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352:ただそれだけ
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海に月が沈む。
明日が会わずの月の日だから、かなり離れて、2つの月が。
「きれいだね。合わさりの月の日だと、もっと明るく沈んでいくんだね。
いま、2本の光の道が出来てるけど、その時は1本なんだ。
歩いてみようね、海の上を。」
「それは楽しそうだ。」
「うん。」
月が沈むとモモがかなりの数打ち上げられた。
打ち上げられてすぐに拾わないと、また波がさらっていく。
移動でほぼ全部拾いあげる。
今日はこのままこの砂浜で過ごす。
のりの乾燥。
モモの仕込み。
佃煮とコンポートだ。
竹で籠を編んでいった。
「こういうのは母さんが得意だったの。」
あとは、なにをつくろうか?
乾燥した竹がまだあるから竹炭を作ろう。
高温で燃やせばいいんだよね?
樹石の軽石状態のもので窯を作り、樹石で燃やす。
ダメもとだ。
のこり、半分も積み上げて乾燥しておこう。
お昼のご飯は、これでお米を炊いてみようかな。
「それで?」
「そうそう。おいしいらしいよ。それとコップも作ろう。」
キャンプに来たみたいだ。
竹で縁台やテーブルを作り、筏もつくる。
「ほら、こういうのを筏っていうのよ、ほんとうはね。
よかった、浮くね。」
「これはいいな。ブラスの使い道は燃料だけだとおもったが。
いろいろ利用できて芽も食べられるのだろ?
お前が言う素晴らしい素材というものか?」
「いやー、難しいね。こういう使い方がありますよと言っても
手入れするほうが手間じゃないのかな?
伐採して乾燥してるものがあるから燃料として買うけど、
たぶんかなり安いんだよ。
訓練というただの労働力があるから買う。
訓練でできたものでお金になるから売るってことで。
メイガも同じかな?ただの労働力だからだ。
実際に商売としてするには労力がかさむだけで売れないね。
1銀貨なら買うけど、10リングじゃいらないってところかな?」
「そうか、ただの労働力、軍の訓練。なるほどな。」
「この筏をメイガを掴めるのに使ったり、
樹石を取るのに使うってのはいいかもしれないけど、
それはピクトとイリアスとの話だ。わたしはそこまで親切じゃないからね。」
「端の村にも教えないのか?」
「そこまでお互いが親切じゃないよ?
たぶん、湿地に入って樹石をとる方法も、ずぶずぶはいっていくんじゃなくて
なんか方法はあるはずだよ?でも、教えてくれなかったでしょ?
一カ所でとらないでっていう注意だけだった。
そういうのは秘密なんだよ。」
「あれだけお前が良くしているのに?」
「ちがうよ?良くしてもらってるのはわたしたちだ。
その分はその都度返している。
行商であんなに品物が売れるのは村長が口添えしてるからだよ。」
「そうか、そうだな。」
「樹石のことは教えたのは気前よくお風呂に入れてくれたからだ。
水不足なのにね。それだけだよ。」
「・・・・。」
「嫌いな人たちではないよ。いい人たちだ。
村長さんところ、子供さんいてないでしょ?
あれ、村長さんが遠慮してたんだよ。ニックさんのことで。
きっと子供の時に接したニックさんをほめ倒してたと思うよ?
だから村長さんはどこか遠慮してたんだろうね。
でも、それが忠義の何物でもなかったってわかたんだよ。
ニックさんも気付いたと思うよ。友達としてこれからも安心だって。
だから花をあげたんだ。村長さんにね。奥さんにどうぞってね。
きっと、雨の日に契をかわすよ、いいね。
来年の雨の日には子供が生まれてる。
奥さん、若いもの。わざと廻りに合わせてるけどね。」
「そうか、そういうことなのか。」
「わたしたちの付き合いは行商人と村長さんだ。デイもね。
ああ、でも、子供が生まれたり、
テムローサが成人したり、結婚したらお祝いはするかな。
それは故郷では普通の付き合いだ。」
「ここではしないな。」
「そうみたいだね。次に訪れた時にそうだったら祝えばいいよ。
なんたって、大陸中の砂漠を廻るんだから。
そうそう行商にも行ってられない。」
モモを剥き、貝を割り、身をだし、コールオリンを探す。
前回もらったモモには入ってなかった。
今回は当たりだ。合計10個、コールオリンが取れた。
100個近いモモからだから10個に1個か。
海蜘蛛がいないんだ、
身を守るためのコールオリンを作る必要がないと気付いたのだろうか?
