いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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357:早口言葉

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ビーズアクセサリー作りは一時はまった。
立体的に作るのだ。
星砂に孔を開け、それで作る。
砂漠石も小さいビーズに。
蜘蛛の糸で編み込んでいく。こういうチマチマ作業は好きだ。
ピンもうまくできた。砂漠石だが。
中に小さな月無し石も入っている。
お願いできるかな?と頼んだら、おそらく2つ返事だったのだ。

名前の頭文字。
わたしたちは赤い糸でハートマーク。いやん、乙女チック。


もう遅いかな?先に渡しておく方がいいかな?

(マティス?)
(どうした?もう寝るのか?)
(いや、糸の小物ができたから先にセサミンに渡してくる)
(そうか?早いほうがいいか)
(うん)
(ブラスの筏の話は教えてもいいか?)
(いいよ。うまくいったら情報料をもらおう)
(わかった。メイガの取り方は?)
(それもいいよ。けど、あの取り方は鍛錬にもなにもならないよ?)
(そうだな)
(ブラスを刈って、ピクトが購入、それをイリアスが購入って形かな?)
(値段が上がるな)
(ま、それは物の流通には仕方がないことだ)
(なるほど)
(じゃ、がんばって。これも行商だもの)


(セサミン?寝てる?)
(姉さん!いえ、まだ寝れませんよ?なにかありましたか?)
(うん、ちょっと渡したいものがあるんだ、行ってもいい?)
(ええ、もちろん。執務室です)


「遅くにごめんね。うわ、相変わらずの書類の山だね。」
ルグだけがいたが、素早く、書類を束ね、
コーヒーを入れてくれた。
「ドーガーは?」
「いま、食堂です。例のラーメンとハンバーガーの試作で。
食の祭りまではほぼ食堂ですね。」
「なるほど。味覚いいものね。この書類は?」
「ええ、食の祭りの申請です。イリアスのおそらく端の村だと思うのですが、
ジュゲム村とありましたよ?」
「ぶ!!名前にしたのか!あははははは!」
「なんです?それ?」
「面白話。落語っていうんだけどね、その話の中で出てくるの。
そこの村で披露したんだ。」
「へー、聞きたいです。」
「え?そう?」

ということで、寿限無。



寿限無 寿限無 五劫のすりきれ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝るところに住むところ
やぶら小路のぶら小路
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのクーリンダイ
クーリンダイのポンポコナーのポンポコピーの
長久命の長助


「あははははは!それが名前なんですね!
で、おめでたい言葉だから皆で覚えたと?あはははは!
ほんと元気になりそうですね。」
「早口言葉とかねあるんよ。活舌をよくするというか。
ここで分かるのはカエルと歌うたいかな?

かえるぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ

歌うたいが歌うたいに来て歌うたえと言うが、
歌うたいが歌うたうだけうたい切れば歌うたうけれども
歌うたいだけ歌うたい切れぬから歌うたわぬ

てね。」

「え?え?もう一度!」

紙に書いて覚えていく。

「これ、学校で教えてみようかな?」
「ああ、楽しいよ、きっと。
おっと、また話がそれていく。あのね、これ。
ちょっとした小物。できるだけ身に付けててほしいの。
糸の話、知ってる?」
「・・・ええ。極秘の話だと。しかし、極秘といえば話が広まるのは速い。」
「そうか。そうだね。内緒だよっていう話ほど皆に広まるからね。
でもこれはほんとに極秘。
糸が舞っていたらね、先にある糸に寄っていくんだって。
だからこれ、糸で作った飾り。この前見せた星砂も使ってるの。
セサミンとルグとドーガー、トックスさんもね。
小さいから、どこかに付けておけばいいい。
できるだけ身に付けておいてね。」
「姉さん、ありがとうございます。これはきれいですね。
しかし、1回5万リングと聞きました。
買うものはいるのでしょうか?」
「んー、聞いた話では資産院以外の院は軍も含めてみな買ったって。
でも、半分はまだ手にしていない。だけど、半分は手にしたってことでしょ?
まじないも唱えてね。
さっきの歌うたいを石使いでも糸使いにでも替えて唱えればいいよ?

