らず、
馬達を引きながらやってきた。
「どうした?遅かったな?馬たちになにかあったか?」
見るからに馬たちのご機嫌が悪い。
わたしに気付くと、ワイプさんを振り切ってやってきた。
「え?どうしたの?」
「飼葉は食べたんですが、水はいらないと、というか、これは嫌だというんです。
この2頭はスーとホーと言ってわたしがずっと世話をしていたので、
だいたいゆってることが分かるんですよ。
しかし、水を飲まないとそれこそ倒れてしまいます。なだめすかしてもだめだったんです。
それで、あまりお待たせするのも悪いので移動しようとしたら、
今度は動いてくれない。マティス君と奥さんが待ってるから行こうというと
やっと動いてくれまして。よっぽど奥さんのことが気に入ったようだ。」
「そうなの?どうしたの?え?ああ、それは、良かれと思ってしたんだよ?
ああ、そうだね。あははは!結構いうね?君たち!
うん、もう一度出すよ?はいはい、さっき言った2種類?湧き水と海洋深層水ね。
あいあい」
「あの?奥さんは馬と話ができるのですか?」
「いえ、話ができるというか、彼らがわたしの話を理解してくれるので
いいたいことがなんとなくわかる程度ですよ。
えーと、水桶にまだ水は入っていたでしょ?それ、わたしがいれた水だったんです。
おいしかったので、ゆっくり飲もうとしてたのに、捨てて新たに入れなおしたでしょ?
それで怒ってしまって。自分だって食い物ことに関してはうるさいくせに自分達の
食事はいつも手抜きだと。飼葉はいいが、せめて水はおいしいものにしてくれ、だそうです。」
「そうか、そうだったのか、すまん、
おいしいものを取っておいてそれを横取りされたら、そいつは死をもって償うべきだ。
それをしてしまったんだな、スー、ホー、許しておくれ。これからはうまい水を調達しよう。
それで許しておくれ。」
馬たちがまた嘶いた。
「えっとなんて?」
「忘れるなよ?とのことです。」
「そうか、許してくれるか、よかった、よかった。」
「じゃ、わたしはお水をあげてきます。あなた、先のにはじめてていいよ?」
「そうか?じゃ、先に始めておこう。酒は3人は揃ってからだ。」
「はーい。じゃ、向こうにいこうか?食べないひとにしてみれば
ちょっとここは煙たくなるからね。」
少し離れたところまで行き、馬たちに湧き水と海洋深層水をいれた。
わたしが飲んだことがある水をイメージしただけだが、おいしいらしい。
ここら辺は硬水なのかな?日本の軟水は甘く感じるようだから。
「おいしいの?そう、よかった。じゃ、戻るから。
ワイプさんってお酒強いの?そうか枠か。
じゃ先に寝てていいよ?うん。じゃあね。」
なかなかに主人に対して厳しい馬たちを置いてテーブルに戻った。
マティスが持ってきた肉の皿がすでに半分ない。早い、早いよ!!
ああ、〇ンダムネタはもういい!!
「もう、ここまで食べたんですか!ワイプ様!!」
「いや、もう、止まらないんですよ。おいしいですね、
この白いのおにぎりですか?それとまた会うんですよ、このたれも。
いくらでも入ります。ああ、わたしのことはワイプと、様はいりません。」
「はぁ。」
「あきらめろ、さ、お前も早くお食べ?ああ、その前にビールを出してやてくれ。」
「あ、そうだね。えっと、ここにこうーして、
ちょっと斜めにしながらすーっと押していくと出るので、
後はお好きに。はい、どうそ、これはワイプ、さんの、これはあなたの。で、わたしね。」
「これがびいるですか?エールのような?でも、冷たいですね。」
「さ、飲んでくれ。ワイプ、約束はたがえるな?頼んだぞ。」
「ええ、ええ、わかってますよ。では、ぬぐ、ぬぐ、はぁー!!これは何と!!」
「うまいか?ならよかった。これと、さっき食べた肉のあつあつのものと合うだろ?
それはそこにあるから、勝手に食べろ。」
「ああ、これは、このビールとこの肉、熱い、うまい、止まらない」
「あー、このお肉おいしいね。トカゲ肉もいいけど、このお肉はさらにおいしい。
これは仕入れないといけないね。これはなんて名前の動物?」
「すまない、名前は知らないんだ。」
「マティス君、これは草原サイですよ?知らずに狩ったんですか?
