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288:温泉
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息が上がることなく、勝ち負けがつくわけでなく、
剣の舞は終わった。
「はー、気持ちよかった。マティスありがとう。」
「ああ、素晴らしかった。ありがとう、愛しい人。」
3人のところに戻って、ガイライに聞いてみる。
「ガイライ?どうだった?こんなんで、お祝いになるの?」
「ああ、モウ、我が主。ありがとうございます。」
「うふふ。ガイライが喜んでくれるならよかった。
あ、あとね、爆笑ものと号泣ものがあるよ?
よかったら披露しようか?爆笑ものはね、20リング稼いだんだよ?すごい?」
「え?なにをしたんですか?20リング?」
「そうなの。歌って踊って。マティスと2人で。」
「え?舞を舞たんですか?今の?」
「いまのじゃないよ。歌って踊って。みたい?」
「愛しい人、やめておけ。ガイライは隊長になったんだ。
いつ何時発作が起こるかもしれん、くっ。私でさえ、つらいんだ。
戦場では死ぬぞ?」
「え?それはダメだ。じゃ、号泣もので。」
「はぁ。」
師匠とガイライは卵と乳を持ってきてくれていた。
肉は狩ればいいが、この2つはそうもいかない。
砂漠のウッドデッキを湖の上に展開する。
贅沢だ。ニックさんはいいのだろうか?
ちょっと放心しているからいいだろう。
そこですき焼きをする。
宿には一応今日は戻らないと連絡を師匠にしてもらう。
戻ってきたら、暖かい地面の一番熱いところを掘ってみる。
そのあいだ、マティスはすき焼きの準備。
わたしとガイライと師匠で地面を掘る。
気付いたニックさんも何やってるんだと手伝ってくれた。
「やった、出た!」
思った通り、河原を掘って温泉がでるようなところだ。
んー、でも、泥水。ろ過したい。
樹石の軽石か!
「ニックさん?ここって樹石の燃えた後の軽石ってどうしてます?
みたところあんまり使ってないようですけど?」
「ああ、ここでは砕いてまでは使わないな。
辺境は木材や石がない代わりに
使ってるけどな。ここらでは、そのまま捨ててるな。」
「そうか。どっかにないですかね?燃えた後の樹石って。」
「湖に沈んでる。使わなくなったのはここに捨てているよ。」
「おお!ここの湖ってぬるいですよね?なんでか知ってます?」
「いや、昔から樹石の燃え残りを捨ててるから、
それで温いんだろうって言われてるがな。」
「そうか。んー。」
「どうしました?モウ?あなた、露天風呂というのを作りたいんでしょ?
これがそうなんですか?ちょっと泥がひどいですよ?」
「うん。ここに樹石の軽石を敷き詰めてろ過したい。
端の村ではそうやってろ過してた。
湖から軽石引きあげて、蜘蛛の唾液で固める。」
「唾液?蜘蛛の?」
「そう、あの、砂玉ね、分離をかけたら、
砂と鉱物となんか、油みたいなのに別れたの。
それを軽石を敷き詰めたものに掛けたら固まるかなって。砕いてもいいけど、
ちょっと岩肌があったほうが、露天風呂らしいから。」
「はー、またあなたは面白いこと言いますね。いいんじゃないですか?
ああ、ニック殿?大丈夫でしょう。」
「そう?師匠がいうんならいいかな。マティスが嫌な気を飛ばすから。」
「ああ、ニック?先程の殺気は?モウにあれ以上のものを出せは
わたしとて黙っていないぞ?」
「ああ、モウちゃん、ほんとごめんな。
異国っていうに拒否反応が出るだけなんだ。
南でなちょっといろいろあったからな。」
「そうなんですか。そうか、南と戦争状態って聞いてます。
わたしも気軽に異国って言わないようにします。」
「モウ、あなたは異国だといったほうがいいですよ?そのほうがいい。」
「ん?じゃ、それは臨機応変で。でね、ニックさん?
