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(なんだ?こいつら?)
(うん、ノックしてきて、居留守使ったら、鍵開けて入ってきたんだ)
2人で入ってきて小声で話をしている。
丸聞こえだが。
「お客様?いらっしゃいません・・・ね?
いないじゃないか?トメ!お前ちゃんと見てたのか?
大体お前が荷物を預からないからこうやって来なくちゃいけなかたんだぞ!!」
「すいません、ええ、下りきてませんし、食堂にもいってません。」
「はん!なのにいないってことはお前がさぼってる間に出ていたんだ!
まぁいい。15リングも払ったんだ。もどってくるさ。
荷物は?あれば、ここで、失敬するんだがな。ないな。
やっぱり、あの重たそうなのを抱えて出て行ってる!
よっぽどの金を持ってるんだ。思った通りだ。
15リングを値切らねえ客なんかめったにいない。」
「足しとこうか?なんて言ってましたもんね?」
「それに、あのお人よしの紹介だ。あいつは人を見る目だけは有るんだ。
あいつは善人だけを紹介してくれる。
だからたっぷりもてなしはするさ。
また来てくれるかもしれないからな。
けど、こいつらは違う。あれは砂漠の民だ。またここに来るってことはない。
砂漠石ももってるかもしれん。」
「じゃ、それなりに?」
「いや、一等いいもてなしをしてやれ。15リングの客だ。
それでな、いつものように大切な荷物は預かりますって言え。
断れば、部屋にあるこの箱に鍵をかけておけって。
いま、世の中は物騒だからとな。
向こうの部屋から開けられるなんて絶対気付かない。
気付いたとときはもう遅い。預けずに自分で鍵を掛けたんだ。知ったこっちゃない。
いい思いはできるんだ。べつにかまわんだろう。」
「へへへ、ほんと悪い考えですね。」
「賢いって言え!さ、戻ってくるときに必ず捕まえて荷物を預かるか、
この箱を使うように言えよ?もどってきたらカニを食うはずだ。
いいところを食わしてやらんとな!!ぼさっとしてるんじゃないぞ!!」
(・・・)
(・・・)
2人は出ていった。
と、思ったら、また部屋に入って、首をかしげて、今度こそ鍵をかけて出ていった。
ちょっとびっくりした。
「しかし、すごいね、ここ。盗人宿だ。六部殺しだ。」
「ろくぶ?」
「六部ってのは、徳のある修行僧みたいな人でね、各地を巡礼してるからある程度お金をもってるのよ、
で、その人を泊めて、金品盗むの。この手の話はいろいろあるんだけど、
盗むだけじゃなくて殺しちゃうのね。で、また六部が来るのを待つ。村中みんなで。
なんやかんやって、六部は3代先まで祟るってことで、村は滅んじゃうのよ。
そうかー、あの衛兵さんには善人に見えたのかー、修業が足りませんな。」
「なぜ?善人にみられたんならいいのでは?」
「あまいな、マティス君。ベリースイートだ。
我々は善人ではない。もちろん悪人でもない。なおかつ善人を目指しているわけでない。
だったら、人の印象に残ってはだめなのだよ?聞かれて、あー、そういえば
そんな人いたっけ?ぐらいがちょうどいい。
今回はコムの守衛さんとのやり取りがあったからね、その影響もあるとおもうけど。
あの人お茶もらって喜んでたしね。仕方がないか。
あれがなかったら、すんなり入れんかったかもしれしね。」
「なるほど、これから気を付けよう。」
「うん、あ、マティスお帰り。お疲れ様。」
「ただいま、愛しい人。ガムは作ってもらえた。
ザバスがよろしくと。鋏はこれ。もう一種類違うのも買ってきた。
飴と、ガムの新作も。」
「あ、いい感じの鋏だ。こっちのは毛皮を着るのによさそう。ざっくり行けそうだもの。
さすがザバスさんだね。いいのを仕入れてるし、これを見つけてくるマティスもさすがだ。」
「喜んでもらえてよかった。ん?毛皮とは?」
「これ、待ってる間につくったの?どう?」
座布団一枚分ぐらいの毛皮を見せた。
ずっとスリスリしておきたい肌触り。
「これは?どうやって?」
「これ、豚の毛皮。短くなったでしょ?切ったわけじゃないの。
石鹸水に付けたら短く太くなったの。」
