いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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129:良心

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彼女のすばらしさに今頃気付いたのか?

「ワイプ、気付くのが遅いぞ?」
「え?そろばんの使い方説明したらこうなったんよ?おなか壊したとか?」
「え?そうなのか?やはり食べすぎなんだ。腹下しはないな。
ああ、薬草関連もないな。これは調達しないとな。」
「違います!!マティス君黙って!!
この原理、大きい版であるのです。」
「ほら、やっぱりあるんだ、マティスが算術さぼったの決定だね。」
「そうか、しかし、さぼらなくてもあの当時は覚えることはなかったな。
九九もそうだが、今だから楽しい。」
「ああ、そういうのあるね。」
「だから黙って!!版ではあるのですよ。でも、こんな小さくこんなに手軽にできるなんて知らなかった。」
「ああ、きっと誰かが作ってるよ。もっといいもので。」
「そんな、わたしだけ知らなかたんですか?」
「お前は興味がないことには極端に無関心だからな。」
「これは興味のあることです!!もし、これを誰も知らなかったら、
画期的なことなんですよ?なので、これを説明して下さった奥さん、
いえモウ殿を思わずあがめてしまいました。」
「モウを崇めるのはいいことだ。」
「もう!マティス!ワイプさん、とりあえず起きて?
これ、差し上げますから画期的なら遠慮なく使ってください。
ああ、あの九九の表、あれも。マティス?いい?」
「ああ、わたしは覚えたからな、誰かと違って。」
「う、ちょっと間違えただけなの!はいこれも」
呼び寄せでこちらの数字で書い掛け算表を渡した。
紙に羽根ペンで書いたものだから
大丈夫だろう。
「これは?」
「ほら、マティス教えてあげて?」
彼女にいわれ、1の段から読み上げる。ちょっとはずかしいな。
「くくははちじゅういち、と、こんな風に覚えてしまうんだ。」
「おーおーおー」
ワイプは壊れたようだ。
「いただいてもよろしいんですか?」
「いいよー、あー、でもそのかわり、ここでの疑問とか不思議に思ったことは口外しないでね。」
「はい、なぜか冷たい水とか、酒が出る口、鉄の加工法などですね。」
「え?気付いてたのか?」
「マティス君、そりゃ気付くでしょ?不思議にも疑問にも思いますが、それ以上は興味がないだけです。
聞かれていれば答えますよ。口止めの約束はしてませんし。」
「・・・」
「ね?だからそういうの一切合切言わないで?できるだけね。
それで、なにか損なうのならしかたがないけどね、例えばスーとホーが人質になってるとかならね。」
馬2頭がまた嘶く。
「あははは、わかってる、そんな間抜けなことはないね、わかってるよ?例えばの話。
そういうの以外はお願い。例えば、おいしい料理と引き換えとかだったら、
それに近いものをこっちでも出せるからね?黙っていてほしい。」
「はい、わかりました。このワイプ約束はたがえないのです。」
「・・・頼むぞ?ほら道中の食料だ。モウ、これに水を入れてやってくれ。」
「あいあい」
「この包んであるのがしっぽ煮だ。冷めないようしてるが、温めなおしてもいい。
このパンは日持ちはしない。早めに食べてくれ。人にやるなよ?」
「誰がやるものですか!!」
「まぁ、そうだろうな。」
「はい、お水。お馬さんたちの水はどうやって上げてるんですか?」
「ああ、汲んでくるか、道中は砂漠石を使います。運ぶ手間を考えれば
砂漠石のほうがいい。あー、でもこれからはそうもいかなくなりますね。
なんせ、コットワッツの砂漠石が取れないんだ。高騰しますね。
そうなると、砂漠石で要求してくれたほうがいいですね。
引き取りに来るときにはこんな小さなもの石が20年分になってるかもしれんない」
「いや、リングで要求するはずだ。」
「あ、そうなんですか?がっかりです。」
「5000リングを数えたって言ったろ?」
「ええ、どのくらい時間がかかりました?はぁぁぁ」