わたしいまから石使いなことしますけど、へんに思わないでね?」
「いや、変もなにも、モウちゃん、すでに変だろう?」
「うーわー。」
「ニック!!お前の飯はない!帰れ!!」
あ、今度のはいつものだ。じゃ、大丈夫だ。
「うるさい!マティス!お前も変だ!2人揃って変だ!」
「ん?2人揃って?ならいいな。」
「やっぱり変だ。」
「マティスはああ、なんで。じゃ、いきますよ~。」
集めておいた、蜘蛛の唾液も出しておく。
『暖かき水よ、しばし沈まれ。
湖底に沈み長き眠りにつきし樹石、今一度我の声で目覚めておくれ。
土を固めよ、暖かき水のみ我が身を通せ。
互いの結びつきは我に任せよ!』
ちょっと厨二病を発動した。
湖底から飛び出した白い軽石が、掘った穴を埋めていく。
『蜘蛛のしずくよ、石を固めよ!』
埋まったら、蜘蛛の唾液を振りかける。
『薄く広がれ!!』
どうだ!じゃーん!露天風呂!!いいねー。
どんどん湧き出すから排水は湖に。
温度もいい感じ。
『すごいよ!君たち!もうね、
リゾートとは何たるかを全身で表現してるね。
月間リゾートって本があれば、もう巻頭カラー20ページ特集!!
増版間違いなし!素晴らしい!!』
「マティスー!!見てー!!」
「いいな!なるほど。雪の日にここに入ろう。」
「うん。いいね。」
「モウちゃん?なに?石使い?」
「そうそう。そんな感じ。さ、ごはんにしよう。
ガイライの昇進祝いだからね。」
「ガイライ!昇進おめでとう!たいへんだと思うけど頑張ってね!」
「ありがとう。モウ。」
「うん。ただ、生意気なことを言わせてもらうと、
強いとか、弱いとかは置いといて、
気持ちが弱いね。
派遣組って笑ったり、
儲かりそうだからドーガーに次席を変われって言ったり、
ずるいことして予選に残ろうとしたり、
んー、わたしが思っていた騎士、軍人じゃないな。
命懸けで領民をまもれとかそんなことを言ってるんじゃないよ?
もっと、自分の力に自信をもってほしいな。奢るのではなく。
師匠の実力をまず見抜けないのが問題だよね。
師匠の実力がすごすぎてわからないの仕方がないけど。
もちろん、わたしもわかんなかったけどね?その、プロじゃん。
んー、玄人さん?本職?プロ意識はがないのかなーって。
ああ、ほんと生意気だ。うん。ごめん。」
「いえ、そのお言葉、ありがたく。」
「あとで、あの話をしてやればいい。」
「ああ、理想論ね。うん。とにかく、食べよう。
ニックさん、お肉好き?生卵大丈夫?」
「うまい!!サイの肉?すごい!この酒に合う!!」
ニックさん絶賛でした。
「うまいなー。これはウリだろ?
こんな食べ方もあるんだな。すごいな。」
「ハムとウリ、驚きですね。あれですよ、甘いのとしょっぱいの。
恐ろしい組み合わせです。」
「うん、この組み合わせはきっとデイでもっとおいしくすると思うよ。」
「そうですか?食の大会は諸外国にも宣伝するそうなので
参加してくれるかもしれませんね。」
「ああ、それいいですね。ちょっとセサミンのとこ顔出そうか?」
「ああ、かまわないぞ?あとはのり?だけだろ?コリコリはいいしな。」
「あ!コリコリ!部屋に置いたままだ。
いい状態だったぞ。きれいに取れてる。脚が。
あれは塩水で洗って、少し干すんだ。そのあと炙ればいいんだ。
軍でメイガを掴めても、脚がきれい状態なんてないからな。
なかなか食べれんもんなんだよ。
ちょっと待ってろ、すぐ取ってくる。
ここで食べたほうがうまいから。」
「ああ、ちょうどいいかな。ニックさん?