糸使いが糸使いに来て糸使えと糸に言うが
糸使いが糸使い切れば糸使うけれども
糸使いだけ糸使い切れぬから糸使わぬ


ちょっと韻がおかしいか。」

「モウさん、それをいい終わるまえに使われそうです。」
「あははは!そうだね。ま、ちちんぷいぷいで。」

ノックがありドーガーが入ってきた。

「奥方様!いらしてたんですね!」
「うん。なに?すごくいい匂い!」
「ええ、ラーメンですよ!厨房で一から作りました。これが完成品です!
セサミナ様に味見をしてもらおうと。奥方様も食べてください。」
「うれしい!いただきます。」


「おいしいね。ラーメン鉢はちょっと小さ目?」
「ええ、これだけでおなかがいっぱいになると、
あとのものを食べてもらえなくなるので。」
「おお!考えたね。
あとねー、胡椒とか、赤粉とかいれると味の好みが調整できるよ。」
「入れるのですか?」
「そうそう。テーブルにね、置いておくの。
ルグは辛いの好きでしょ?赤粉入れてみ?これ。また違った感じでおいしいから。」
「・・・うまいですね。」
「しかし、赤粉は抵抗あるのでは?」
「そうか。じゃ、油、ごま油ではない植物系の油ってある?」
「ミールですか?実を絞ります。その実の殻から紅を作るんですよ。」
「へー、面白いね。それは料理用の油?」
「そうです。肉を焼く時に表面に塗ります。そうだな?ドーガー?」
「ええ、皮がパリッとなるとかで。」
「あ、じゃ、その油でね、ネギとか、こう、匂いのある野菜を炒めるの。
ビルもいいよ?実の方も入れてもいいかな?
で、その油の中に、赤粉をこれでもかっていうくらい入れるの。
辛い油の出来上がり。おいしいよ?つくって持ってきとくよ。」
「楽しみですね。」
「さ、じゃ、帰るね。」
「あの?兄さんは?」
「師匠とガイライとお話してるよ。
そうそう、目を瞑ってさ、壁にじっともたれている人、
筋肉もついてなさそうで、まったく害もなさそうな人、
そういう人って盗み聞きしてるみたいだよ?
この部屋は大丈夫だけどね。
ほかで内緒話知るときは2000級の石がいるって。
気を付けてね。」
「・・・。いたのですか?」
「うん。軍部の外に。師匠がそういう鍛錬方があるって。」
「わかりました。気を付けましょう。」
「うふふ。じゃ、これは頑張ってるからご褒美ね。」

チョコレートを3つ。

「シャーーー!!」

ドーガーは雄たけびを上げる。

「じゃ、またね。あ、もいっこ!
プリンの上に飾る赤い実、フレシアに有りそうって。
ホー姐情報なんだ。ちょっと行ってみるね。」
「え?フレシアですか?
姉さん、フレシアはナルーザと近い。絹製品が主な産業です。
ナルーザと同様に蚕様を敬っている。
蚕関連には気を付けてください。」
「うん。砂漠の端に行くだけだから。」
「また、来てくださいね?」
「もちろん。」



いったん、呪いの森の扉君の家に帰る。

(マティス?扉君の家に帰ってるよ)
(そうか、腹は減ってないか?)
(うん、ラーメン食べさせてもらったよ。おいしかった)
(そうか)
(そっちは?まだかかりそう?)
(いや、もう終わる)
(じゃ、フレシアに行くときの注意点と銃の砂問題聞いといて?)
(わかった)

ラー油を作っておこうかな。
ミールの油ってあったかな?
セサミンのところに食材を全部もらった時にあったな。
それで作ってみよう。











─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘



「はーおいしいですね。ちょこは。」
「ドーガー?で、ラーメンはこれで完成なのか?」
「ええ、後はいかに早く作るかです。」
「そうか。ご苦労。ああ、姉上からだ。例の糸。それを無効化できるらしい。」
「これ?かわいいですね。ああ、ドーガーのドだ。うわ、うれしいですね。」
「ああ、蜘蛛の糸で作ってあるらしい。あまり目立つところに付けるなよ。
これは何だと聞かれたら返答に困る。常に身に付けておけ。」
「わかりました。」
「あと、違和感を感じる前にまじないを唱えるようにしよう。」
「セサミナ様?あの糸使いのまじないを教えてあげれば?」
「む、お前が教えてやれ。」
「・・・すいません。できません。」
「え?なんですか?まだまじないがあるんですか?
教えてください!!」
「言えぬのだ。紙に書いてやろう。早口で言うのがいいらしいぞ?」
「へー。さすが奥方様ですね。」



「・・・無理れす。舌をかみまひた。」




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