「これが、豚?あの毛か?確かに血を吸えば、短く太くなる。
でも、肌触りが違う。」
「うん、トカゲの皮の裏ってざらざらでしょ?それで、撫でるようにして
毛並みを整えたの。ここまでいくのに1つはダメにしたけどね。
カピカピのぬたぬたになった。」
「良い香りもする。」
「黒い実のオイルを薄く撫でたの。いいでしょ?」
「これは、いいな。こんないい肌触りは、2回目だ。」
「あ、ほかにもある?どんな?」
「お前の肌と髪だ。」
「もう!それを抜きにしたら?」
「ああ、初めてだな。これで上着を作るのか?」
「うん。でも、毛皮をどう、上着に加工しているか知らないんだ。
もとにある、上着に縫い付けるかな?だから、一着、魚の皮の上着が欲しい。」
「もちろんだ。」
「おそろいの色違いを作ろう。
これで袖口だけとか、襟ぐりだけとか、帽子もいいね。
中綿入れたらさらに温いよ。メーウーの毛もあればよかったけどね。」
「ああ、ザバスから面白い話を聞いた。それは、カニを食べながら話そう。
あいつらこともどうするか決めないとな。あれは極悪人か?」
「いや、その顔のほうが極悪人だよ。うーん、どうするかね。
あ、この部屋臭くないでしょ?スプレーしたんだ。
それと、襟ぐりにこれ付けて?で、ガム噛んで外に行こう。
外から戻りましたってことで。言われた通りにしようか。
隣の部屋から開けたら、そうだね、このぬたぬた、がぴがぴが
べちゃりとくっつくような?空気でっぽうみたいに飛び出すように仕掛けようか?
きっとびっくりするよ?」
「ははは、お前のほうが極悪人の顔だぞ?」
「かわいいいたずらだよ?おもてなしはしてくれるんだもの
満喫しよう!カニだよカニ!そのほかの海鮮も楽しみ!」
「そうだな。では、面倒だが、いったん外に出よう。裏側に出れば誰もいないだろう。
それで表に回ろうか。ついでに魚の皮の上着を買おう。」
「うん、じゃ、ちょっと仕掛けを作っとくね。
あ、捨てちゃう内臓とかある?あれ、なんかしみ込まないそうに
皮袋に入れちゃって。固く固く閉じてね。ここで処分してもらおう。」
「?」
「びっくりするだけで、それであきらめないよ。きっと取っていく。
で、わたしたち、カニを堪能して部屋にお戻ったら、あわてて、ここの人に言うの。
荷物が取られたと。
そした、きっと、だから預かるといったのにってね。
盗賊が入った部屋には止まれないから、もう、ここを出るってね。
向こうはきっと、それは残念だというかな?
そしたらわらって、あれはとられてもいいような、ここまで処理してきた動物の内臓だと。
埋めて捨てるつもりだったが、ちょうどよかったってね。
それで、盗賊は呪われた皮に触ったようだと。あれに、触った奴は
自分の罪をみなしゃべってしまう。そしたら捕まえてくれとね。言霊使っちゃって?」
「あはははは!それはそれは、ほんと賢い考えだ。」
「でしょ?」
準備をして外に出る。
あ、臭いの気にならない。なれたのか?試しに、
茶縄を外すと、もろに匂いが上がってきた。ダメでした。
時間はあるので、街並みを見る。
活気があるな。あの宿のことと、臭いがなかったら
本当に数日泊まりたいぐらいだ。
魚屋もある。どちらかといえば、トド屋?皮ははいだ状態なので、
魚だと思えば、魚か?わかめとか昆布とかはない。
あと、豚もあった。聞くとやはり毛に血を吸わせて焼いて処分するという。
毛といえば、毛皮が有名だとかと話を振るとそこの主人はが教えてくれた。
すこし、いやな笑いを浮かべたのが気になった。
「買ったほうがいいな。その上から着るものがないんだったら、
必要だ。あっても、一枚あったほうがいい。
ここは高原が近いからいい綿もはいるからな。」
肉はいらないけど、日持ちする干し肉は買った。
あと、野菜はあまりなかった。
果物は、ライチなようなもの。
これは高原から入ってくるそうだ。柿は時期ではないそうだ。
ここでも嫌な笑いで肉屋とおなじ毛皮屋を勧められた。
背負子に入れるふりをして、収納鞄に。
買い物した先々で教えてもらった、毛皮屋さんに来た。
トドの開きが並べてある。なるほど、毛だわ。
短い。トドというよりラッコ?