わるいけど、軍に戻ってもらおう。
ガイライはいいとして3番さんではちょっと荷が重い。
ガイライ?どう思う?」
「ああ、さすが母さんだ。ええ、わたしもそのつもりです。」
「ん。じゃ、まず、説得してみ?」
「はい。ニック、軍に戻ろう。いや、戻れ。」
「・・・何を言ってる?」
「は!白々しい。あれだけの軍の機密を黙って、いや、積極的に、
質問もしながら聞いたんだ、懐かしい呑み会で済むわけがないだろ?
それとも本当に耄碌したのか?そんなことはないだろ?
普段なら話が始まる前に止めたはずだ。
俺は聞けないとな。戻るんだ。
どちらにしろあれだけのことを聞いたんだ、いやなら牢屋行きだ。」
「えー。母ちゃんショック。そんな言い方ないんじゃないの?
もっと、お前が必要だとかなんとか。そんな上から目線なんて。
そんな子に育てた覚えはありませんよ!」
「え!母さん!これは仕方がないことです!そんな!」
「モウ、あなたならどうしますか?」
「んー、師匠直伝の飴と鞭ですかね?」
「なるほど。鞭はいいとして飴は?」
「うん。ニックさん?ダメですか?どうして?
ニバーセルがダメ?あの匂いが?あ、これは仕方がないけど、
気を纏えばいい。あの妖精がだめ?それにうつつを抜かす王がダメ?
あー、あれか、中央院の困ったちゃん?
あれが生理的に受け付けないとか?」
「中央院院長はあなたと会ったことはお忘れです。記憶がなかった。」
「おお、素晴らしい。忘却は自己防衛の最強だ。いいんじゃない?
嫌なことは忘れればいい。」
「・・・モウちゃん、忘れることが出来なければ?
ずっと、思い出して身動きできなければ?
ずっと苦しい想いをしているなら?」
「ん?それで息ができないの?ご飯が食べれないの?笑うこともできない?
誰かが死んじゃうの?」
「いいや、息もできるし、飯も食える。笑いもするし、誰もしなない。」
「じゃ、いいじゃん。それが?」
「でも、苦しんだ!!」
「自分だけ苦しいんでしょ?だったらいいじゃん。
耐えられるでしょ?」
「・・・・は!ははははは!そうか!耐えられる。
自分が苦しいだけだ。確かにな!!あはははは!」
「ね?でも、今、ニックさんが軍に戻ってくれないと、
うちの子が苦しむの。
だめでしょ?だから戻ってね。」
「ああ、わかった。ガイライ、戻るよ。戻らせてくれ。俺は舞いたいんだ。
軍を離れて、ずーと苦しかった。そう、俺だけが。でも、耐えれる。
耐えてきた。大丈夫だ。」
「ニック。そうか、ありがとう。
モウ、母さん。さすがですね。我が主。ありがとうございます。」
「でも、苦しいのはつらいね。それ苦しさはどうにかできるもの?」
「大丈夫だ。ああ、本当だ。」
「そう?じゃ、ちょっとご褒美に飴をあげようね。」
気配の隠匿、気配消し、砂漠石の事、移動の事。
人としての倫理。縛り。
ここまでを話し、
ガイライとワイプ師匠は最初はわたしが呼び寄せたという。
「そうか、そうなんだ。
いくら何でも軍の大将が単独でここに来るわけがない。
小隊が来た話も聞かない。
暗部が来てもわかる手筈になってるのに、おかしいと思った。
そうか、移動と呼び寄せか。
俺にもできるか?」
「んー、やってみないと何とも。そのコリコリ?