わからないな。
竹で焚いたご飯は、とてもおいしい。
残念ながら竹の香りが移っておいしいとかではない。
が、こいうのはなんでもおいしいのだ。
ちょっとおこげができたけど。モモのむき身もあるので、
さっと湯がいて、その汁で焚いたのだ。
身はかるくお醤油で味付け。
炊きあがりに混ぜた、モモの身の混ぜご飯。
あとはバター炒めも。うまい。
削ってスプーンも作る。
「これ、歯ブラシの柄にいいかもね。」
「それはセサミナに教えるのか?」
「もちろん。これは商売になるからね。
ボルタオネで間伐材が安く入るならそれでいいし、
こっちが安いんならこれを利用してもいい。
こういうのがあるよって教えるだけだけどね。それが商売になるのよ。
豚の毛皮だって、それを仕入れて、売るわけでしょ?
それも商売。」
「そうだな。行商か。それがいい仕事かもしれないな。」
「うん。いいね。だったら、ブラスの筏をイリアスに売るのもいいかもしれないね。
作るのは面倒だけど。その方法を売ればいいね。
コットワッツの湿地で試してからだ。」
それから月が昇る時間まで、
今日は昇らないのだが、のりの乾燥具合を確認したり、
味付けのりを作ったり、焼きのりにしたり。
竹細工を2人で作ったり。
筏で海に繰り出したり。
そうなると、海の上で星を見ようということになった。
波は静かだから大丈夫かとおもったが、ダメでした。酔う。
たっぷんたっぷん。だめ。
ブラスを支柱にして、海底に固定。ああ、南の海のリゾートみたい。
寒さは砂漠石のドームで。
いつものクッションを出し、からだを沈める。
また 星たちを賛美するときが来た。
海の波が止まる。
潮の満ち引きがなくなったのだ。
満天の星空が海にも広がる。
「・・・・。」
言葉が出ない。
これをマティスと2人で見れたことを感謝した。
ただ、それだけだ。
どれくらい経っただろうか。
月無し石が騒ぎ出す。
この砂浜に来てから、まさにリゾートを満喫するように、
勝手にどこかに行っていた。
戻ってきて休憩できるように、タオルは置いてある。
あと、おいしい水も。
海ばかりを見ていたので、
後ろの砂浜を見ると、砂と海水の境界が所々光っている。
ここの月無し石たちか?
砂のあるところにいるということか。
小さい。
小さな月無し石。
これもきれいだ。
生まれたばかりなのだろうか?
また、わたしたちについてくるという。
はいはい、好きにしてください。
あとは静かに、静かに過ごした。
マティスのリュートが奏でる音、わたしの声なき声。
ただそれだけ。
40時間の星空。
やはりおなかは減るので、グーナさんに教えてもらった肉料理、
村長さんのレバー料理などなどを作ってもらう。
わたしは餡バターパンなど。
デザートはモモ。何もしなくても甘い。
もちろん海苔も完成。
乾燥させたままのものがうまうま籠の商品だ。
これはスーたちの意見を聞こう。
メイガの赤粉で味付けるのもいいかもしれない。
マティスには味付けのりが好評だ。
昆布出汁、醤油、日本酒、ちょっとの樹脂蜜。
これを薄く塗って、乾燥。樹石で炙る。
おにぎりにぴったり。
そこからなぜか避妊具の話になった。
なんだ?おにぎりの海苔は手が汚れないとか?
そこからの話だったか?