作業の工程順位干してあるのか、
生々しいものから順に、完成したものまで。
ミンクのコートがポコポコしてるのは皮本体が小さいからだ。
大きなトドの皮は普通に前身頃、後身頃で縫い合わせている。
じゃ、普通に作って、裏地を縫い付ければいいんだ。
裏地にはなにがいいんだろう。
「買わないのか?」
「んー。なんか、いけそうな、やっぱり無理か?」
そんなことを店先で話していると、お店の人が出てきてしまった。
しまった、営業妨害してたか。
「いらっしゃい。あんたたちは砂漠の民だな?珍しいな、ここで見るとは。」
「ああ、海を目指して、砂漠を出たんだ。この地に来たならこの服では寒いからと
肉屋と果物屋に毛皮の購入を勧められた。この店で買えばいいとな。」
「そうかい、そういらは、まあ、いいか。で、買うのかい?」
職人気質のいい感じのご主人だったので聞いてみることにした。
「あの、魚の毛なんですね、これをそこに吊るしている上着に縫い付けるんですか?」
毛皮の横になにもない、普通の上着が並んでいたのだ。
「ああ、そこらへんも知らないんだな。
魚の毛は1.2回寒さに耐えたらもう使い物にならない。
買い替えるか、このトックス製の上着を買って、縫い替えるんだ。
そうすれば、この上着は高いがずっと持ちがいいし、毎回好きな魚の毛に替えられる。
去年は黒が流行ったが、今年はどうやら白らしい。若い人はそういうの気になるんだろ?」
「へー、そうなんですね。そのトックス製っていうの街の名前ですか?」
「あはははは、俺の名前だ。俺が作ってんだからトックス製さ。」
「おお!トックスさん。なるほど。ティス、ティス、ここの上着が欲しい。
上着だけ。毛皮は、流行を見てからにしよう。ね?」
「ああ、そういう買い方もあるな。トックス製は早い者勝ちだからな。
今のうちに買っておけばいい。で、好きな毛を縫い付ければいいのさ。」
「ね?ここで買おう。ほら、内側に小袋もついてるよ?
これがいい。」
「ははは、砂漠の民はそういうのが好きなのか?昔、砂漠の民の注文で
付けてくれって言われてな。それから、付けるようにしたんだ。ほかの客にも評判がいい。
その人はあー、なんていったかな?着道楽の、、」
「タロス?」
マティスが答える。
「そうそう、着道楽のタロス。あはは、有名なんだな。もうだいぶ前に無くなっただろ?
魚の皮じゃなくてトカゲの皮を縫い付けろとか、えらい注文が来たよ。懐かしな。」
「モウ、ここで買おうか。好きなのを選べばいい。」
「うん、ティスのもね。」
あの趣味がいい上着はここで作ってもらったんだ。
どういう風にやり取りをしたんだろう。気長に手紙でやり取りしていたんだろうか。
同じデザインの大きさの違う上着を買った。
今着るには暑い。早く着たいなとつぶやくと、トックスさんが
そういう人のために今年は薄手のものを作ったという。
今年新作で、いま、並べたばかりだと。
これに飛びついたわたしに、マティスはなるほど、そういうものなのだな、と感心していた。
うるさい、新作、今出したばっかり、このキーワードは魅力的なのだ。
これはわたしたち2人の分と、セサミン、ルグ、ドーガーの分と買った。
襟ぐりに残ってる砂漠トカゲの皮を付ければ、コットワッツの特徴も出るだろう。
合計45リングとなったが、40リングにおまけしてくれた。
去年は毛皮を縫いつけないまま、過ごす人もいたようだ。
その時、付けなくても温くてかっこいいトックス製の上着が流行り売れきれになったから
今年は早めに売り出してたとのこと。よかった、買えて。
ちらちら見られて笑われたのはやはりいい気はしないのだ、
薄手の上着は着て帰ることにした。もちろんスプレーは掛ける。
笑う人はいなかったが、それはどこで買ったのかと何人かの人に聞かれたので、
トックスさんのところの新作だと答えておいた。
途中本屋さんぽいのがあったが、地図なんかうってるもんかと笑われた。
そういうものらしい。
仕方がないので、ジットカーフの歴史みたいな本を買っていた。マティスが。
いい時間になったので、宿屋に帰る。さ、カニだよ!