呼べる?必要でしょ?どこにあるかわかるよね。それをここに。
呼んでみて?みなに食べさせたいでしょ。大丈夫、できるから。
命令するように、声色を少し変えて。」
『コリコリ、ここに』
脚が、昆虫の脚が、山と降ってきました。
「ぎゃぃーーーーー!!!!」
剣の舞は終わった。
「はー、気持ちよかった。マティスありがとう。」
「ああ、素晴らしかった。ありがとう、愛しい人。」
3人のところに戻って、ガイライに聞いてみる。
「ガイライ?どうだった?こんなんで、お祝いになるの?」
「ああ、モウ、我が主。ありがとうございます。」
「うふふ。ガイライが喜んでくれるならよかった。
あ、あとね、爆笑ものと号泣ものがあるよ?
よかったら披露しようか?爆笑ものはね、20リング稼いだんだよ?すごい?」
「え?なにをしたんですか?20リング?」
「そうなの。歌って踊って。マティスと2人で。」
「え?舞を舞たんですか?今の?」
「いまのじゃないよ。歌って踊って。みたい?」
「愛しい人、やめておけ。ガイライは隊長になったんだ。
いつ何時発作が起こるかもしれん、くっ。私でさえ、つらいんだ。
戦場では死ぬぞ?」
「え?それはダメだ。じゃ、号泣もので。」
「はぁ。」
師匠とガイライは卵と乳を持ってきてくれていた。
肉は狩ればいいが、この2つはそうもいかない。
砂漠のウッドデッキを湖の上に展開する。
贅沢だ。ニックさんはいいのだろうか?
ちょっと放心しているからいいだろう。
そこですき焼きをする。
宿には一応今日は戻らないと連絡を師匠にしてもらう。
戻ってきたら、暖かい地面の一番熱いところを掘ってみる。
そのあいだ、マティスはすき焼きの準備。
わたしとガイライと師匠で地面を掘る。
気付いたニックさんも何やってるんだと手伝ってくれた。
「やった、出た!」
思った通り、河原を掘って温泉がでるようなところだ。
んー、でも、泥水。ろ過したい。
樹石の軽石か!
「ニックさん?ここって樹石の燃えた後の軽石ってどうしてます?
みたところあんまり使ってないようですけど?」
「ああ、ここでは砕いてまでは使わないな。
辺境は木材や石がない代わりに
使ってるけどな。ここらでは、そのまま捨ててるな。」
「そうか。どっかにないですかね?燃えた後の樹石って。」
「湖に沈んでる。使わなくなったのはここに捨てているよ。」
「おお!ここの湖ってぬるいですよね?なんでか知ってます?」
「いや、昔から樹石の燃え残りを捨ててるから、
それで温いんだろうって言われてるがな。」
「そうか。んー。」
「どうしました?モウ?あなた、露天風呂というのを作りたいんでしょ?
これがそうなんですか?ちょっと泥がひどいですよ?」
「うん。ここに樹石の軽石を敷き詰めてろ過したい。
端の村ではそうやってろ過してた。
湖から軽石引きあげて、蜘蛛の唾液で固める。」
「唾液?蜘蛛の?」
「そう、あの、砂玉ね、分離をかけたら、
砂と鉱物となんか、油みたいなのに別れたの。
それを軽石を敷き詰めたものに掛けたら固まるかなって。砕いてもいいけど、
ちょっと岩肌があったほうが、露天風呂らしいから。」
「はー、またあなたは面白いこと言いますね。いいんじゃないですか?
ああ、ニック殿?大丈夫でしょう。」
「そう?師匠がいうんならいいかな。マティスが嫌な気を飛ばすから。」
「ああ、ニック?先程の殺気は?モウにあれ以上のものを出せは
わたしとて黙っていないぞ?」
「ああ、モウちゃん、ほんとごめんな。
異国っていうに拒否反応が出るだけなんだ。
南でなちょっといろいろあったからな。」
「そうなんですか。そうか、南と戦争状態って聞いてます。
わたしも気軽に異国って言わないようにします。」
「モウ、あなたは異国だといったほうがいいですよ?そのほうがいい。」
「ん?じゃ、それは臨機応変で。でね、ニックさん?