ここら辺に生息してるでしょ?この肉は高級品なんですよ。
肉とおっしゃてたんで、まさかとは思たんですが、これを食べさせてもらえるとはおもいませんでした。
しかも、この食べ方は初めてです。
お上品に皿にのっているのもうまいですが、こうやって食べるのもうまいです。」
「なんと、それは耳より情報ですよ?マティス君?これは狩らねばなるまいて。」
「なるほど、これが草原サイだったんだな。そうだな、狩らねばなるまい。」
焼肉も唐揚げもおにぎりも食べつくした。ビールも何杯飲んだんだろう。
ワイプさんとマティスの話は漫才のような掛け合いで楽しかった。
資産院の方針で、院に所属した後、数年かけて、あらゆる部署を廻るそうだ。
騎士団を有する軍部にも最後ぐらいに廻ったそうだ。
そこで、20そこで鍛錬変態の称号を持っていたマティスに興味を持ったらしい。
自分も鍛錬、鍛えることに自信が有ったので手合わせを申し込んだそうだ。
「じゃ、軍部?に入れば、そんな鍛錬バカ、鍛錬の好きな人がたくさんいたのでは?」
「もちろん、わたしが20歳の時に最初に叩いた門は軍部です。
しかし、そこでは、わたしが学ぶことはなかった。もちろん、わたしより強い人はたくさんいてましたよ。
ただ、その人から学ぶことはないと思ったのです。なので、次に興味のある資産院に行きました。」
「マティスと、うちの人との勝負はどうだったの?」
「互角でしたよ?最初は負けましたが、後は勝ったり負けたり。彼はもっと伸びるとおもった。
ならばわたしはもっと鍛錬しなければとおもったんです。
そこに在籍している間は、時間の許す限り手合わせをさせてもらいました。
資産院の仕事の合間にね。
マティス君が辺境に派遣される前に、もう一度手合わせしようと、
わたしも仕事を無理に詰め込んで時間を作ったんですよ。
それで、そのあと空腹で倒れ今回のようなことになったのをマティス君が助けてくれたのです。
なのにそのあと騎士団に正式入団はしなかったと聞きましてね。不思議に思たんですが、
何分、そのことに関しては興味がなかったので、そこで終わっていました。
食べ物を与えてくれた方としての記憶はあったんですがね。」
「いろいろあったんだ。それだけだ。」
「そうですか。」
「あ、甘いものはいる?もう、お肉はいらないでしょ?」
「いえ、入りますよ?でも、甘いものがあるなら甘いもの優先ですね。」
「ははは、ドーガーと同じようなことをゆうね。」
「ドーガー?領主殿の横にいた若いほうですね?」
「お前が人の名を覚えているとは珍しいな。」
「ああ、そうですよ。もう一人、ルグでしたかな?この2人が誰かと似た気を放っているなと
思っていたんですよ。思い出す前に、はんばあぐのショックで忘れていました。
あなただ、マティス君、あなたに似ていたんだ。」
「そうか、彼らには少しだが手ほどきをしたんだ。」
「それは素晴らしいですね。ああ、いま、はんばあぐのことを思い出してしまいましたよ。たべたかった。」
「そうか、それも出せばよかったね、たぶん王都で出すものと違うけど、似たようなものは出せるよ?
甘いものとどっちがいい?」
「両方で!!」
「ははは、じゃ、先にハンバーグだすね。それからアイスとプリンと苦めのコーヒーかな。」
ハンバーグは玉葱入りの普通のものとチーズ入りのものを出した。
まだ食べたそうだったが、キリがないのでプリンとアイスを出した。
これはお代りを要求されたが、これもキリがないので、
セサミンのところで近いうちに食べれるはずだといっておいた。
「モウ、モウ?眠いんだろ?テントに入って寝ておいで?」
「え?また?お客様がいてるのに?」
「いいだよ、こいつは。酒が入るとやはり眠くなるんだな。
さ、いいから、家に帰って寝ておいで?」
「ん、わかった。ワイプさん、申し訳ないですが、これで席を外させて頂きます。
お酒は主人にいって出してもらってください。お馬さんたちには先に寝るようには伝えてますので
どうぞ、ごゆるりとなさってくださいませ。」
「ほら、もういいから、寝ておいで?」
「あーい、おやすみ、マティス。」
そのまま抱き付いてワイプさんの前でキスしてしまったが、
かまわないだろう。悪いが先に寝かせてもらう。
テントに入り扉君をくぐっていった。
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