いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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254:関連性

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あのまま眠る彼女を風呂に入れ、寝床に寝かしつけた。
紺色のドレスは一応きれいにしておく。

屋上の片付けがそのままだ。

上に移動するとセサミナ、ワイプ、ガイライとが座っていた。

「どうした?」
「姉さんは?」
「ああ、寝てるぞ?ん?ガイライ風呂に入ったのか?」
「明日にはここを出るのだろう?その前にな。」
「そうか、そうだな。ここの区画の管理はワイプがするのだろう?ただで。」
「もちろん。」
「で?なんで集まってるんだ?」
「姉さんのことと、銃の事、糸のことを話していました。」
「そうか、ちょっとまってろ、片付けたらコーヒーを入れてやろう、
糸と銃の話は私も聞いておきたい。」

片付け、と言っても、”きれいに”で済む。
コーヒーは彼女が入れてくれる方がうまいが、ワイプ達には
私が入れたもので十分だ。

トックスはコットワッツに移住を決めたので、セサミナたちと一緒に帰る予定だ。
ジットカーフの店にはもう何も残っていない。別に近所付き合いをしているわけではないので
戻る必要もないし、毛皮を探して数か月店を閉めることもあるのでないも思わないだろうといっていた。
ルグとドーガーは下で領の仕事か?

「兄さん、それは?」
「ああ、ルグたちは仕事をしてるんだろ?トックスも。
セサミナ、持って行ってやれ。」

菓子とコーヒーが入ったポットを渡す。
「ありがとうございます。兄さんは姉さんみたいですね?
移動でいけるかな?」

笑いながら移動したようだ。

「ありがとうございます、喜んでいました。」
「そうか。で?」

「銃の話だ。モウ、彼女がライガーに話していただろう?
あれは彼女の経験談なのか?」
「彼女の故郷の話だ。彼女の住んでいたところでは銃は国が禁止していたようだが、
別の国ではみなが普通に持っているそうだ。
物語の中でも普通に出てくる。ドーガーあたりに話したものもそうだ。」
「姉さんは銃を普通に扱っていませんでしたか?
持ち方も、構えも。ルカリアのテレンスも感心していた。」
「ああいうおもちゃがあるそうだ。それで子供のころ遊んでいたそうだ。」
「銃のおもちゃ?やはり彼女の故郷は、何と言いますか」
「ここでも同じだろう?剣のおもちゃ、槍のおもちゃ。
銃が普及すれば銃のおもちゃも出てくる。」
「会議では彼女の話していた危険性は一切出てこなかった。
話を聞いていたライガーも出ていたがな。画期的、その話ばかりだ。」
「そうだろうな。
剣も槍も棒も、危険性の話なぞでない。同じだ。
ああ、ただ、あの時ライガーか?あの男は”糸も同じだろう”と。
剣も同じだろうというのならわかる。なのに、”糸”を引き合いに出していた。
彼女に言わせれば、関連性はあると考えたほうがいいんだろうな。」
「銃と糸?」
「ルカリアとマトグラーサ、この2国の関連性だろうな。」
「わかりませんね。資産院にいる蜘蛛ですが、糸を作り続けています。
砂漠石と小さな虫を入れていますが、両方食べているようで。
トックス殿の見立てでは最初にもらった糸と2度目にもらった糸、これは縒りが違うそうです。
2度目と3度目はおなじ。蜘蛛がつくり続けている糸も同じだそうです。
その違いはわたしにはわかりませんが。」
「1度目はカラームが使った糸だろ?2度目はマトグラーサ、3度目はおなじマトグラーサだ。」
「マティスとの試合中に彼女はカラームに譲ったものとはちがうと言っていた。
試合が終わっても、マトグラーサの2人は眠っていない。」
「糸を使った2人はもちろん、マトグラーサは糸なぞしらないとの一点張り、
糸を引き合いに出したライガーとやらをつついてみましょうか?」
「ライガーはルクリア領主の甥にあたります。次期領主との声も上がっている。」
「子はいないのか?」
「もちろんいますよ。もともとライガーの父君が領主だったんですが、
早くに亡くなり、その兄にあたるテレンスが引き継いたんです。そのとき、まだライガーは幼かったので。
次の銃の大会がうまく終わればライガーが領主になるのでしょう。
わたしよりも若い領主の誕生ですよ。」
「どうだろうな、あれがやすやすと領主の座を引き渡すとは思えんな。
王都とのつながりが銃という武器で強靭に結ばれたんだ、引き渡す気があれば
今回の大会でもいいはずだ、あれだけ英雄視されたんだからな。」
「ではやはり、ライガーをつついてみましょう。
銃身に使われていた鋼もマトグラーサからでしょうしね。
ルカリアからは鉄は産出されませんから。」
「で?それを軍部のガイライと資産院のワイプが話すのはわかるが、
セサミナは関係ないだろ?巻きこむな。セサミナも首を突っ込むなよ?」
「ええ、そうなんですが、姉さんの憂いを少しでも理解しておきたい。」
「そんなことでお前が傷つくことがあればそちらの方が彼女は嘆き悲しむ。
そうなれば今度は私が許さないぞ?何もかも無くしてしまうからな。」
「ええ、兄さん、わかっています。」
「マティス君、そうならないように話ているんですよ?
物を知っているか知っていないかで、次の手が打てる。
彼女も言っていたでしょ?問題が見えてからの対策は遅いと。」
「そうだが、それで、お前達が傷ついてしまったら元も子もない。」
「お前達?わたし達も入るのですか?」
「ガイライは入るだろう、彼女の母親は全力で母だったそうだ。
それを自分の子にしてあげたいと思っていたが機会がなかったと。
だから自分を母と呼ぶガイライにしてあげたいとな。
だが、話に聞く彼女の母君は恐ろしいぞ?
彼女自身も言っていた、怒らせると世界が終わるとな、ガイライ気を付けろ?」
「はははは!ああ、気を付けよう。」
「ワイプは残念ながら彼女の師匠だ。だがそれもすぐに終わる。
槍術はお前から10本中5本とってからだといったらしいな?
次にするときは10本中10本彼女が取る。
そうなればお前が彼女の弟子だ。」
「兄さん、そうなると姉さんは逆にワイプ殿を庇護下に置きますよ?」
「!」
「彼女の弟子になるのも悪くないですね。」
「ははは!マティス、そうなったとして、そのあとに槍術を教えるのか?」
「・・・そうだ。ガイライも舞っただろう?拳で。
私は剣で舞った。槍でも舞ってみたい。」
「ああ、なるほど。どちらにしろ、わたしから10本中5本取ってからですからね、槍術を始めるのは。
期待していますよ。」
「身の回りの整理はしておくんだな。」

後は、彼女との手合わせ後の話を聞いた。
私の読みも甘いもんだ。
ニックがいればどうなっていただろうか。
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