ため息をつくので数えた方法を簡単に伝えた。

「そうか!すごい!なんで思いつかなかったんだ?モウ殿は女神ですね。」
「そういえばここの神様ってどんなの?」
「ああ、男神と女神がいて簡単にいうと2人で世界を作って自然を守ってると。
今回の変動も、もうすぐすれば、神殿のほうから神がなさったことだとか行ってくるさ。」
「結構軽いね。」
「ああ、ただ、美しいもの尊いものには女神と称える。だからモウは女神だ。間違っていない。」
「・・・そうですか。」
「モウ殿はそういうのはご存じないのですか?」
「うん、無知なんだ。あの生産院の人にも言われたよ。無知だって。」
「え?どういういきさつで?」
「ああ、、賭けの内容を決めるときいきなり金額だけ言ってきたの、それもやっすい金額で。
で、このような契約ごとは初めてなのか?
いつ、どこで、勝利条件など、なにもなくただ、金額だけを提示するだけとは。
やる気を出した、こっちが恥ずかしいといったら無知だと言われたよ。」
「ぶほ!!」
「いやちがうだろ?5000リングとなる前の3000リングの段階で先に用意しろと、
今はないなど、小物の言い訳をされても困ります、っていったんだ。」
「ああ、そうだそうだ。」
「ぶはははははは!!!!」

とうとうワイプが壊れしまった。
あの2頭は彼女になついているから引き取るか。
馬も察したか彼女にすり寄ってきた。

「そうか、お前たちも彼女がいいか?仕方がないな、このまま捨て置いて出発しようか?」
「え?なに?その話、ぶふ、おなか痛い、、、スー、ホー、いい加減にしろよ!!
あのメディングにそれを言ったんですか?いや、その時に同席したかった。
あいつもいっぱしの美食家気取りでいつも自慢してくるんですよ!嫌な奴だ!!」
「ああ、はんばあぐな?そいつの手引きで王都に店を出すことになったんだ。」
「え?そうなんですか?うーん、それは癪だが、うまいものに罪はないですからね。
ここでいただいたはんばあぐ以上のものを期待しますよ。」
「それは人の好みに依りますよ?
ああ、そうだ、スーとホーの水のはなしからだいぶ飛んだけど、砂漠石だけ桶に入れてくれって。
自分たちで水は出すからって。」
「え?そんなことできるんですか?」
「そうみたい。でも砂漠石がなくなるから、お前たち、贅沢言ってはいけないよ?」
「ああ、コットワッツの砂漠石はなくなりましたが、
砂漠石の産地は我が国にはまだありますし、我が国以外にもあります。
ただ、ここが一番の産地だったのには違いありません。」
「あ、そうなの?砂漠石はここだけでしか取れないと思ってた。マティス言ってよ!」
「そうか、言ってなかったな。18の国があるといっただろ?たいてい砂漠があって砂漠石が取れる。
取れないところもあるがな。
スパイルが独立したのは300年程前だが砂漠を有しないデジナの領国だったんだ。
そこは砂漠を有していないからジットカーフとここニバーセルの属国のような扱いだった。
そこの一領土が独立をしたんだ。デジナは好きにすればいいとなにも干渉しなかった。
それが今は一大工業国だ。デジナは悔しい思いをしてるだろうな。」
「スパイルとデジナの合併もうわさされてますよ?」
「そうなのか?お前の耳に入り、お前が覚えている内容なら確実だろうな。」
「そうなんだ、そこらへんはやっぱり無知だね。じゃぁ、ほかの砂漠もこんな変動来るの?」
「「え?」」
「えって、なんでここだけにそんな変動が起こると思うの?
それも800年周期で。ほかのところも次期がずれて起こるかも?ううん、起こってるって
なんでおもわないの?」
「「・・・・」」
「思わないんだね。」
「えっと、それは興味があるので王都に戻って調べてみます。」
「ああ、そうしてくれ。だが、無理するな。」
「あ、知らないでいいことは知らないでいいことだからね。ワイプさん。」
「はい、モウ殿、お気遣いありがとうございます。では、マティス君行きますね。
北の国への招待待ってますからね。」
「ああ、お前も約束をたがえるな。」
「わかっています。」
「スー、ホー、気を付けてね?うん。あははは、それは、ね?じゃあね。」
「なんと?」
「え?本当はわたしと行きたいけど、ワイプさんを置いていくのはさすがに良心が咎めるって。
さっき死んでしまっていれば問題なかったのにって。」
「・・・」
「あ、石の約束は忘れるなとも。」
「・・・わかりました。では、名残惜しいですが、マティス君、モウ殿、よい旅を!!」

「さ、片付けないとな。膜を張っていたんだろう?外していいぞ?
それが終わったら、一度、家に戻って風呂に入ろう。
あの全身レースをも少し見たいしな。」
「あ、あれはまだ途中なの!とにかくお風呂に入ろう。全身が焼肉臭い。 」
「それはダメだな。急ごう。」
「アイサイサー。」





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