いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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364:白い布

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朝、早めに起き出し、下に降りると、
ビヤンさんがもう起きていた。
宿の方はいいのか?と聞くと、
親父殿に任せるとのこと。
奥から、おじいちゃんと言っても問題ない方が出てきたので、挨拶をする。
会釈をするだけだが。

「おや?砂漠の民だね。久しぶりに見たよ。」

そういって、笑ってくれた。
その見たというのはやっぱりタロスさんのことなのだろうか?
聞こうと思った時にエスワさんがやって来たのでそのまま出発した。
馬車だ。背負子を乗せてもらって、はい、走りましたよ。

途中、どっちが速いかと競争となり、
駱駝馬がへばったのは仕方がない。






いやー、すごい。
市場が。
鳥、ガルッスの生態展示場のようなものだった。
わたしの知っている鶏よりも一回り小さいぐらいの大きさ。
それが卵から成体まで並んでいる。
卵はウズラの卵より少し大きいくらい。なぜか緑色だ。
何を食べているんだろう?
聞けば桑の葉だそうだ。桑の葉万能。
月に一度産むのを時間差ができるようにしているのだろう、
いつでもあらゆる大きさのガルッスがそろう。
そして、羽有あり、羽根なし、首なし、内臓無し。
各部部材。ここは鶏肉屋さんと同じ。
内臓も売ってる。各部で分けてないけど、なんとなくはわかるな。
焼きとり食べたい。
竹串は作れる。お醤油もある。日本酒入れて樹脂蜜で甘み?
あれ?売ってるってことは食べるってことだ。

「ビヤンさん?この内臓系はどう料理するんですか?」
「あー、あんまり食べないな。安いだろ?
やっぱり、桑畑の肥料だな。あとは、お布施をしすぎたやつとかが
食べる。自分の稼ぎのほとんどをお布施に回す奴もいるんだ。
えらいよな。」
「あー、なるほど。」

マティスとエスワさんは料理の話、交渉の話をしながら前を歩いている。
ビヤンさんもここに来るのは始めてなようで、
わたしと2人、おおーっと声をあげながら見ていく。



エスワさんはいつものところで、いつもの量を買う。
一昨日買いに来たのに今日また買いに来たので驚かれている。
しかし、商売だ。売れれば問題ない。
鳥肉屋は何件かあって、どこで買っても同じだが、
やはりそれぞれにご贔屓の店があるとのこと。
ここは桑の葉を巻いたのと巻いていないのと売っているから便利だとか。


「ティス?羽根無し首無しで買って?
3日持つから、20ね。すべて葉巻きで。」
「え?どんだけ食べるんだよ?1日3回?そうなのか?
それでも多いぞ?」
ビヤンさんが若干引いてる。
ほんとは100は買いたいけどそれはおかしいと言われるから我慢してるのに!

「いや、ビヤン大丈夫だ。
昨日の食べっぷりはすごかったから。砂漠の民の女性はそうらしいぞ?」

エスワさんがそういい、マティスがうなうずく。
そうだけど!事実だけど!!
しかも、個人で食べる量ではないから仕入れとなるぞといわれた。
それでも、1匹あたりが1銅貨なので問題は無い。
肉と桑の葉が同じ値段というほうが問題なような気がするが、
保存パックが100円。んー、そんなもんか。


交渉も、後ろで、ビアンさんとエスワんさんが見守る中開始。
大量に買うのでさらに値切れるとのこと。
店の人も事情が分かったのか、笑いながら応対してくれた。
大判の桑の葉、単独でも購入。
大判は6日持つそうだ。でも高い。6銅貨。
ちょっと研究したい。

なんやかんやで、鳥肉料理をその部位を見ながら話していく。
お醤油を使うもの、内臓系は別にして、
やはり唐揚げや、蒸し鶏とか。
胸肉のパサつきをなくす方法、これは美容院に行くと
なぜか、〇レンジページのみを置かれるので、知っているのだ。
しかし、眼鏡を外すので、写真しか見れない。
あおりの文字だけを読む。

「塩水に?どれぐらいの量でそれくらいの時間?」
「ごめん。聞いた話なんだ。水分が抜けてパサつくから、
最初から水分をむくませておこうッてことらしんだけどね。
胸肉一枚にスプーン2か、3杯?それで、一番短い一日の半分の半分の半分ちょっと?」
「わからんな。でも、試してみようかな。」

市場の前で2人と別れることになった。
エスワさんは仕込みをしないといけないし、ビヤンさんも宿が心配だ。

メイガの粉は54匹分、かなり使っているがまだまだあるので、
10匹分を売った。かなりの量だが6銅貨。
イリアスでは5銅貨で売っていた。プラス1銅貨はわれわれの経費。
ま、元手はタダだけどね。商売、商売。

コットワッツの食の祭りはわたしたちも行くつもりだから
また会いましょうと別れた。


市場の廻りは他の食材の店もある。
果実が豊富だと聞いたが、時期が悪い様だ。
年が明けてすぐごろが、色とりどりの果物が並ぶらしい。
桑の実もあるって。
おお!なんだか高原のお土産屋さんでうってるジャムしかしらん。
柿もここが産地だそうだ。
またその時期に来なくては。

目新しい野菜はないが、それらとじゃがいもと米、
あとは薬味に使えそうな草があったので根がついてるものを買う。
交渉は慣れたもんだ。

ここには食材の仕入れに来たようだ。

そろそろ半分だ。
砂漠の門までの街道にいくつかの絹を扱っている店があったので、
何軒か覗いてみる。
そのなかで、旅人風のわたしたちを見て、
愛想よく声を掛けてくれた店に入る。