(うん、ノックしてきて、居留守使ったら、鍵開けて入ってきたんだ)
2人で入ってきて小声で話をしている。
丸聞こえだが。
「お客様?いらっしゃいません・・・ね?
いないじゃないか?トメ!お前ちゃんと見てたのか?
大体お前が荷物を預からないからこうやって来なくちゃいけなかたんだぞ!!」
「すいません、ええ、下りきてませんし、食堂にもいってません。」
「はん!なのにいないってことはお前がさぼってる間に出ていたんだ!
まぁいい。15リングも払ったんだ。もどってくるさ。
荷物は?あれば、ここで、失敬するんだがな。ないな。
やっぱり、あの重たそうなのを抱えて出て行ってる!
よっぽどの金を持ってるんだ。思った通りだ。
15リングを値切らねえ客なんかめったにいない。」
「足しとこうか?なんて言ってましたもんね?」
「それに、あのお人よしの紹介だ。あいつは人を見る目だけは有るんだ。
あいつは善人だけを紹介してくれる。
だからたっぷりもてなしはするさ。
また来てくれるかもしれないからな。
けど、こいつらは違う。あれは砂漠の民だ。またここに来るってことはない。
砂漠石ももってるかもしれん。」
「じゃ、それなりに?」
「いや、一等いいもてなしをしてやれ。15リングの客だ。
それでな、いつものように大切な荷物は預かりますって言え。
断れば、部屋にあるこの箱に鍵をかけておけって。
いま、世の中は物騒だからとな。
向こうの部屋から開けられるなんて絶対気付かない。
気付いたとときはもう遅い。預けずに自分で鍵を掛けたんだ。知ったこっちゃない。
いい思いはできるんだ。べつにかまわんだろう。」
「へへへ、ほんと悪い考えですね。」
「賢いって言え!さ、戻ってくるときに必ず捕まえて荷物を預かるか、
この箱を使うように言えよ?もどってきたらカニを食うはずだ。
いいところを食わしてやらんとな!!ぼさっとしてるんじゃないぞ!!」
(・・・)
(・・・)
2人は出ていった。
と、思ったら、また部屋に入って、首をかしげて、今度こそ鍵をかけて出ていった。
ちょっとびっくりした。
「しかし、すごいね、ここ。盗人宿だ。六部殺しだ。」
「ろくぶ?」
「六部ってのは、徳のある修行僧みたいな人でね、各地を巡礼してるからある程度お金をもってるのよ、
で、その人を泊めて、金品盗むの。この手の話はいろいろあるんだけど、
盗むだけじゃなくて殺しちゃうのね。で、また六部が来るのを待つ。村中みんなで。
なんやかんやって、六部は3代先まで祟るってことで、村は滅んじゃうのよ。
そうかー、あの衛兵さんには善人に見えたのかー、修業が足りませんな。」
「なぜ?善人にみられたんならいいのでは?」
「あまいな、マティス君。ベリースイートだ。
我々は善人ではない。もちろん悪人でもない。なおかつ善人を目指しているわけでない。
だったら、人の印象に残ってはだめなのだよ?聞かれて、あー、そういえば
そんな人いたっけ?ぐらいがちょうどいい。
今回はコムの守衛さんとのやり取りがあったからね、その影響もあるとおもうけど。
あの人お茶もらって喜んでたしね。仕方がないか。
あれがなかったら、すんなり入れんかったかもしれしね。」
「なるほど、これから気を付けよう。」
「うん、あ、マティスお帰り。お疲れ様。」
「ただいま、愛しい人。ガムは作ってもらえた。
ザバスがよろしくと。鋏はこれ。もう一種類違うのも買ってきた。
飴と、ガムの新作も。」
「あ、いい感じの鋏だ。こっちのは毛皮を着るのによさそう。ざっくり行けそうだもの。
さすがザバスさんだね。いいのを仕入れてるし、これを見つけてくるマティスもさすがだ。」
「喜んでもらえてよかった。ん?毛皮とは?」
「これ、待ってる間につくったの?どう?」
座布団一枚分ぐらいの毛皮を見せた。
ずっとスリスリしておきたい肌触り。
「これは?どうやって?」
「これ、豚の毛皮。短くなったでしょ?切ったわけじゃないの。
石鹸水に付けたら短く太くなったの。」
「これが、豚?あの毛か?確かに血を吸えば、短く太くなる。
でも、肌触りが違う。」