「ゴム、スキン、コンドームだね。
ゴムをうすーくして、男の人のその物にかぶせるの。
で、出す、種ね、それがそこにたまると。
厳密には行為の最初からつけていないと意味ないとかね。
最初に濡れてくる、男の人がね、その中にも種、精子は含まれているからね。
女の人の排卵が雨の日限定だから、
男の人も雨の日に出すものだけに精子が入っているのかもね。
これはさすがにわたしもわからんけどね。
要は受精しなければいいということだよね。
精子が卵子に到達するのを阻止すると。」
「なるほど。では、出した後移動すればいいと?」
「え?あ、そうか、そうなるね。え?なんでそんなこと聞くの?」
「雨の日も抱きたい。両方で。」
「・・・両方。」
「ダメか?」
「いや、ダメではないけど、理屈はそうなんだけど。
うん。そうだね。そうしてください。」
「ありがとう。」
「あははは、ありがとうなんだ。そういえばさ、
雨の日は娼婦の休日っていうけど、
それって、自分が男の人のところに行くからってこと?」
「そうだ。娼婦は自分の家での商売だ。
雨の日に男の家に行くのならもう娼婦ではないな。」
「なるほど。あの娘さんたちがね、
やっぱり自分が男の人の家に行くのがいいって言ってたからね。
あの人たちも娼婦っていう括りになるんでしょ?」
「男たちが通っていたのならな。」
「なるほど。彼氏がいるかいないか、か。」
「?」
「言葉が違うからね。意味と。ここの言葉を教えて?」
そこから言葉を理解を解いて、物の名前を教えてもらう。
食べ物は味優先、物の名前は本質か。
「ごはん、おいしい。いつもありがとう。」
「ああ、愛しい人、愛している。」
「わたしもマティス、愛している。」
たどたどしいが、大丈夫だ。
モモはロロ、魚はタリアという音だ。
ダーリンとハニーはそのままの音で、
心からの愛しい人という意味に聞こえたから、
お気に入りとなったようだ。
うん、それは間違いはない。
が、わたしがダーリンと、マティスを呼んでいた時、
廻りは心から愛しい人と呼んでいたことになる。
恥ずかしい。
しかし、勉強するというのはいくつになっても楽しいもの。
もう少しで、あたりが明るくなり、星が消えていくのだろろう。
しかし、いまだ、満天の星空。
海水浴から戻ってきた月無し石を拭きながら、
空を見上げている。
「じゃ、師匠のところに行く前に、砂浜で鍛錬やっとこうか?
砂漠と砂浜でなんかちがうかな?」
「砂浜で鍛錬するのは初めてだな。そもそも海には来ないからな。」
軽い、砂が。すぐに沈むのだ、体が。
荷重を倍にすると、ズボっと沈むのだ。
なので、軽く手合わせしただけで終了。
あとは砂の観察だ。
砂の成分の中に鉄、金などの鉱物はなかった。
少し、ピンクっぽいものが多い。モモの殻のかけらだろうか。
コールオリンが砕けているのかもしれない。
あと少し黄色っぽい砂。それと、星砂だ。
お土産もの屋さんでみるものよりでかいし、半透明だ。
「マティス!これ、星砂!星のような形をしてるでしょ?」
砂漠石で作った虫眼鏡で拡大してみる。
「本当だな。ほしか、なるほど。
よく似ている。ほし砂とはいい名前だな。」
「故郷でもあるの。虫の死骸なのよ、故郷ではね。」
「え?虫?死骸?」
「そうそう、こういう生物の死骸が波に運ばれて集まるの。
あ、こう、固くて虫っぽくないのは大丈夫。故郷でもあるから。
でも、これは違うかもしれないね。」
海峡石も砂漠石もない。普通の砂浜だと思ったんだけど。
「少し取っていこうか。セサミナに聞けばいいだろう。」
「そうだね。砂だから、もしかして師匠の蜘蛛、クーちゃんが気にいるかもね。」
そこから、いかにきれいな形のものを集めるか競争となった。
よく見るといろいろな形の砂がある。
貝のようなものはなかった。
クーちゃん用のお土産は収納袋にたっぷり入れよう。
うん、収納できたから生き物ではない。よかった。
2人で選んだ星砂は、普通の小袋に入れた。
海の思い出である。
南から星が消えていく。
その様もきれいだった。
「やっぱり、南から光が出てるんだろうね。
ああ、最後の星が消えた。
この風景を誰も見たことがないっていうのがほんと、不思議だよね。
そういう教育がされているとしても、守らないものはいるはずだよ?