わたしいまから石使いなことしますけど、へんに思わないでね?」
「いや、変もなにも、モウちゃん、すでに変だろう?」
「うーわー。」
「ニック!!お前の飯はない!帰れ!!」
あ、今度のはいつものだ。じゃ、大丈夫だ。
「うるさい!マティス!お前も変だ!2人揃って変だ!」
「ん?2人揃って?ならいいな。」
「やっぱり変だ。」
「マティスはああ、なんで。じゃ、いきますよ~。」
集めておいた、蜘蛛の唾液も出しておく。
『暖かき水よ、しばし沈まれ。
湖底に沈み長き眠りにつきし樹石、今一度我の声で目覚めておくれ。
土を固めよ、暖かき水のみ我が身を通せ。
互いの結びつきは我に任せよ!』
ちょっと厨二病を発動した。
湖底から飛び出した白い軽石が、掘った穴を埋めていく。
『蜘蛛のしずくよ、石を固めよ!』
埋まったら、蜘蛛の唾液を振りかける。
『薄く広がれ!!』
どうだ!じゃーん!露天風呂!!いいねー。
どんどん湧き出すから排水は湖に。
温度もいい感じ。
『すごいよ!君たち!もうね、
リゾートとは何たるかを全身で表現してるね。
月間リゾートって本があれば、もう巻頭カラー20ページ特集!!
増版間違いなし!素晴らしい!!』
「マティスー!!見てー!!」
「いいな!なるほど。雪の日にここに入ろう。」
「うん。いいね。」
「モウちゃん?なに?石使い?」
「そうそう。そんな感じ。さ、ごはんにしよう。
ガイライの昇進祝いだからね。」
「ガイライ!昇進おめでとう!たいへんだと思うけど頑張ってね!」
「ありがとう。モウ。」
「うん。ただ、生意気なことを言わせてもらうと、
強いとか、弱いとかは置いといて、
気持ちが弱いね。
派遣組って笑ったり、
儲かりそうだからドーガーに次席を変われって言ったり、
ずるいことして予選に残ろうとしたり、
んー、わたしが思っていた騎士、軍人じゃないな。
命懸けで領民をまもれとかそんなことを言ってるんじゃないよ?
もっと、自分の力に自信をもってほしいな。奢るのではなく。
師匠の実力をまず見抜けないのが問題だよね。
師匠の実力がすごすぎてわからないの仕方がないけど。
もちろん、わたしもわかんなかったけどね?その、プロじゃん。
んー、玄人さん?本職?プロ意識はがないのかなーって。
ああ、ほんと生意気だ。うん。ごめん。」
「いえ、そのお言葉、ありがたく。」
「あとで、あの話をしてやればいい。」
「ああ、理想論ね。うん。とにかく、食べよう。
ニックさん、お肉好き?生卵大丈夫?」
「うまい!!サイの肉?すごい!この酒に合う!!」
ニックさん絶賛でした。
「うまいなー。これはウリだろ?
こんな食べ方もあるんだな。すごいな。」
「ハムとウリ、驚きですね。あれですよ、甘いのとしょっぱいの。
恐ろしい組み合わせです。」
「うん、この組み合わせはきっとデイでもっとおいしくすると思うよ。」
「そうですか?食の大会は諸外国にも宣伝するそうなので
参加してくれるかもしれませんね。」
「ああ、それいいですね。ちょっとセサミンのとこ顔出そうか?」
「ああ、かまわないぞ?あとはのり?だけだろ?コリコリはいいしな。」
「あ!コリコリ!部屋に置いたままだ。
いい状態だったぞ。きれいに取れてる。脚が。
あれは塩水で洗って、少し干すんだ。そのあと炙ればいいんだ。
軍でメイガを掴めても、脚がきれい状態なんてないからな。
なかなか食べれんもんなんだよ。
ちょっと待ってろ、すぐ取ってくる。
ここで食べたほうがうまいから。」
「ああ、ちょうどいいかな。ニックさん?