「うん、トカゲの皮の裏ってざらざらでしょ?それで、撫でるようにして
毛並みを整えたの。ここまでいくのに1つはダメにしたけどね。
カピカピのぬたぬたになった。」
「良い香りもする。」
「黒い実のオイルを薄く撫でたの。いいでしょ?」
「これは、いいな。こんないい肌触りは、2回目だ。」
「あ、ほかにもある?どんな?」
「お前の肌と髪だ。」
「もう!それを抜きにしたら?」
「ああ、初めてだな。これで上着を作るのか?」
「うん。でも、毛皮をどう、上着に加工しているか知らないんだ。
もとにある、上着に縫い付けるかな?だから、一着、魚の皮の上着が欲しい。」
「もちろんだ。」
「おそろいの色違いを作ろう。
これで袖口だけとか、襟ぐりだけとか、帽子もいいね。
中綿入れたらさらに温いよ。メーウーの毛もあればよかったけどね。」
「ああ、ザバスから面白い話を聞いた。それは、カニを食べながら話そう。
あいつらこともどうするか決めないとな。あれは極悪人か?」
「いや、その顔のほうが極悪人だよ。うーん、どうするかね。
あ、この部屋臭くないでしょ?スプレーしたんだ。
それと、襟ぐりにこれ付けて?で、ガム噛んで外に行こう。
外から戻りましたってことで。言われた通りにしようか。
隣の部屋から開けたら、そうだね、このぬたぬた、がぴがぴが
べちゃりとくっつくような?空気でっぽうみたいに飛び出すように仕掛けようか?
きっとびっくりするよ?」
「ははは、お前のほうが極悪人の顔だぞ?」
「かわいいいたずらだよ?おもてなしはしてくれるんだもの
満喫しよう!カニだよカニ!そのほかの海鮮も楽しみ!」
「そうだな。では、面倒だが、いったん外に出よう。裏側に出れば誰もいないだろう。
それで表に回ろうか。ついでに魚の皮の上着を買おう。」
「うん、じゃ、ちょっと仕掛けを作っとくね。
あ、捨てちゃう内臓とかある?あれ、なんかしみ込まないそうに
皮袋に入れちゃって。固く固く閉じてね。ここで処分してもらおう。」
「?」
「びっくりするだけで、それであきらめないよ。きっと取っていく。
で、わたしたち、カニを堪能して部屋にお戻ったら、あわてて、ここの人に言うの。
荷物が取られたと。
そした、きっと、だから預かるといったのにってね。
盗賊が入った部屋には止まれないから、もう、ここを出るってね。
向こうはきっと、それは残念だというかな?
そしたらわらって、あれはとられてもいいような、ここまで処理してきた動物の内臓だと。
埋めて捨てるつもりだったが、ちょうどよかったってね。
それで、盗賊は呪われた皮に触ったようだと。あれに、触った奴は
自分の罪をみなしゃべってしまう。そしたら捕まえてくれとね。言霊使っちゃって?」
「あはははは!それはそれは、ほんと賢い考えだ。」
「でしょ?」
準備をして外に出る。
あ、臭いの気にならない。なれたのか?試しに、
茶縄を外すと、もろに匂いが上がってきた。ダメでした。
時間はあるので、街並みを見る。
活気があるな。あの宿のことと、臭いがなかったら
本当に数日泊まりたいぐらいだ。
魚屋もある。どちらかといえば、トド屋?皮ははいだ状態なので、
魚だと思えば、魚か?わかめとか昆布とかはない。
あと、豚もあった。聞くとやはり毛に血を吸わせて焼いて処分するという。
毛といえば、毛皮が有名だとかと話を振るとそこの主人はが教えてくれた。
すこし、いやな笑いを浮かべたのが気になった。
「買ったほうがいいな。その上から着るものがないんだったら、
必要だ。あっても、一枚あったほうがいい。
ここは高原が近いからいい綿もはいるからな。」
肉はいらないけど、日持ちする干し肉は買った。
あと、野菜はあまりなかった。
果物は、ライチなようなもの。
これは高原から入ってくるそうだ。柿は時期ではないそうだ。
ここでも嫌な笑いで肉屋とおなじ毛皮屋を勧められた。
背負子に入れるふりをして、収納鞄に。
買い物した先々で教えてもらった、毛皮屋さんに来た。
トドの開きが並べてある。なるほど、毛だわ。
短い。トドというよりラッコ?