どんな感覚なの?もう、絶対ダメ!っておもうから?」
「ちがうな、会わずの月の日に海を見る、そんなことは考えもしない。
会わずの月の日に外にでることすら考えない。
砂漠に出たのはたまたまだ。
呼ばれたような気がしたから出ただけだ。
そのまま、死ぬんだと思っていた。」
「おお、そうなの?うん、死ななくてよかった。」
マティスをぎゅっと抱きしめた。
明日が会わずの月の日だから、かなり離れて、2つの月が。
「きれいだね。合わさりの月の日だと、もっと明るく沈んでいくんだね。
いま、2本の光の道が出来てるけど、その時は1本なんだ。
歩いてみようね、海の上を。」
「それは楽しそうだ。」
「うん。」
月が沈むとモモがかなりの数打ち上げられた。
打ち上げられてすぐに拾わないと、また波がさらっていく。
移動でほぼ全部拾いあげる。
今日はこのままこの砂浜で過ごす。
のりの乾燥。
モモの仕込み。
佃煮とコンポートだ。
竹で籠を編んでいった。
「こういうのは母さんが得意だったの。」
あとは、なにをつくろうか?
乾燥した竹がまだあるから竹炭を作ろう。
高温で燃やせばいいんだよね?
樹石の軽石状態のもので窯を作り、樹石で燃やす。
ダメもとだ。
のこり、半分も積み上げて乾燥しておこう。
お昼のご飯は、これでお米を炊いてみようかな。
「それで?」
「そうそう。おいしいらしいよ。それとコップも作ろう。」
キャンプに来たみたいだ。
竹で縁台やテーブルを作り、筏もつくる。
「ほら、こういうのを筏っていうのよ、ほんとうはね。
よかった、浮くね。」
「これはいいな。ブラスの使い道は燃料だけだとおもったが。
いろいろ利用できて芽も食べられるのだろ?
お前が言う素晴らしい素材というものか?」
「いやー、難しいね。こういう使い方がありますよと言っても
手入れするほうが手間じゃないのかな?
伐採して乾燥してるものがあるから燃料として買うけど、
たぶんかなり安いんだよ。
訓練というただの労働力があるから買う。
訓練でできたものでお金になるから売るってことで。
メイガも同じかな?ただの労働力だからだ。
実際に商売としてするには労力がかさむだけで売れないね。
1銀貨なら買うけど、10リングじゃいらないってところかな?」
「そうか、ただの労働力、軍の訓練。なるほどな。」
「この筏をメイガを掴めるのに使ったり、
樹石を取るのに使うってのはいいかもしれないけど、
それはピクトとイリアスとの話だ。わたしはそこまで親切じゃないからね。」
「端の村にも教えないのか?」
「そこまでお互いが親切じゃないよ?
たぶん、湿地に入って樹石をとる方法も、ずぶずぶはいっていくんじゃなくて
なんか方法はあるはずだよ?でも、教えてくれなかったでしょ?
一カ所でとらないでっていう注意だけだった。
そういうのは秘密なんだよ。」
「あれだけお前が良くしているのに?」
「ちがうよ?良くしてもらってるのはわたしたちだ。
その分はその都度返している。
行商であんなに品物が売れるのは村長が口添えしてるからだよ。」
「そうか、そうだな。」
「樹石のことは教えたのは気前よくお風呂に入れてくれたからだ。
水不足なのにね。それだけだよ。」
「・・・・。」
「嫌いな人たちではないよ。いい人たちだ。
村長さんところ、子供さんいてないでしょ?
あれ、村長さんが遠慮してたんだよ。ニックさんのことで。
きっと子供の時に接したニックさんをほめ倒してたと思うよ?
だから村長さんはどこか遠慮してたんだろうね。
でも、それが忠義の何物でもなかったってわかたんだよ。
ニックさんも気付いたと思うよ。友達としてこれからも安心だって。
だから花をあげたんだ。村長さんにね。奥さんにどうぞってね。
きっと、雨の日に契をかわすよ、いいね。
来年の雨の日には子供が生まれてる。
奥さん、若いもの。わざと廻りに合わせてるけどね。」
「そうか、そういうことなのか。」
「わたしたちの付き合いは行商人と村長さんだ。デイもね。
ああ、でも、子供が生まれたり、
テムローサが成人したり、結婚したらお祝いはするかな。
それは故郷では普通の付き合いだ。」
「ここではしないな。」
「そうみたいだね。次に訪れた時にそうだったら祝えばいいよ。
なんたって、大陸中の砂漠を廻るんだから。
そうそう行商にも行ってられない。」
モモを剥き、貝を割り、身をだし、コールオリンを探す。
前回もらったモモには入ってなかった。
今回は当たりだ。合計10個、コールオリンが取れた。
100個近いモモからだから10個に1個か。
海蜘蛛がいないんだ、
身を守るためのコールオリンを作る必要がないと気付いたのだろうか?