わるいけど、軍に戻ってもらおう。
ガイライはいいとして3番さんではちょっと荷が重い。
ガイライ?どう思う?」
「ああ、さすが母さんだ。ええ、わたしもそのつもりです。」
「ん。じゃ、まず、説得してみ?」
「はい。ニック、軍に戻ろう。いや、戻れ。」
「・・・何を言ってる?」
「は!白々しい。あれだけの軍の機密を黙って、いや、積極的に、
質問もしながら聞いたんだ、懐かしい呑み会で済むわけがないだろ?
それとも本当に耄碌したのか?そんなことはないだろ?
普段なら話が始まる前に止めたはずだ。
俺は聞けないとな。戻るんだ。
どちらにしろあれだけのことを聞いたんだ、いやなら牢屋行きだ。」
「えー。母ちゃんショック。そんな言い方ないんじゃないの?
もっと、お前が必要だとかなんとか。そんな上から目線なんて。
そんな子に育てた覚えはありませんよ!」
「え!母さん!これは仕方がないことです!そんな!」
「モウ、あなたならどうしますか?」
「んー、師匠直伝の飴と鞭ですかね?」
「なるほど。鞭はいいとして飴は?」
「うん。ニックさん?ダメですか?どうして?
ニバーセルがダメ?あの匂いが?あ、これは仕方がないけど、
気を纏えばいい。あの妖精がだめ?それにうつつを抜かす王がダメ?
あー、あれか、中央院の困ったちゃん?
あれが生理的に受け付けないとか?」
「中央院院長はあなたと会ったことはお忘れです。記憶がなかった。」
「おお、素晴らしい。忘却は自己防衛の最強だ。いいんじゃない?
嫌なことは忘れればいい。」
「・・・モウちゃん、忘れることが出来なければ?
ずっと、思い出して身動きできなければ?
ずっと苦しい想いをしているなら?」
「ん?それで息ができないの?ご飯が食べれないの?笑うこともできない?
誰かが死んじゃうの?」
「いいや、息もできるし、飯も食える。笑いもするし、誰もしなない。」
「じゃ、いいじゃん。それが?」
「でも、苦しんだ!!」
「自分だけ苦しいんでしょ?だったらいいじゃん。
耐えられるでしょ?」
「・・・・は!ははははは!そうか!耐えられる。
自分が苦しいだけだ。確かにな!!あはははは!」
「ね?でも、今、ニックさんが軍に戻ってくれないと、
うちの子が苦しむの。
だめでしょ?だから戻ってね。」
「ああ、わかった。ガイライ、戻るよ。戻らせてくれ。俺は舞いたいんだ。
軍を離れて、ずーと苦しかった。そう、俺だけが。でも、耐えれる。
耐えてきた。大丈夫だ。」
「ニック。そうか、ありがとう。
モウ、母さん。さすがですね。我が主。ありがとうございます。」
「でも、苦しいのはつらいね。それ苦しさはどうにかできるもの?」
「大丈夫だ。ああ、本当だ。」
「そう?じゃ、ちょっとご褒美に飴をあげようね。」
気配の隠匿、気配消し、砂漠石の事、移動の事。
人としての倫理。縛り。
ここまでを話し、
ガイライとワイプ師匠は最初はわたしが呼び寄せたという。
「そうか、そうなんだ。
いくら何でも軍の大将が単独でここに来るわけがない。
小隊が来た話も聞かない。
暗部が来てもわかる手筈になってるのに、おかしいと思った。
そうか、移動と呼び寄せか。
俺にもできるか?」
「んー、やってみないと何とも。そのコリコリ?
呼べる?必要でしょ?どこにあるかわかるよね。それをここに。
呼んでみて?みなに食べさせたいでしょ。大丈夫、できるから。
命令するように、声色を少し変えて。」
『コリコリ、ここに』
脚が、昆虫の脚が、山と降ってきました。
「ぎゃぃーーーーー!!!!」
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