作業の工程順位干してあるのか、
生々しいものから順に、完成したものまで。
ミンクのコートがポコポコしてるのは皮本体が小さいからだ。
大きなトドの皮は普通に前身頃、後身頃で縫い合わせている。
じゃ、普通に作って、裏地を縫い付ければいいんだ。
裏地にはなにがいいんだろう。
「買わないのか?」
「んー。なんか、いけそうな、やっぱり無理か?」
そんなことを店先で話していると、お店の人が出てきてしまった。
しまった、営業妨害してたか。
「いらっしゃい。あんたたちは砂漠の民だな?珍しいな、ここで見るとは。」
「ああ、海を目指して、砂漠を出たんだ。この地に来たならこの服では寒いからと
肉屋と果物屋に毛皮の購入を勧められた。この店で買えばいいとな。」
「そうかい、そういらは、まあ、いいか。で、買うのかい?」
職人気質のいい感じのご主人だったので聞いてみることにした。
「あの、魚の毛なんですね、これをそこに吊るしている上着に縫い付けるんですか?」
毛皮の横になにもない、普通の上着が並んでいたのだ。
「ああ、そこらへんも知らないんだな。
魚の毛は1.2回寒さに耐えたらもう使い物にならない。
買い替えるか、このトックス製の上着を買って、縫い替えるんだ。
そうすれば、この上着は高いがずっと持ちがいいし、毎回好きな魚の毛に替えられる。
去年は黒が流行ったが、今年はどうやら白らしい。若い人はそういうの気になるんだろ?」
「へー、そうなんですね。そのトックス製っていうの街の名前ですか?」
「あはははは、俺の名前だ。俺が作ってんだからトックス製さ。」
「おお!トックスさん。なるほど。ティス、ティス、ここの上着が欲しい。
上着だけ。毛皮は、流行を見てからにしよう。ね?」
「ああ、そういう買い方もあるな。トックス製は早い者勝ちだからな。
今のうちに買っておけばいい。で、好きな毛を縫い付ければいいのさ。」
「ね?ここで買おう。ほら、内側に小袋もついてるよ?
これがいい。」
「ははは、砂漠の民はそういうのが好きなのか?昔、砂漠の民の注文で
付けてくれって言われてな。それから、付けるようにしたんだ。ほかの客にも評判がいい。
その人はあー、なんていったかな?着道楽の、、」
「タロス?」
マティスが答える。
「そうそう、着道楽のタロス。あはは、有名なんだな。もうだいぶ前に無くなっただろ?
魚の皮じゃなくてトカゲの皮を縫い付けろとか、えらい注文が来たよ。懐かしな。」
「モウ、ここで買おうか。好きなのを選べばいい。」
「うん、ティスのもね。」
あの趣味がいい上着はここで作ってもらったんだ。
どういう風にやり取りをしたんだろう。気長に手紙でやり取りしていたんだろうか。
同じデザインの大きさの違う上着を買った。
今着るには暑い。早く着たいなとつぶやくと、トックスさんが
そういう人のために今年は薄手のものを作ったという。
今年新作で、いま、並べたばかりだと。
これに飛びついたわたしに、マティスはなるほど、そういうものなのだな、と感心していた。
うるさい、新作、今出したばっかり、このキーワードは魅力的なのだ。
これはわたしたち2人の分と、セサミン、ルグ、ドーガーの分と買った。
襟ぐりに残ってる砂漠トカゲの皮を付ければ、コットワッツの特徴も出るだろう。
合計45リングとなったが、40リングにおまけしてくれた。
去年は毛皮を縫いつけないまま、過ごす人もいたようだ。
その時、付けなくても温くてかっこいいトックス製の上着が流行り売れきれになったから
今年は早めに売り出してたとのこと。よかった、買えて。
ちらちら見られて笑われたのはやはりいい気はしないのだ、
薄手の上着は着て帰ることにした。もちろんスプレーは掛ける。
笑う人はいなかったが、それはどこで買ったのかと何人かの人に聞かれたので、
トックスさんのところの新作だと答えておいた。
途中本屋さんぽいのがあったが、地図なんかうってるもんかと笑われた。
そういうものらしい。
仕方がないので、ジットカーフの歴史みたいな本を買っていた。マティスが。
いい時間になったので、宿屋に帰る。さ、カニだよ!
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異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
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間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
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しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
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