わからないな。
竹で焚いたご飯は、とてもおいしい。
残念ながら竹の香りが移っておいしいとかではない。
が、こいうのはなんでもおいしいのだ。
ちょっとおこげができたけど。モモのむき身もあるので、
さっと湯がいて、その汁で焚いたのだ。
身はかるくお醤油で味付け。
炊きあがりに混ぜた、モモの身の混ぜご飯。
あとはバター炒めも。うまい。
削ってスプーンも作る。
「これ、歯ブラシの柄にいいかもね。」
「それはセサミナに教えるのか?」
「もちろん。これは商売になるからね。
ボルタオネで間伐材が安く入るならそれでいいし、
こっちが安いんならこれを利用してもいい。
こういうのがあるよって教えるだけだけどね。それが商売になるのよ。
豚の毛皮だって、それを仕入れて、売るわけでしょ?
それも商売。」
「そうだな。行商か。それがいい仕事かもしれないな。」
「うん。いいね。だったら、ブラスの筏をイリアスに売るのもいいかもしれないね。
作るのは面倒だけど。その方法を売ればいいね。
コットワッツの湿地で試してからだ。」
それから月が昇る時間まで、
今日は昇らないのだが、のりの乾燥具合を確認したり、
味付けのりを作ったり、焼きのりにしたり。
竹細工を2人で作ったり。
筏で海に繰り出したり。
そうなると、海の上で星を見ようということになった。
波は静かだから大丈夫かとおもったが、ダメでした。酔う。
たっぷんたっぷん。だめ。
ブラスを支柱にして、海底に固定。ああ、南の海のリゾートみたい。
寒さは砂漠石のドームで。
いつものクッションを出し、からだを沈める。
また 星たちを賛美するときが来た。
海の波が止まる。
潮の満ち引きがなくなったのだ。
満天の星空が海にも広がる。
「・・・・。」
言葉が出ない。
これをマティスと2人で見れたことを感謝した。
ただ、それだけだ。
どれくらい経っただろうか。
月無し石が騒ぎ出す。
この砂浜に来てから、まさにリゾートを満喫するように、
勝手にどこかに行っていた。
戻ってきて休憩できるように、タオルは置いてある。
あと、おいしい水も。
海ばかりを見ていたので、
後ろの砂浜を見ると、砂と海水の境界が所々光っている。
ここの月無し石たちか?
砂のあるところにいるということか。
小さい。
小さな月無し石。
これもきれいだ。
生まれたばかりなのだろうか?
また、わたしたちについてくるという。
はいはい、好きにしてください。
あとは静かに、静かに過ごした。
マティスのリュートが奏でる音、わたしの声なき声。
ただそれだけ。
40時間の星空。
やはりおなかは減るので、グーナさんに教えてもらった肉料理、
村長さんのレバー料理などなどを作ってもらう。
わたしは餡バターパンなど。
デザートはモモ。何もしなくても甘い。
もちろん海苔も完成。
乾燥させたままのものがうまうま籠の商品だ。
これはスーたちの意見を聞こう。
メイガの赤粉で味付けるのもいいかもしれない。
マティスには味付けのりが好評だ。
昆布出汁、醤油、日本酒、ちょっとの樹脂蜜。
これを薄く塗って、乾燥。樹石で炙る。
おにぎりにぴったり。
そこからなぜか避妊具の話になった。
なんだ?おにぎりの海苔は手が汚れないとか?
そこからの話だったか?
