いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
207 / 869

207:違和感

しおりを挟む



「お待ちください!セサミナ様!」

誰かが追いかけてくる。
(セサミン、来たよ?)
(はい!、監督)


「これは研究院の方々ですね?なにか?」
「そ、その水筒を見せていただきたい!」
「これは、コットワッツに伝わる秘宝です。おいそれと見せるわけにはいかない。
今回は特別だったんですよ?」
「ええ、わかっております。しかし、そのような袋は初めて見ました!
是非に研究させていただきたい。それに、先程目に当てていたものも!
それで、見ることによって不正が分かったんですよね?」
「いいえ?これは、ただの飾りですよ?」
「そうおっしゃらずに!その2つを見せていただくだけでいいのです!」
「この袋の中にリングが納まってるのは見てましたよね?それを渡せと?
疑いたくはないが、資産院が今回しでかしたこともある。
王都の院に対して、何もかものが信用できないのですよ?」
「研究院は資産院とは違います!」
「では、この2つを貸して、もし損傷などがあれば保証できるのですか?
1140万リングを研究院が保証してくれくれるのですか?」
「そ、それは・・・」
「セサミナ殿、それは中央院が保証しよう。」

ここでまた、お偉いさんが登場。
会合で進行役をしていた人だ。

皆が一斉に礼を取る。
わたしとマティス以外。

そのマティスとわたしを、上から下まで見る。

「あなたの兄は優秀な護衛となっているようだ。
変動はそなたの領にとっては不幸な出来事かもしれないが、
お前たち兄弟には良きことだったな。」

「はっ、ありがたきお言葉。
中央院ジング院長にそういって頂けるのは、我ら兄弟の誉れでございます。」

ん?セサミンが本気で喜んでいる。
マティスもセサミンの言葉に頷いている。
兄弟のことより、領地、領民のことが大事だろ?
あれか?飲んべえ長屋の大工の熊吉は腕はいいが大酒のみだっていうのと、
大酒のみだが、腕のいい大工だ、っていう程度の違いなのか?
しかし、胡散臭い。

「それで、横の女性がマティスの伴侶なのか?
紹介してもらえるか?」

マティスがわたしの手を引き紹介しようとする。
なんだ?この違和感。


(マティス!!セサミン!この人おかしい!しっかりして!!
小さい声でいいからあのまじないを!水筒も渡しちゃダメ!)

マティスはわたしを呼び寄せようとした手をまた後ろに組み、
セサミンの横に控える。
セサミンは下を向いて、ちちんぷいぷいぷいとつぶやいている。


「ジング様、申し訳ない。この2人は今はわたしの護衛なのです。
また、機会がありましたら、兄と姉として紹介させていただきたい。」
「そうか、それは残念だ。では、いずれは紹介してもらおう。
では、この水筒と、その飾りを貸してもらえるか?保証は中央院がするぞ?」
「いえ、これはコットワッツの秘宝。リングを保証してもらえるからといって
我が手から離すべきものではありません。ご容赦を。」
「そうか、仕方がないな。研究院よ、あきらめてくれ。」
「は、ジング様がおっしゃるのでしたら。」

研究院の2人は後ろ髪をひかれつつ帰っていった。
ジングという人も。
いずれ、ゆっくり話をしよう、だって。

「姉さん、わたしは?」
「愛しい人、私はまた操られていたか?」
「そこまではいかないけどね。違和感に気付いたらそれでいい。」


とにかく、帰ろうと出口に向かうと、
他の領主が声を掛けてくる。
いや、痛快でしたとか、無事に受領出来てよかったですね、とか。
ぜひ、うちで開催する夜会に出てほしいというのもあったが、
今回は、遠慮させてもらうが次回はぜひにと、社交辞令のオンパレードだ。
なかなかの好感触だが、腹の中で何を考えているのかはわからない。
でも、次につながるだろう。


出口近くでワイプ師匠が囲まれている。

当然、マティスはさくっと無視してセサミンを外に誘導する。
わたしとドーガーは少し遅れてしまい、やり取りを聞く羽目になってしまった。


「ワイプ様!われわれはどうすれば?」
「どう?ああ、わたし、さっきの終了宣言で副院長からただの一職員になりましたから。
新しい副院長はルタネ様、ルタネ副院長ですよ?
指示は副院長か副院長補佐のあなたがしてください。」
「え?いま、この時に?そ、それで、ワイプ様は?」
「様はいりませんよ。
わたしはコットワッツ一行の護衛を引き継いでやるので、このまま彼らについていきますよ?
家も引き払わなくてはいけませんしね。当分の間は院にはでません。
ああ、ルタネ副院長は引継ぎ無しで業務をなさるそうですから、皆さまも頑張ってください。では」
「そ、そんな!!院長は腑抜けになってるし、指示できる人間はいないじゃないですか!」
「しりませんよ。第一、5000リングをすり替えるような職員は窃盗罪で捕まればいいし、
なんですか?2リングずつちょろまかすって?これ、詰め込み作業をした全員でしてますね?情けない。
そんな人たちがどうなろうとしりません。そうそう、クッションを盗んだ人間も。返さなければ
次に会った時はどうなっているかとかいうような伝言をもらっています。確かに伝えましたよ?」


師匠はすがる元部下たちを完全に見放したようだ。
そりゃ、数字変態の師匠からすれば、2リングを1箱ずつちょろまかしたことは許せないのだろう。
5000リングすり替えた人に対してより、そっちの方に対してい怒っているのが分かる。
ダートは燃え尽きたように真っ白だ。
新しい副院長のもとにわらわらと指示をくださいと職員が群がっている。
これらは一般人のグループなんだろうか?
早く窃盗の犯人も見つけないといけないのに。なにやってるんだ?


そんな中でやっと気を取り直したルタネさんがこっちに向かってきた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...