「いらっしゃい。何を探してるんだい?」

背負子は入らないので、店先に置いた。
盗られないように、ものすごく重くしておくことも忘れずに。


「この街は初めてなんです。砂漠の民で行商をしてるんですが、
流行りの絹地を仕入れればと。」
「そうかい。流行ね。青が流行りだ。しってるかい?
なんでも王都で行われた武の大会。そのあとの慰労会に目の覚めるような
青いドレスを着た女性がいたんだと。
動くたびに煌めいたそうだ。ガラスではないものを散らしていたそうだよ?
それにあやかって、青が流行りだ。入れば売れるね。」
「お、おお。そうですか。でもみんながみんな青だと目立たないですよね?」
「あははは。だれも、自分以外が青を着るとは思ってないんだよ。」
「なるほど。じゃ、青以外のものを仕入れて、
青の中で、違う色だといいですよって売ろうかな?」
「それだよ!商売はそういうことなんだよ。」


「愛しい人?これを買おう」

マティスが店を一通りみて選んだ布地は、白い布。
光沢があり素人がみてもお高いとわかる布地だ。

「ティスさんや?それは商売用?わたし用?」
「もちろん、愛しい人用だ。」
「目利きだね。それ、一束10リングだよ。ああ、ここは初めてなんだろ?
交渉のやり取りは?ああ、勉強したのかい?でも、わたしは面倒だからね。
最初から売値を言ってる。値切りなしで、10リング。それとお布施ね。」
「高いですね!」
「それだけの価値があるのさ。」


買いましたよ。マティスが気にいった布、あるだけ。
ドレス用各色、これは1束1リングでした。
青も折角なので購入。


王都の布屋で買ったものが1束20リングと言っていたから
やはり本場は安いのだろう。
よし!トックスさんに売ろう。


あとはほぼ透ける、真綿をもっともっと伸ばしたものがあった。
どうやって作ってるのかは怖くて聞けなかった。
1m×1mほどで1銅貨。今度こそ真綿の布団が作れるかも。
あるだけ買った。
あとはシルクオーガンジーのようでそうでないもの。
これも各色。
革の染はできたけど、布の染は素人にはむらができるので。
トックスさんのところで買った時よりも多い買い物です。
合計200リング。
とても喜んでくれ、色見本用の端切れをたくさんくれた。
これはうれしい。



わたしの背負子には肉、米、じゃがいもなどの食料。
実はあのあと、また市場にもどって、最初に買ったところから見えないところで、
鳥を買いまくった。羽根無し首無し、内臓無しの桑の葉巻き。
入るだけ入れて、はみ出した分は収納へ。脱税になるけど。
売る分は払うから許してほしい。大半はわたしが食べるんだから。
マティスは布。もともとあったものは全て収納。
それでも、布ははみ出している。わたしの背負子に入れてもいいが、
食べ物と布を一緒に入れるのは嫌だ。

「大丈夫かい?砂漠の民ってのは力持ちなんだね。
外に出るんだね?仕入れだから税を取られるが、
守衛の目にはその布が高いかなんてわからないから、
へたに金額を言うんじゃないよ?あいつらの飲み代になるのに
20リング取られるのも嫌だろ?」
「え?でも。税を納めるのが決まりでしょ?」
「あんたたちは気持ちよく買ってくれたから教えるけど、
税はお蚕様へお布施で済んでいるんだよ。
それをあいつらが勝手に取ってるだけだ。
他のところではそうだからって。
ほんとにいつになったら、お蚕様はお叱りくれるんだろうね。」
「そうだったんですか。じゃ、ここは税はすごく安いんですね。」
「それもちょっと違うんだよ。最低のお布施を集めているだけで、
稼いだものを全部納めるものもいるからね。」
「ああ、なるほど。ではこれはそちらからお蚕様にお渡しください。
お蚕様を信心している方から良き話を聞かせてもらったお礼に頂いたと。」

紙に包んだ1リングを渡した。

「ま!なんてことだろうね。
ほんと今日は良い日だ。いい商いができることを祈っておくよ。」
「ありがとうございます。お互いよい商いができますように。」



うんしょと担いで、門に向かう。

「すごいね。門番。
でも、これって、国ぐるみなんだろうね。誰かが訴えたら終わりだもの。」
「そうだろうな。」
「ん?楽しそうだね。あれか?新作のドレス?」
「そうなんだ。新婚旅行の時に故郷の結婚式の話もしてくれただろ?
白いドレス。あれを作ろうと思ってな。」
「え!ほんと!うわ!うれしい!!!すごい!
ウェディングドレスを着れるなんて!!うわー!うれしい!」
「そうか。そんなに喜んでくれるな頑張らないとな。」
「うん。ありがとう。マティス。愛してる。」
「!ふふふ。もちろん、私もだ。」

すごくご機嫌。
門での検問もニコニコ。5リングの預り証を見せても、
これはすべてお蚕様にお布施として捧げるのは習わしだと言われても、
そうですかーと、ニコニコ。
荷を見られたが、食料はまさか、底までぎっしりと思わなかったのか、
無税となり、布の方は店の主人が言うのように上に見えてる本数だけ数えて
5リングだった。

トータル的にはお安い買い物、お安い納税額。
おまけに赤い実も手に入れた。


本当にいい商いができた。









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