「ゴム、スキン、コンドームだね。
ゴムをうすーくして、男の人のその物にかぶせるの。
で、出す、種ね、それがそこにたまると。
厳密には行為の最初からつけていないと意味ないとかね。
最初に濡れてくる、男の人がね、その中にも種、精子は含まれているからね。
女の人の排卵が雨の日限定だから、
男の人も雨の日に出すものだけに精子が入っているのかもね。
これはさすがにわたしもわからんけどね。
要は受精しなければいいということだよね。
精子が卵子に到達するのを阻止すると。」
「なるほど。では、出した後移動すればいいと?」
「え?あ、そうか、そうなるね。え?なんでそんなこと聞くの?」
「雨の日も抱きたい。両方で。」
「・・・両方。」
「ダメか?」
「いや、ダメではないけど、理屈はそうなんだけど。
うん。そうだね。そうしてください。」
「ありがとう。」
「あははは、ありがとうなんだ。そういえばさ、
雨の日は娼婦の休日っていうけど、
それって、自分が男の人のところに行くからってこと?」
「そうだ。娼婦は自分の家での商売だ。
雨の日に男の家に行くのならもう娼婦ではないな。」
「なるほど。あの娘さんたちがね、
やっぱり自分が男の人の家に行くのがいいって言ってたからね。
あの人たちも娼婦っていう括りになるんでしょ?」
「男たちが通っていたのならな。」
「なるほど。彼氏がいるかいないか、か。」
「?」
「言葉が違うからね。意味と。ここの言葉を教えて?」
そこから言葉を理解を解いて、物の名前を教えてもらう。
食べ物は味優先、物の名前は本質か。
「ごはん、おいしい。いつもありがとう。」
「ああ、愛しい人、愛している。」
「わたしもマティス、愛している。」
たどたどしいが、大丈夫だ。
モモはロロ、魚はタリアという音だ。
ダーリンとハニーはそのままの音で、
心からの愛しい人という意味に聞こえたから、
お気に入りとなったようだ。
うん、それは間違いはない。
が、わたしがダーリンと、マティスを呼んでいた時、
廻りは心から愛しい人と呼んでいたことになる。
恥ずかしい。
しかし、勉強するというのはいくつになっても楽しいもの。
もう少しで、あたりが明るくなり、星が消えていくのだろろう。
しかし、いまだ、満天の星空。
海水浴から戻ってきた月無し石を拭きながら、
空を見上げている。
「じゃ、師匠のところに行く前に、砂浜で鍛錬やっとこうか?
砂漠と砂浜でなんかちがうかな?」
「砂浜で鍛錬するのは初めてだな。そもそも海には来ないからな。」
軽い、砂が。すぐに沈むのだ、体が。
荷重を倍にすると、ズボっと沈むのだ。
なので、軽く手合わせしただけで終了。
あとは砂の観察だ。
砂の成分の中に鉄、金などの鉱物はなかった。
少し、ピンクっぽいものが多い。モモの殻のかけらだろうか。
コールオリンが砕けているのかもしれない。
あと少し黄色っぽい砂。それと、星砂だ。
お土産もの屋さんでみるものよりでかいし、半透明だ。
「マティス!これ、星砂!星のような形をしてるでしょ?」
砂漠石で作った虫眼鏡で拡大してみる。
「本当だな。ほしか、なるほど。
よく似ている。ほし砂とはいい名前だな。」
「故郷でもあるの。虫の死骸なのよ、故郷ではね。」
「え?虫?死骸?」
「そうそう、こういう生物の死骸が波に運ばれて集まるの。
あ、こう、固くて虫っぽくないのは大丈夫。故郷でもあるから。
でも、これは違うかもしれないね。」
海峡石も砂漠石もない。普通の砂浜だと思ったんだけど。
「少し取っていこうか。セサミナに聞けばいいだろう。」
「そうだね。砂だから、もしかして師匠の蜘蛛、クーちゃんが気にいるかもね。」
そこから、いかにきれいな形のものを集めるか競争となった。
よく見るといろいろな形の砂がある。
貝のようなものはなかった。
クーちゃん用のお土産は収納袋にたっぷり入れよう。
うん、収納できたから生き物ではない。よかった。
2人で選んだ星砂は、普通の小袋に入れた。
海の思い出である。
南から星が消えていく。
その様もきれいだった。
「やっぱり、南から光が出てるんだろうね。
ああ、最後の星が消えた。
この風景を誰も見たことがないっていうのがほんと、不思議だよね。
そういう教育がされているとしても、守らないものはいるはずだよ?
どんな感覚なの?もう、絶対ダメ!っておもうから?」
「ちがうな、会わずの月の日に海を見る、そんなことは考えもしない。
会わずの月の日に外にでることすら考えない。
砂漠に出たのはたまたまだ。
呼ばれたような気がしたから出ただけだ。
そのまま、死ぬんだと思っていた。」
「おお、そうなの?うん、死ななくてよかった。」
マティスをぎゅっと抱きしめた。
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青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
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